この請願は、経済文教委員会では不採択とすべきものと決定されました。本日の本会議で、望月議員はこの決定に反対し、採択すべきとの立場から討論しました。
討論後の採決では、不採択と決しました。

討論の様子、動画は、こちらからご覧ください → http://www.youtube.com/watch?v=wXhou7SOBMQ&feature=context-cha

全文は、以下の通りです。 ↓


28番、望月義寿でございます。
請願第17号「食品用放射能測定器設置についての請願」を不採択すべきとした経済文教委員会委員長報告に、反対の立場から討論を行います。同趣旨の請願が複数ありますが、そこに共通する、市民、特に子ども達の安全を求める願意に基づいて討論いたします。

東日本大震災と、それによる福島第一原子力発電所の事故以来、我が国は、新たな時代を迎えることになりました。国民の命と生活を守るため、公共施設、特に子ども達が日々過ごし、避難所となる小中学校は当然のこと、民間の建物も耐震対策は急務であり、日頃からの要援護者の把握、いざという時の避難に関する周知や訓練をはじめとして、なすべきことは山積しております。そして・・・放射能対策も必要となりました。
幸いなことに、とは、到底言えませんが、本市においては、空間放射線量も原発事故前と同レベルであり、日常生活には何ら支障はありませんし、農産物も安全です。本市の農産物は安心して食べていただき、子ども達は屋外でも、のびのびと運動させていただきたいと思います。
しかしながら、福島近辺の農産物が安全かと問われた時、「絶対に安全である」と断言出来る方はいらっしゃらないかと思います。出荷段階において国で検査しているから大丈夫、との見解もありますが、実施しているサンプリング検査では、当然、すり抜け、流通してしまう農産物も生じることから、安全確保のためには、販売あるいは消費の段階でも検査が必要となります。
国は、当初1キログラム当たり500ベクレルという暫定基準値を設けましたが、本年4月から100ベクレルに変更しました。これらの基準は、当然、大勢の被験者に、500ベクレル・100ベクレルの穀物・野菜を食べ続けさせた結果、健康被害が生じなかったとの実験結果を基に定めた基準ではなく、科学的根拠としては疑問を呈せざるを得ないものです。故に、国の基準値を守っていれば大丈夫との考え自体が成り立たないと言わざるを得ません。特に、子ども達の被爆に関しては、大人よりも影響が大きいとの見解が通説ですので、せめて、子ども達の食べるものは、可能な限り放射能に汚染されていないものを選ぶべきです。そして、そのためには、どうしても放射能測定器が必要となります。
すべての食材・水・土壌を測定することは、現実的には不可能ではありますが、可能な限り検査することが子ども達の安全につながります。スクリーニングのための機器を数台と、キロあたり1ベクレル以下まで測定できるゲルマニウム半導体検出器を1台購入し、検査体制を整備し、小中学校・保育園の給食食材や水・土壌を検査することにより、子ども達の安全・親の安心・本市農業の発展を実現すべきです。

本市では、消費者庁から貸与される検査器が秋には届く予定であり、今までも、長野県北信教育事務所内にNaIシンチレーションスペクトロメータがあり、長野県環境保全研究所にゲルマニウム半導体検出器があることから、それらをお借りしての検査と、これから届く貸与機器で十分との認識ですが、県の機器をお借りしての測定の実情は、本年4月9日から5月31日までの間に、保育園の給食食材を北信教育事務所の検査器で測れたのは、公立保育園18園(18検体)、私立保育園21園(21検体)のみで、つまり、測定できた保育園でも一園一検体しか測れていません。また、小中学校の給食食材の検査は、NaIシンチレーションスペクトロメータとゲルマニウム半導体検出器の併用で本年4月4日から6月7日までの間には10回28検体を測れたのみです。これでは、到底、安全を確保し、安心出来る検査体制とは言えません。新たに貸与される予定の検査器も、年間320検体を検査する予定ですが、例えば、そのうち保育園の給食食材の検査は100件ほどの予定とのことです。80園以上ある保育園の食材検査を年間100回しか行わないということは、一保育園の給食食材の検査は年間1回程度しか行わない、ということになります。様々な食材を使い給食が作られているのに、そのうちの一つの食材を年間1回しか検査しないというのでは、ほとんど検査していないと言われても反論出来ないのではないでしょうか。

奇しくも、昨日の信濃毎日新聞に、ある主婦の方が「長野市民測定所」を開設している、との記事が掲載されました。記事によると、2歳の長女を育てる立場から、農家らが気軽に検査できる場所をつくり、母親らの安心につなげようと、独身時代の貯金を取り崩して測定機器を購入し、自宅近くのアパートの一室を借りて「市民測定所」を設置したとあります。「食べるか食べないかは最終的に自分の判断だけれど、放射能物質の数値が分からなければ考える材料がない」と話しておられました。
一主婦が、貯金を取り崩して機器を購入し、有料とはいえ市民の依頼に応じて測定を行っているのに、1500億円以上の年間予算を誇る本市が、消費者庁から貸与される予定の機器一台と県の機器を借りればこと足れりとしている認識には、本当に言葉もありません。
そして、市民の安全・安心を守るため、行政に対し提言を行っていくべき立場にある議員が、それを追認し、子ども達の安全を守ってほしいとの切実な願いのこもった請願を、あっさり不採択としてしまう・・・、そんなことがあっていいのでしょうか。

これは、誇りの問題だと思います。中核市である県都長野市が、主婦でも買える検査機器を購入せず、県の機器を借りて他市町村の検査枠を奪う、そんな方針は改めて、子ども達の安全・市民の安心のため、自前の検査体制を整え、胸を張り、誇りを持って「長野市は充実した子育て支援を行っています」と言えるよう、本請願は採択すべきです。
議員各位のご賛同を心からお願い申し上げ、討論とさせていただきます。