長野市議会議員会派

改革ながの市民ネット

東日本大震災から学ぶ

 長野市議会3月定例会も中盤戦、本日から議論の場が本会議場から委員会室へと移り、各常任委員会で今議会に上程された議案について審議、採決が行われます。今日は3月11日、長野市が被災地となり初めて迎える3.11です。当時のことを思い出さざるを得ません。  2011年3月11日、午後2時46分、マグニチュード9.0の日本周辺における観測史上最大の地震が発生しました。 この年は統一地方選挙、長野県議会議員選挙を目前に控え、私は、地元の大先輩である倉田竜彦先生の事務所で選挙に向けた活動をしておりました。地震が発生した午後3時頃、倉田夫人とともに地域の挨拶回りを終え、事務所に戻ろうと車中に居たと記憶しています。同時刻前後に長野地域においても地震が発生したと後で知ることとなりましたが、それにも全く気付くことなく倉田事務所に戻った、ことを思い出します。  事務所の中に入ると、テレビを大勢の後援会役員さんが囲んでおり、私は何事か、と尋ねると、さっき地震があったが分からなかったのか、今、大変なことが起こっている、との言葉と同時に私の目にもテレビ画面から発災直後の映像が飛び込んできました。  あれから9年が経ち、今朝の信濃毎日新聞では2面を使い大きな特集を組んでいました。唯一全町避難が続いていた双葉町では、3月4日の一部解除により住民の帰還への道が開いたとする一方で、今も人が住めない土地が残り、地域再生には明るい兆しが見えているとは言えない状況とのこと。更に、既に避難指示が解除されている他市町村でも住民帰還の動きが鈍く、帰りたいと望む人の割合が減っている状況のようです。  やっぱり時間は重要です。避難指示解除時期が遅くなるほど、居住率が低く留まる傾向が強いとしており、双葉町に人が住めるようになるまであと2年の年月が必要と、まだまだ時間が掛かってしまいます。  また、災害公営住宅の入居者の希薄な人間関係の中で孤立しがちな被災者の厳しい状況について、入居者の3割が65歳以上の一人暮らしであり、孤独死に一律の定義はないものの、岩手県49人、宮城県162人、福島県31人、年度別では13年度の2人から18年度78人と増加していると報じています。単身高齢者の孤立防止が急務としています。  生活再建に課題を抱える世帯が多く、今後も被災者の見守りや相談事業を国として最前線に立つ自治体への財政面からの充実等、国への支援の必要性を論じております。  社説では、復興がハード面に偏り、被災者の生活に寄り添う視点について問題提起しています。更に、時間の経過に伴い、被災者個々が抱える問題、自治体が置かれている状等が多様化し、複雑化しているとし、それぞれの自治体が住民の意見を聴き、将来へと繋がる施策の展開の必要性を論じています。  長野市は、今、復旧・復興に向け復興計画を策定途中にあり、本格的な生活再建に向けた取り組みが始まります。東日本大震災から学び、そして、得た教訓をしっかり受け止め、一日も早く、復旧・復興を市民が共有でき、感じることができる段階に引き上げるべく取り組んでいかなければなりません。

長野市農業委員会委員を拝命

去る3月2日、長野市農業委員会委員を拝命(3年間の任期)いたしました。 長野市農業委員は現在25名で構成されておりますが、その内1名以上を利害関係を有しない者が含まれていなければならず、長野市農業委員は市議会から2名の議員を以って、市長に任命されております。 私たち25名の農業委員と、42名の農地利用最適化推進委員が協力しながら、 主に、 1.有休農地の発生防止・解消 2.担い手へ農地利用の集積・集約化 3.新規参入の促進 等に取り組んでいきます。 具体的には、 農地法に基づく許可、遊休農地所有者に対する意向調査、農地台帳による情報の一元化、農地等の利用の最適化を進めるための関係行政機関への意見書の提出など、農地利用最適化を進めるために、担当エリア内での調査、毎月の農家相談会開催、地区調査会の会議、そして全体の総会にて審議、採決を行っていく活動となります。 長野市農業の概要ですが、(以下、2015年農林業センサスより) ◇総農家戸数11,782戸  平成7年と比べ、5,378戸減 ◇経営耕作面積4,780ha ◇耕作放棄地面積1,425ha  平成7年と比べ、経営面積は38%減少し、耕作放棄地面積は23%上昇 ◇販売農家の農業就業人口と平均年齢  平成7年と比べ、人口で53%減少し、平均年齢は61.4歳から69.7歳へと上昇 このような数字を見ると、長野市農業の今後が心配になります。私は、これまで議会の中で、特に、新規就農に対する取り組みについて、また、産業としての農業をいかに確立していくか、という観点から取り上げてきました。 これからは、議員活動の取り組みに加え、3年間、農業委員として現場にて仕事させていただき、これからの長野市農業に貢献していきたいと思います。

長野市議会3月定例会から ~災害に強いまちづくりへ~

 2月27日から3月24日まで27日間の会期で、令和2年3月長野市議会定例会が開かれています。 改選後、初議会となった昨年12月定例会は、災害対応を優先し、短縮定例会となりました。そのため、一般質問が1会派30分(無所属は5分/人)で、私の質問機会がありませんでしたが、過日、3月5日、8か月振りとなる一般質問で登壇させていただきました。 今回、これまで私の主要テーマとして取り組んできた「災害に強いまちづくり」について、昨年の台風第19号災害を踏まえ、次の項目に関し、市長はじめ関係部長と議論を行いました。私の持ち時間は18分(答弁含まず)で、本来であれば複数のテーマについて取り上げるべきですが、すべての時間を河川整備に関する内容といたしました。 1.「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」について 問1:遊水池等の洪水調整施設の整備について (1)篠ノ井塩崎が遊水池の候補に挙がっていると報じられているが、流域全体における遊水池やため池等による貯水量の総量は計算されたのか、また、どの程度、本川の水位を下げようとしているのか、今日までに具体的な数値による議論があったのか。 →市長が答弁、「総量は、今後示される予定であり、効果も示していく」 (2)篠ノ井塩崎の遊水池候補に関し、市長は、地元に相談し協力を求める旨のコメントをされているが、例えば、水田を遊水池として活用した場合、収穫物に対する補償が必要になることから、流域全体を含めた負担の在り方を考えなければならない。協力を求めていくのであれば、補償するためのきめ細やかな仕組みが必要だが。 →市長が答弁、「補償は難しいが、堆積土砂は撤去する。要望を十分に聞きながら進めていく」 (3)本年1/25付け信濃毎日新聞で、市長は「企業の敷地、各家庭、道路などでも水をためていくことが必要」と述べているが、本市での具体的な取り組みは。 →建設部長が答弁、「学校のグランドや、新規に作る道路等に雨水貯留施設を設けるように依頼していく。公共施設における貯留施設を検討していく」 (4)流域全体に所在する遊水池やため池などによる洪水調節施設を有効に機能させなければならない。そのためには、「遊水池ため池等タイムライン」といったものを策定し、指揮命令系統などを明確にしなければならないが。 →建設部長が答弁、「今、千曲川流域に遊水地はない。ため池は有効に活用したいが改修が必要等、課題はあるが、洪水調節施設として有効に機能させるため、指揮命令系統を明確にしていく」 問2:河道掘削による洪水流下断面の拡大について (1)抜本的な掘削により洪水リスクを限りなくゼロにしなければならない。そこで、立ヶ花の現行流下能力と掘削により、どの程度、流下能力が強化、改善されるのか、数字で示して欲しい。 →建設部長が答弁、「数字は、今、測量を実施中、注視していく。その結果を踏まえ、強化・改善していく。」 (2)2か所の掘削は確実に5年以内に行われる、と理解していいのか。 →建設部長が答弁、「現段階では、5年間で実施と認識している」 問3:堤防の復旧について 決壊までの時間を引き延ばすというのではなく、決壊しないものを作って欲しい、というのが住民の率直な願いなのである。最新の技術をすべて投入した破堤しない堤防を、国に、流域全体に整備することを強く求めていくことが必要ではないか。 →市長が答弁「絶対に破堤しないものは技術的に確立されていない、とのことだが、現在、更なる強化対策としての技術的な検討がされており、国へ要望をしていく」 問4:既存施設を活用した洪水被害軽減対策「ダムの事前放流」について (1)千曲川、犀川流域の代表的なダム(大町ダム、浅川ダム、裾花ダム、そして東京電力の小田切ダム、水内ダム等)には、事前放流できる設備が整っているのか。 →建設部長が答弁、「大町、裾花は整っており、小田切、水内も整っている(浅川は穴あきなのでない)」 (2)今回の洪水の際、それらのダムでは、治水の観点からどんな対応があったのか。 →建設部長が答弁、「大町は1時間30分、洪水調整した。裾花、浅川は流入量が基準に達しなかったのでしていない。小田切、水内は台風上陸前の10/11夕方から放流を徐々に行い、12日の夕方ゲートを全開した。犀川流域での降水量が少なかったので、大町を除き、特に治水の観点からの対応はしなかった」 (3)国交省は国内河川98水系の発電用や農業用の利水ダムを有効活用し、事前放流に関する協定を電力会社や地方自治体と個別に結び、2020年6月ごろから運用を始める、と報じられている。大量の雨量が予測される場合等は、民間を含めたすべての既存ダムは治水を優先するべきであり、事前放流などの完璧な準備をしなければならない。そのため、例えば、ダム用タイムラインを設けるなど、事前放流の際の細かな要件の策定、指揮命令系統の明確化を早急に確立するべきだと考えるが。 →危機管理防災監が答弁、「国の方針について、緊急時連絡体制、情報共有の在り方について再構築するなど体制強化を図る。ダム管理者が洪水調整要領を定め運用している。裾花川系ダム、浅川ダムと安全確保のための情報伝達体制を構築し、対応マニュアルがある。また、情報伝達訓練を行っている。」 2.重要水防箇所について 平成28年3月定例会の個人質問で「重要水防箇所の安全対策」について取り上げたが、台風第19号を踏まえ、長野市南部に多数ある重要水防箇所、法崩れ・すべり、堤防高、漏水の重要度A及びBに対して、今後、長野市はどう対応していくのか。これまでのような国への要望活動レベルでは不十分であるため、再度質問。 (1)緊急治水対策プロジェクトでおおむね10年間で本流の越水・溢水(いっすい)による住宅への浸水を防ぐとの目標に基づき、早期に南部地区の重要水防箇所解消に向けた計画を示すべきだ。 →建設部長が答弁、「信濃川水系河川整備計画、緊急治水対策プロジェクトにより、河道掘削や堤防整備がされた時点で重要水防箇所の見直しが行われる予定。計画を示すことは難しいが、今後、河道掘削のスケジュールが示され、方向性が見えてくることから動向を注視していく。」 (2)合流地点(犀川と千曲川)から上流に重要水防箇所が多数残っている長野市南部の堤防は、いつの時点の計画高水流量から算出された計画高水位に基づいて、いつ整備されたものなのか。また、現在の堤防は、どの程度の危険性があると認識されているのか。 →建設部長が答弁、「基礎作りとなったのは大正7年。戦後、第2期工事が着手され、現在も改修が行われている。長野市南部の堤防は平成20年の河川整備基本方針に基づいて整備されている(千曲川が毎秒5500t、犀川は毎秒4000t)。危険性がある箇所は早急に対策工事を行い、個々の点検を行い、安全性が不足している箇所について計画的に堤防強化をしていくが、更に、加速させるように取り組む」 (3)平成25年6月定例会で、(前議員から)信濃川水系河川整備計画についての質問に対し、当時の建設部長は「村山橋から下流は完成堤防である」との答弁があった。完成堤防(計画断面堤防)とは、計画高水位プラス余裕高1.5mと定義されているが、堤防高の重要度Aとは、「計画としている規模の洪水が流れた場合、水位が堤防を超える箇所」である。重要水防箇所一覧表をみると、台風第19号で破堤した長沼地先を含む52.5k地点から59.5k地点の間が、堤防高で重要度Aとなっている。この箇所は完成堤防であったという理解で良いのか。 →建設部長が答弁、「完成堤防は計画高水位に対し、必要な高さ、断面積を有し、必要に応じ護岸が施されたものだが、村山橋から下流、立ヶ花までは完成堤防だ。」 (3)村山橋から下流の完成堤防は、立ヶ花地点で、信濃川水系河川整備計画で示されている計画高水流量は毎秒7300t、平成20年に示された整備計画基本方針では毎秒9000tだが、どちらの流量で整備されたものなのか。 →建設部長が答弁、「毎秒9000tで整備されたものだ」 以上が質問の要旨で、それぞれ答弁をいただきましたが、議事録で改めて確認し、引き続き、河川整備について取り上げていきたいと思います。私の想いはただ一つ「二度と同じような大災害」につながることがないよう、災害に強いまちづくり、を着実に進め、市民の生命と財産を守るためのハード対策をしっかり行うことです。 莫大な予算や時間を必要とすることは分かっていますが、だから、やらない、出来ない、では通りません。首都圏では環七下の貯水施設、荒川と江戸川の放水路、渋谷駅地下の雨水貯留槽、昨年の台風19号の際、鶴見川の水位を30cmほど下げる効果があったと言われている鶴見川多目的遊水地など、巨額な投資が行われています。国民の生命と財産を守ることについては、首都圏と地方は公平であるべきで、地方にもっと目を向けてもらわなければなりません。対策が急がれる今、地方は地方の特色を活かした遊水地、貯水施設などの対策を含めた信濃川水系緊急治水対策プロジェクトは、一般質問でも取り上げた様に、堤防整備では更なる検討が必要ではありますが、概ね妥当だと思います。 これから、プロジェクトの進捗をしっかり把握し、検証を行いながら、議会の場において更に、議論を深め、市民の安全・安心に繋げてまいります。