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昨今の激甚化する自然災害の発生から日本のみならず世界各国で地球温暖化防止対策に関心が高まっていると思います。我が国は2016年5月に地球温暖化対策推進法で、役所や公共施設など自治体自身の計画策定が義務化され、各々様々な対策が講じられてきました。
長野県は2019年12月、「気候非常事態宣言」を発出し、また、県有施設の屋根をまとめて地域の太陽光発電事業者に貸し出したり、屋根台帳を公開する等の取り組みを行っているようです。
すっかり秋めいてきた9月のシルバーウイークですが、つい先ごろまでの強烈な暑さの中、私もさすがに堪えました。
気温上昇の原因は温室効果ガスといわれ二酸化炭素排出に関し上述のような対策が講じられております。エコとう言葉が一般的になり久しいと感じますが、地球温暖化、温室効果ガス排出削減について真剣に考えなければならないと思います。ここ数年の長野市が地球温暖化とどう向き合ってきたのか、まとめてみました。
1.これまでの地球温暖化対策における長野市の取り組みについて
(1)2009年12月 長野市地球温暖化対策地域推進計画策定
地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量削減に取り組むために、「地球温暖化対策推進法」に基づき、長期的な目標と施策を定めた。 (当初、平成29年度~平成62年度)
◇削減目標
①基準年2005年度 2、377、722t–CO2
②短期目標 2021年度 基準年比△21% 1,878,400t–CO2
③中期目標 2030年度 基準年比△30% 1,664,405t–CO2
④長期目標 2050年度 基準年比△80% 475,544t–CO2
(2)2014年4月 当面目標において、事業ごとの指標・目標を設定するなどの目標年度と削減目標の見直しを行った。
(3)2017年4月 新たな方針・施策と削減目標を設定し、計画の一部改定を行った。
<改定理由>
①2014年に見直した当面目標である2016年度に到達したこと。
②「パリ協定」(2016年11月発行)により、温暖化対策について新たな国際的目標や方向性が定められたこと。
③国の「地球温暖化対策計画」(2016年5月閣議決定)が策定され、新たな目標、目指すべき方向性が定められたこと。
④地球温暖化の影響が拡大してきたことにより、それまでの「緩和策」に加え、「適応策」についての記述が必要になったこと。
(4)長野市は2017年度改定「長野市地球温暖化対策地域推進計画」で当面目標としている2021年の前年度となる2020年度に計画改定に着手することとなる。
2.昨今の情勢
(1)2015年「パリ協定」採択。気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加する枠組みとして史上初。
①日本の目標は、2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量26%削減。
②パリ協定を達成するには、市域の温室効果ガス排出量を2030年に、2013年比で40%削減しなければならない。2050年には、2013年比で温室効果ガス排出量80%削減が必要。
(2)2019年9月 国連気候行動サミット
①77カ国が2050年までに温室効果ガス排出量を正味ゼロにすると宣言。
②70カ国は、2020年までに自国の行動計画を強化予定、若しくは、すでに強化していることを発表。
③世界の100を超える都市が、気候危機と闘うための新しい重要かつ具体的な措置を発表。
④グレタ・トゥンベリさんがスピーチ。
(3)2019年10月 令和元年東日本台風
世界各地で記録的な高温、大雨、大規模な干ばつ等の異常気象が頻発している。WMO(世界気象機関)は、これらの異常気象が長期的な地球温暖化の傾向と一致していると発表している。
2015年9月 関東・東北豪雨
2017年7月 九州北部豪雨
2018年7月 西日本豪雨
2018年9月 台風21号
2019年 令和元年東日本台風
過去5年間に発生した集中豪雨、巨大化した台風により、長野市を含め多くの地域で甚大な被害に見舞われた。日本で頻発している気象災害の要因は気候変動にあると言われている。
(4)長野県の取り組み「気候非常事態宣言」(2019年12月)
地球温暖化対策に取り組んできた長野県は、2019年主要20カ国持続可能な成長のためのエネルギー変換と地球温暖化に関する関係閣僚会合の開催地となった。合わせて「持続可能な社会づくりのための協働に関する長野宣言」を世界に向けて発信した。気候変動に対する役割の重要性等、長野県は国際社会から先導役となることが期待されている認識のもと、2019年12月「気候非常自体宣言」~2050ゼロカーボンへの決意~ を行った。
3.これからの長野市の取り組みは
(1)「長野市地球温暖化対策地域推進計画」改定に向けて
①長野市は県の「気候非常事態宣言」に賛同し、共に実現を目指していく。
長野市独自の「気候非常事態宣言」はせず、「長野市地球温暖化対策地域推進計画」改定を2020(令和2年)度、進めていく。
②今日まで、2014(平成26)年度改定時に掲げた5つの方針と33施策57事業により取り組んできた。
方針1:再生可能エネルギーの有効活用
方針2:省エネルギーの推進
方針3:歩きやすい・暮らしやすい環境の整備
方針4:緑化の推進と熱環境の改善
方針5:環境教育・環境学習の推進
③33施策のうち10施策を「先導・重点施策」として推進してきた。計画の進捗状況管理・評価は、「長野市環境審議会」に設けられた「地球 温暖化対策専門部会」において毎年行われている。
◇長野市環境審議会地球温暖化対策専門部会 2019年9月13日 議事録より一部抜粋
●事業費に対し、どの程度CO2削減できたのか、削減量を示すべきではないか。例えば、奥裾花自然園再生可能エネルギー活用事業は7,500kwの電力使用量の削減であり、家庭用2件分しか削減できていない。
●長野市が温暖化対策に本格的な取り組みを始め15~20年になる。中期目標2030年まであと10年、長期目標2050年まで30年しかない。方向性を考えていく必要がある。
◇長野市環境審議会 2020年2月17日 議事録より一部抜粋
●2016年の長野市域の温室効果ガス排出量は2005年比で若干減ったが、2021年21%削減、2030年30%削減、そして2050年80%削減について、現段階では達成できない。更に、世界情勢を見れば、2050年80%削減では笑われてしまう。今の検討の在り方ではダメだという見解が出てきている。
4.グレタ・トゥンベリの演説を踏まえ
(1)グレタさんの主張
①30年以上にわたり科学が示す事実は極めて明確だったが、あなた方は、事実から目を背け続け、必要な政策や解決策が見えてすらいないのに「十分にやってきた」と言えるのか。
②この状況を本当に理解しているのに、行動を起こしていないのならば邪悪そのものだ。
③今後10年間で温室効果ガス排出量を半分にしようという考えがあるが、世界の気温上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は50%しかない。
④50%のリスクは決して受け入れられない。IPCCが出した最も良い試算は、気温上昇1.5度以内に抑えられる可能性は67%。
(2)長野市は十分にやってきたのか、今後、本気になって取り組むのか。
環境審議会の議事録にある通り、これまでの延長線ではダメ。現計画の検証と評価をしつつ、長野県の気候非常事態宣言にある2050年ゼロカーボンの実現に向け、今年度から進める「長野市地球温暖化対策地域推進計画」改定は事実から目を背けることなく、これまでの施策が十分であったのかどうか、という認識に立ち、取り組まなければならない。
①改定する推進計画と「パリ協定」や「長野県非常事態宣言」の整合性はどうなるのか。
②第5次総合計画に、地球温暖化対策をどう盛り込んでいくのか。
③推進計画の施策と実施事業への部局横断的な取り組みが必要だが、環境部担当課の責任で推進するのか。
◇防犯灯LED設置(施策2-3)
◇市役所温暖化防止実行計画によるCO2排出量(施策2-4)
◇市有施設へのデマンド監視装置の設置と運用 ( 〃 )
◇市営自転車駐車場の収容台数(施策3-2)
◇自転車道などの整備園長 ( 〃 )
◇バスICカード年間利用件数(施策3-4)
◇市民一人当たりの公共交通利用回数( 〃 )
◇地域材(素材)生産量 (施策4-3)
④部局間連携の実績はあったのか。
⑤平成29年度から令和元年度までの温室効果ガス排出削減の目標に対する実績は。
⑥グレタさんの演説をどう受け止め、推進計画に反映させるのか。
令和元年東日本台風で大きな被害を受けた長野市は、これから本気で地球温暖化対策に取り組んでいくのかが問われていると思います。
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