長野市では、いよいよ荻原市長のもと、新たな市政運営が始まりました。2期8年の加藤前市長には心から敬意と感謝を、新市長には大きな期待をしております。
私自身に公務に加え、衆院選、市長選の対応等、まったく余裕がない状況であったため、事務作業がたまりにたまっている状況ですが、この間に書き留めていた原稿を見直し、本ブログに掲載させていただきます。
10月31~11月12日、英国・グラスゴーで国連気候変動枠組条約第26 回締約国会議(COP26)が開催されました。
COP26では、議長国の英国が「脱石炭」を最重要課題と位置づけ、温室効果ガス排出対策が取られていない石炭火力の段階的廃止を盛り込んだ声明に、46カ国・地域に加え企業組織が署名した、と報じられています。
しかし、米国、中国に加え、日本は署名を見送っており、環境NGOは、地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本が選ばれる、という残念な結果が付されてしまいました。
環境活動家のグレタ・トゥンベリさんはグラスコーでの演説で、世界の気温上昇を1.5度に抑える国際枠組みである「パリ協定」の努力目標達成について、「今すぐに思い切った排出削減が必要、政界やビジネス界は後ろ向きで、歴史が彼らを裁くだろう」と述べた、といいます。
日本政府は、地球温暖化対策について、2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、カーボンニュートラル達成のため、温室効果ガスの排出量の削減並びに吸収作用の保全及び強化をする必要がある、としています。
長野県では、本年6月、「長野県ゼロカーボン戦略」(2021年度から30年度までの10年間)を策定し、2030年度における温室効果ガス総排出量を基準年度(2010年度、H22)の16、980千t-CO2から7、987千t-CO2、55%削減する目標値を定めました。日本国内において、これから!という時に、化石賞を贈られる、というのは大変残念なことではないでしょうか。
そんな中、現在、長野市は来年度からの第3次環境基本計画が策定途中にあります。来年度から環境基本計画に統合される予定の本市地球温暖化対策地域推進計画の方針3「歩きやすい、暮らしやすい環境の整備」で、公共交通機関の利用促進、自動車利用の見直し、を掲げていますが、温室効果ガス排出量削減に向け、マイカー規制等、取組はまだまだ不十分です。
また、県のゼロカーボン戦略にある「吸収・適応分野」は、長野県の恵まれた自然環境「山・里・まち」を最大限活かすとし、CO2吸収量増加に向け、森林整備や県産材の需要拡大の推進など、グリーンインフラの推進を掲げられていますが、現在の第2次環境基本計画後期計画では目標未達成の分野となっています。長野市が持つ森林や農地等を最大限活かしたCO2吸収に繋がる具体的な取り組みが必要なのは言うまでもありません。
更に、長野市環境審議会地球温暖化専門部会は、審議会に対し環境基本計画策定における温室効果ガス排出量削減について、①国・県の動向を踏まえ、二酸化炭素排出量を2050年までに実質ゼロとすること ②2030年の中間目標においても、高い削減目標を設定すること ③長野市の特長を活かした戦略的な計画とすること等を提言しています。
部会の中で委員の発言で、「相当な覚悟と施策を掲げなければ不整合となるおそれがあると考える。また、市の取り組みによる実現可能性は未知数」とあったようですが、長野市として、第3次環境基本計画で定める目標達成のため、着実かつ責任を持って取り組んでいかなければなりません。
そのためには、市長のリーダーシップとともに国の本気度が問われます。国内はもとより、世界からも地球温暖化に向けて積極的な国であると位置づけられるような具体的な取り組みと発信が求められ、それが国内の地方都市に波及する効果を生み出さなければなりません。グレタさんが言うように、「今すぐに思い切った排出削減が必要」なのではないか、と考えます。
安全で安心な長野市を私たちの子や孫、その先の世代に引き継いでいくために、新市長と議会での議論を続けてまいります。
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