真の障がい者支援につながるか…長野市社会事業協会に問う、試金石ともなる令和5年度
去る1日、障がい者・とりわけ知的障がい者(以下/障がい者)に取り組むチーム「Gota」のメンバーが 長野市の外郭として福祉事業を担う「長野市社会事業協会」を訪問し、意見交換を行ないました。
こちらの「Gota」については これまでも触れていますが、長野市をはじめ地域や関係機関における障がい者への「支援」についてシンプルな疑問を抱き、その疑問に対する「正しい答え」を訴求しながら活動を重ねており、私もその考え方に共感し 行動を一(いつ)にしています。
その「Gota」が抱く 障がい者(知的障がい者)支援における〝シンプルな疑問〟の通底には「なぜ、等しく「人」であるのに 障がい者を障がい者と決めつけ、特別視するのか?」ということが挙げられます。
そのうえで、かかる「特別視」が 現下の福祉行政や福祉事業に悪しけく反映され、本来は向上…というより「普通」でなければならない障がい者福祉が低迷すると共に、その(低迷状態が)旧態依然のままに伝承され続けているのではないかという疑問なのです。
その「特別視」とは、特に 障がい者さんらが通う授産施設等(以下/施設)の場で顕著に表れています。
(これまでも触れていますが)これらの施設は、障がい者さんが通ってくれるおかげで国からの補助金・交付金(以下/補助金)が支弁され、それ(補助金)によって 施設の運営ならびに職員の給与等の必要経費として購(あがな)われています。
つまり 施設にとって、障がい者さんは いわばユーザー(主)であり、そこで働く職員はサービス提供者の立場(従)の関係であるハズなのです。
しかし 実際には、職員は 利用者である障がい者さんを「障がい者」と決めつけ、本来は「ユーザー」として 対等イヤ敬意をもって対応しなければならないところを、いかにも自分たち(職員)が利用者を管理するかの態度をもって接し、ときに虐待じゃないかとも思えるような ぞんざいな態度を取る〝主客逆転現象〟が公然と行なわれています
「あんたたちは障がい者なんだから、こっちの言うことを聞け」との勘違い=特別視。
また、かかる「特別視」は、障がい者(利用者)さんの賃金にも表れています。
通常は「時給」と表現されるハズの障がい者さんへの賃金は「工賃」と呼ばれ、その額は 驚くなかれ、時給100円から。
このことについては「いや、施設は就労のための訓練を行なう場なので 賃金(工賃)が低いのはやむを得ないことなのです。」との説明(言い訳)があるところですが、では 実際に、就労支援施設で時間を過ごして(過ごさせて)本当に就労につながったケースがどのくらいあるのか。
そのため(就労)に向けて、それぞれの職員は障がい者さんに真摯に向き合い、就労させるとの職責を果たしていると胸を張って言えるのか。
実態は、ほど遠いと言わざるを得ません。
そして残念なことに、その旧態依然の状況は 施設を監督する長野市の福祉行政においても同様です。
障がい者支援組織の職員らと同列の意識で 障がい者を特別視し、あくまで〝施し〟の姿勢で障がい者や関係機関と向き合い、進歩の乏しい福祉施策に終始している実態がある。
事ほど左様(ことほどさよう)に、関係機関が挙(こぞ)って障がい者さんを「特別視」し、いわゆる〝上から目線〟で対応(管理)している以上は、地域の障がい者支援など うまくゆくハズがない。
そして さらにタチが悪いことに、とりわけ障がい者支援団体などの特定の目的を有する組織においては 情報やモラルが〝内向き〟に終始し、自分たち(職員)にとって都合のイイ情報やモラルを優先し、本来はユーザーである障がい者さんのための内容が置き去りにされたままに事業を進めようとする帰来があるのです。
向いている方角が真逆の実態。
例えば(従前も触れましたが) 施設に高額な機械を設置する際も、本来は利用者が活用してナンボであるハズなのに、機械を設置することが目的になってしまい、その後の真の利活用は後回し。あげくは、その高額機械の減価償却のために利用者さんの工賃をも犠牲にするフシも見受けられ「何のための設備投資か」と言いたくなる〝ザル運営〟の実態もあるようです。
しかし そんな的外れの事業も、表面的には「あくまで障がい者のためです」との詭弁を弄し、そして、それを 本来は厳しくチェックすべき理事会・評議員会 さらに監事(監査)が、何の疑問も抱かずに容認していることも重ねて指摘(糾弾)されるべきところです。
これら〝根腐れ〟とも言える実態を強く憂慮する「Gota」は、これまでも再三に亘り長野市福祉の大手を担う市社会事業協会に意見具申を行なってきました。
しかし残念ながら、これまでの市社会事業協会のトップ(理事長)は 市からの単なる天下りによる〝素人理事長〟が就いていたことから、真摯な議論の投げかけも「のれんに袖押し」みたく(話しが)通ぜず かみ合わない状態が続いていました。
そんな中 今年度からは、現役時代は長いこと〝福祉畑〟を歩んでこられた 前市保健福祉部長のN氏が理事長職に就かれたことから「Gota」においては、今度こそ核心に触れた議論を交わすことができ、今度こそは真の障がい者支援(障がい者福祉)の向上が果たせると大きな期待を寄せるところです。
意見交換の中で「チーム「Gota」は、単なるオンブズマン組織ではありません。長野市の障がい者支援における問題点を厳しく指摘したうえで、最後は 真に障がい者さんの社会環境が向上…いや普通のものになるよう取り組んでゆきたいだけなのです。」としたうえで、いわば〝福祉のプロ〟であるN理事長の手腕に期待し、先ずは 市社会事業協会の「正確な実態」を把握していただき そのうえで「Gota」と向き合い ひいては協調しながら進んでゆくよう提案がされました。
そのためには、新理事長を迎え入れた組織全体の体質改善・意識改革も急務となっています。
理事長を補佐する立場においては、今までのように 上(理事長以下)に美麗な報告しかしない忖度(そんたく)体質を改め、管理職以上の意見(報告)と言うより 現場の職員・もっと言えば利用者さんの声にこそ耳を傾け「現場で何が行なわれているか」を正しくトップに伝え、抜本的に問題を解決する姿勢を示してゆかなければならないでしょう。
新理事長を迎えた令和5年度は、長野市社会事業協会にとって 真の障がい者支援を実行するための舵を切り直せるかの「試金石」ともなる年度になろうと思います。
私も「Gota」の一員として ときに厳しく福祉行政(事業)を見つめ、最終的に皆が笑顔で「普通に」暮らせる社会をめざし取り組んでゆきたいと 思いを新たにいたしたところです。
(なお、意見交換の中で チームリーダーのMくんから、踏み込んだ問題の指摘がありましたが、それらについては 個別の対応の都度にレポートしてまいります)
[参考]長野市社会事業協会 HP
↓
https://nagano-shajikyo.or.jp/