長野市議会議員会派

改革ながの市民ネット

行政視察に行ってまいりました

 先週、私が所属する長野市議会福祉環境委員会による行政視察がありました。視察報告書をまとめましたので以下、ご報告いたします。 今回は3都市におけるそれぞれの取り組みに関し、勉強させていただきましたが、全体を通して強く感じたのは、連携・説明、その上での協力が整ってはじめて物事がうまく進む、という当たり前のことです。長野市においても改めて肝に銘じ、市民の皆様から信頼を得ながら、市民の福祉の向上に向けて取り組まなければなりません。 〇5月21日(水) 富山県富山市「富山市エコタウン産業団地」 <概要>  平成9年度、国は「エコタウン制度」を創設し、平成12年度「循環型社会形成推進基本法」が公布された。富山市は、議会からエコタウン事業導入の提案を受け、市は可能性の調査及び用地選定、進出事業者の検討を始めた。平成13年度に用地を現在地に選定し、第一期、第二期事業をそれぞれ進め、平成15年度、4社が創業を開始し、平成22年度に当初予定のすべてに事業が開始された。  現在、7社が同団地において操業している。平成17年度、富山市が同団地内に「エコタウン交流推進センター」(同市環境部門が担当)をオープンさせた。 <現状>  同団地には、ハイブリッド型廃プラスチックリサイクル施設、木質系廃棄物リサイクル施設、生ごみ及び剪定枝のリサイクル施設、自動車リサイクル施設、難処理繊維及び混合廃プラスチックリサイクル・廃合成ゴムリサイクル施設、廃食用油リサイクル施設、廃棄物エネルギーセンター施設、そして、「エコタウン交流推進センター」が立地している。  富山地区はプラスチック加工業、石油関連企業、アルミ製造業など素材産業が多く立地していることから、再生品の需要が多く見込まれているところである。しかし、各事業所において、原材料の確保、販路拡大は課題であるとのこと。  更に、同事業開始から20年近くが経過する中で、当初の計画等の範囲を超える事業展開や施設更新等の必要性があるが、当時の規定により展開が難しい局面に接している。各事業所から計画等の改正について求められていることから、対応を検討していく時期と受け止めた。 <所感>  同団地は富山市北部工業地帯の一部であり、現在地(約18ha)は元々工場が操業されており、その跡地を活用している。よって、エコタウン産業団地に新たな事業所が進出した際、反対運動等は無かった、とのこと。各事業所が操業開始して以降、住民も参画している「エコタウン運営協議会」等の場において、その都度、説明会等を行っていることから近隣住民との関係は良好のようだ。  エコタウンでリサイクルされた製品等は、富山地区の主要産業に原材料として供給されている等、地域経済循環の面からの貢献もあると受け止めた。  こうした取り組みを参考とし、本市における環境、資源及び経済の面から循環型社会を構築していく上で、特に、市内の生産物の供給先の充実による長野市経済への貢献を更に目指す必要がある。 〇5月22日(木)愛知県豊橋市「豊橋市こども若者支援センター ココエール」 <概要>  平成17年度、児童福祉担当課が「要保護児童対策地域協議会」を、平成22年度に教育委員会が「子ども・若者支援地域協議会」を設置し、「子ども・若者総合相談窓口」を開設した。  その後、相談窓口における現場対応の困難さ等から、相談窓口の集約化、役割分担明確化等の課題解消に加え、虐待通告増加への対応、家庭訪問、他機関連携の必要性が高まり、平成29年度に「子ども・若者総合相談支援センター」が設置され、令和7年度「こども若者支援センター ココエール」と名称変更された。 <現状>  児童相談件数について、平成29年度1188件であったものが令和6年度では2660件。こども若者相談者数、平成29年度495人が令和4年度808人、令和5年度715人、令和6年度634人という推移をみると、ココエールの役割への認知度が向上していることがわかる。この間、職員体制では現在、平成23年度の4倍となる28名の職員が配置されるなど充実が図られている。  ココエールの取り組みは、令和4~6年度までの3か年度、「愛知県ヤングケアラー市町村モデル事業」として進められていた。現在は市独自の事業として進められている。 <所感>  同事業の特長として何点か上げたい。 ①「多機関連携」 要保護児童対策地域協議会、実務者会議、関係者会議、それぞれ、月1回開催され、関係する機関、担当者による濃密な連携が図られている、一例では、協議会に警察が入っている、また、「こんにちは赤ちゃん訪問事業」では、民生児童委員による祝い品を持っての家庭訪問等、各行政機関、地域等、社会全体で支援していく体制が構築されている。 ②「ケアリーバー支援」 令和4年度からフードバンクを活用し市が食糧を宅配している。相談窓口への案内を郵送することで相談先の周知を図っている。家庭訪問等により生活状況の把握に力を入れている。 ③「ヤングケアラー支援」 取り組みの柱に「気づき・寄り添い・支援する」を据え、令和3年度「ヤングケアラー支援宣言」を発し、大学学園祭や定時制高校でフォーラムを開催。ヤングケアラーの認知度が平成29年度の29%から令和6年度69%と上昇。また、相談件数では令和4年度1件が令和6年度77件等、取り組みの効果が顕著。  ココエールの機能と役割といえる「制度・サービスの隙間を埋める」、「他機関連携ののりしろ」、「一人ひとりの個性・特性・環境を理解する相談」、「自立まで寄り添う伴走型支援」を長野市においても参考とし取り組みを充実させたい。 〇5月23日(金) 兵庫県姫路市「こども未来健康支援センター みらいえ」 <概要>  同センターは、思春期・妊娠期・子育て期における切れ目のない支援を、より専門性を備えた包括的な支援を行うことを目的に令和5年4月に開所した(同センター開所以前は、保健所健康課が担っていた)。また、兵庫県の「性と健康の相談センター」の一部に位置付けられている。  特に、思春期及び母子保健に力を入れており、ライフステージに沿った「プレコンセプションケア」を通し、乳幼児・小学生・中学生・高校大学生等・社会人等の各段階において学び合う場を設け、身体の大切さを学び、また、ケアする体制を整えている。  また、市内全中学校への思春期出前講座(市内40校の1、3年生向け)は、保健センターと共同で実施されており、思春期講演会(最近はLGBTQに関する講演を教育関係者がよく参加される)、プレコンセプション動画の配信による啓発活動等が進められるなど、同センターの積極的な姿勢が窺える。 <現状>  「プレコンセプションケア」を通し学び合うことと同時に、思春期、周産期、子育て期と各ライフステージのおける相談体制の充実が図られており、電話、面談、訪問、オンラインと門戸を広くしている。思春期での相談では、内容がケース毎に異なり、対応が難しいケースが多いとのこと。また、周産期に流産等の際に、周囲からの励ましが却って周囲とのコミュニケーションを困難にすることから、周囲への支援を同センターが担うこともある。子育て期への相談体制は本年度(令和7年度)から本格実施となっている。  「ふたごの交流会」、「すまいるエンジェル」(ダウン症児の交流会)等の交流事業を実施するなど、次代の社会を担う者が健やかに育つ社会の実現に向けた取り組みが展開されている。 <所感>  同センターに配置されている8種の専門職(助産師、保健師、管理栄養士、歯科衛生士、心理士、保育士等)がそれぞれの専門性を発揮し、社会のニーズに対応できる体制を整えている。  上述のとおり、相談内容等によっては対応が困難なケースもある中で、関係機関等との連携がより必要にとなってくるのではないかと受け止めた。これは、複雑化する社会の中では長野市においても同様であり、若い世代が安心して暮らせる制度や体制の構築について検証する必要がある。  以上です。こうした視察から得たことをしっかり市政に反映することが我々の責務です。福祉環境委員会での活動も残すところ4か月余りとなりました。後半の委員会活動においても邁進してまいります。