長野市議会議員会派

改革ながの市民ネット

長野市でも地球温暖化、温室効果ガス排出削減に向けた積極的な更なる議論が必要

 本日(9/16)の信毎デジタルで気象防災アドバイザー大塚直樹氏の「日本付近で「いきなり台風」これから増える? 続く台風シーズン、新たな警戒ポイント」と題した記事が掲載されています。 まとめると、 ①九州付近でいきなり熱帯低気圧が台風に発達したのは、今年の夏の記録的な猛暑により日本の沿岸付近の海面水温が平年よりかなり高くなっていたことが原因のひとつ。 ②近年では、台風の発生場所が変化しつつある。日本へ接近するコースが増える傾向もみられる。地球温暖化により、台風が発達のピークを迎えるエリアが北上し、日本により近い海域で勢力を強めるようになっており、日本沿岸付近でいきなり熱帯低気圧が台風に発達するケースは今後も増える可能性がある。更に、日本付近に接近すると台風の移動速度が遅くなり、暴風や大雨が長時間続く可能性も高まるとみられ、極端な大雨が頻発しやすくなることも懸念される。 ③平成元年(1989年)以降に発生した主な気象災害の事例を調べると、9月が突出して多くなっている。2019年10月に千曲川の氾濫などを巻き起こした「令和元年東日本台風」や熊本豪雨とも呼ばれる「令和2年7月豪雨」、そのほか良く知られている「伊勢湾台風」や「狩野川台風」も顕著な災害を起こしたものとして挙げられるが、その32例のうち、およそ3分の1の10例が9月に発生している。 ④1951年から2024年までに関東甲信地方(東京都の島しょ部を除く)に接近した台風の数を月別に調べたところ、2000年までは8月と9月が突出して多く、10月になると9月の半分程度になっていたが、2001年以降は、10月も8月や9月と同程度の接近数となっている。 台風の影響が秋の中盤まで長引いている、あるいは後ろ倒しになっていることがうかがえ、地球温暖化により、海面水温が上昇していることや、10月になっても太平洋高気圧が南に後退しないことなどが要因と考えられる。  といったように、地球温暖化による自然災害のリスクは確実に高まっていると言えます。  長野市議会9月定例会における私の一般質問では、まさに、この地球温暖化の要因である温室効果ガス排出量を中心に次のように取り上げましたので一部紹介します。  今年7月の全国平均気温は、明治の統計開始以来、最も高温となった。更に、環境省が公表している長野地域の7月の暑さ指数(WBGT)は、日常生活における厳重警戒を示す「28以上31未満」が24日におよび、うち、危険を示す「31以上」は、4日発生した。 また、北陸、九州、東北地方で線状降水帯による豪雨が頻発するなど、地球温暖化のリスクが、身近に迫っていると実感させられる夏だった。  IPCC第6次評価報告書は「現在の気候状態は人間の活動が大気、海、陸域を温暖化させたことに疑う余地はない」と結論付け、また、本年から活動を開始した、極端気象アトリビューションセンター(WAC)は「2025年7月下旬の記録的高温は地球温暖化の影響がなければ発生しなかった」との分析結果を発表している。  本市は、温室効果ガス排出削減について、第三次環境基本計画に基づき対策を講じているが、それを上回るスピードで温暖化が進んでいるのでは、との危機感から、以下、質問する。 1:本市の温室効果ガス排出削減に向けて (1)本市の排出要因 ①全排出量は、2005年度から2017年度までの12年間で11.12%削減できたが、2017年度から2020年度の3年間では、15.16%と大幅に削減した。特に、業務と家庭部門の寄与率は72%となるが、要因は何か。 ②基準年の2005年度に対する2020年度の削減率を部門別にみると、農林水産業が大きく削減しているが、2021年には、基準年度比で16.58%と急増し、前年度比でも95.46%と大幅に増えている。審議会資料では、その理由を、電力と石油製品の使用増による排出量増、としているが、理解に苦しむ数字だ。真の原因を明確にしなければ、適切な対策を打つことができないが。 ③家庭の排出量は、基準年から2017年度までの12年間で5.79%増えたが、2017年度から2020年度の3年間では、一転して、19.8%削減している。ちなみに、2020年から2021年の1年間で7.27%削減しており、2017年以降の削減率は、概ね年間7%前後で推移している。2017年から削減に転じたのはなぜか。 ④本年4月、「現状値では、短期目標達成は不確実」との理由から、長野市第三次環境基本計画を改定したが、2017年度と比べ、2020年度は15.2%、2021年度は13.5%削減で(2020年比+2%)、平均は14.4%になる。そこで、逆算ではあるが、仮に、2021年度以降、14.4%の5分の1程度の、年率約3%強、毎年、削減できれば、排出量目標に近づくのでは。「不確実」とした要因は何か。 ⑤基本計画達成には全市民の参加が不可欠だが、多くの市民は、温室効果ガス排出削減の必要性を理解しているものの、生活の利便性を維持しながら、排出削減に繋がる活動を、具体的にどう実践したらいいのか、悩んでいるのではないか。そのため、部門毎の排出内容を「見える化」(資料2)し、市民自らが毎日の生活の中で、自然に行動できる仕組みを示すべきだ。 (2)具体的な排出量削減策 <家庭部門について> ①改訂された基本計画に、国の交付金を活用した新たな住宅等への重点的な取り組みとあるが、具体的に何をしようとしているのか。   ②家庭部門においては、必要なモノは長野市内で作り、長野市民が消費するという、地産地消の取り組みが有効だ。そのためには、直販施設や小売店等、市内全事業者の理解を得た上で、例えば、ラベル貼付等による「地産地消の見える化」やポイント還元を組み込んだ「フードマイレージ制度」の創設、更には、LED電球などの購入支援など、市民の自発的な参加を後押しするような施策に取り組むべきだ。 <運輸部門について> ①運輸部門について、令和3年9月定例会で温室効果ガス排出削減について、「運輸部門の構成要素別に詳細なCO2排出量を示し、これまでにない新たな発想による積極的な対策に踏み込むべき」と取り上げた。  それに対し、当時の担当部長からは「運輸部門排出量は全体の20.3%(44万9,357t)、そのうち、乗用車が7割を占めている。1人当たりのCO2の排出量は鉄道と比較して、バスは約3倍、乗用車は約7.3倍に上る。新たな発想による積極的な対策について環境部とともに、調査研究していく」との答弁があった。  その際に「通行規制を行うことによる低排出ゾーンの創設」などを提案したが、その後の取り組みはどうなっているのか。 (3)2050カーボン・ニュートラル ①第三次基本計画は、2050年の排出量を「121、650t-co2」としているが、これは、排出量と吸収量がイコールの状態(カーボン・ニュートラル)との理解で良いか。また、本年2月の審議会資料には「172、750t」(2021年度吸収量)とあるが、これとの関係はどうなのか。 ②吸収部門は森林だけなのか。国の「みどりの食料システム戦略」は森林について、「「伐って、使って、植える」循環サイクルの確立、CO₂吸収を最大化するエリートツリー等の開発・普及、健康で豊かなライフスタイル実現のための森林サービス産業の創出など、様々な施策を示しているが、これらを参考に、本市として、森林の力を引き出す取り組みに踏み込むべきだ。 ③令和3年9月定例会で「CO2吸収につながる具体的な取組として、果樹園の土壌に炭素を貯留して二酸化炭素濃度を低減するフォーパーミルイニシアチブ」を提案したが、それに加え、堆肥の利活用等の拡大により、本市農業の太宗を占める果樹を吸収産業に転換できるのではないか。 2050カーボン・ニュートラル必達に向けて、本市の強みである農林業を吸収産業として明確に位置付け、思い切った振興策を打ち出すべきだ。 (3)市全体の取り組み  私と市長は同学年だが、私たちが小学生だった昭和50年代夏の気温は、概ね、22~28度(※気象庁・過去の気象データ(長野)より)で、夏休みは朝から晩まで外で遊びまわったものだ。その後の青春時代では、夏と言えばTUBEの歌といったように、夏を心待ちにするワクワク、ドキドキの季節だったと思う。  しかし、今は、熱中症警戒アラートの発令を受けて、昼から夕方までは家の中にとじこもっている、という話をよくお聴きする。 異常気象のリスクは、自然災害、健康、食料の3つだ。その中の、健康リスクについて触れると、リスクは、熱中症だけでなく、「暑さがDNAに影響を与え、老化を早める」との研究結果が、南カリフォルニア大学から発表されたことから、健康への影響は深刻だ、といえる。  気候変動が、ティッピングポイントを超え、異常気象が一気に進む恐れがある、との認識を市全体で共有し、市民一人ひとりが着実に実践することが求められている。  本市の環境基本条例にあるように「行政、事業者、市民は、それぞれの責務を果たす」ことにより、温室効果ガス排出量削減に向け、市長が先頭に立ち、市民を巻き込んだ取り組みを進めて欲しいが。  他に、今夏は、異常気象による渇水の夏で、上越市では夏の猛暑が続き、1か月以上まとまった雨が降らないなど、深刻な水不足となり、農業用水の確保のために、消雪用の井戸水を使わざるを得なかった等の報道がありましたが、長野市においても水不足で農産物への影響が大きい、との声が届いています。  気象庁のデータによれば、昨年7月の降雨量が175.5mmだったのに対し、今年の7月は22mm(12.5%)、更に、2月から6月までの4か月の降水量は、昨年は868.5mm、今年は316,5mmと、昨年の36.4%となっており、深刻な状況だったことがわかります。  長野市における農業用水の供給は、用水路、ため池、貯水タンク、井戸による灌水、また、頭首工、揚水機場等の様々な灌漑施設により確保されていますが、更なる安定供給に向けて、「気候変動に強い水管理体制の強化」が必要、との観点から質問しました。  今回質問するにあたり、関係部署の担当の方からいろいろヒアリングさせていただき、また、私の質問趣旨及び内容について共感していただくことができたと思います。 地球温暖化の問題、また、温室効果ガス排出削減は、大きなテーマですが、様々なリスクの高まりから避けて通れない、更なる積極的な議論が必要です。引き続き、リスクをできるだけ軽減し、安全安心で安定した日常生活を送ることができる社会づくりに向け邁進します。

令和7年9月定例会が開会しました

 昨日、令和7年長野市議会9月定例会が開会しました。今定例会では、前年度の決算審査があり、また、正副議長選が予定されるなど、1年に締めくくりと同時に、1年の始まりともいえる定例会となります。  私も9月10日、一般質問で登壇を予定しており、その準備をしているところですが、まずは、昨日、議案説明が市長よりありましたので、概略をご報告します。 <上程された議案>  令和7年度長野市一般会計補正予算」では、歳入歳出それぞれ6億7、815万3千円が追加され、7月の鬼無里地区での豪雨など、6月から7月にかけての大雨による市内各所での道路や河川、農地、林道施設において、大きな被害が生じたことから、農地や林道等の災害復旧関連に要する経費、また、近年の猛暑や国内プロサッカーのシーズン移行に伴い、冷涼な気候の夏の合宿拠点の需要が高まっていることから、プロスポーツチームや社会人・学生等の大会・合宿の誘致による交流人口の拡大と地域経済の活性化、部活動の地域展開や市民も利用できるような、旧飯綱高原スキー場駐車場敷地を活用したサッカーグラウンド整備のための実施設計経費となっています。  条例関係では、子どもの権利を保障するための基本的な事項を定め、市の責務並びに保護者、市民等、育ち学ぶ施設、地域団体等及び事業者の役割を明らかにし、子どもの最善の利益を第一に考え、子どもが将来にわたって夢や希望を持てるまちの実現を目指すことを目的とする「長野市子どもの権利条例案」、また、令和8年度から学校給食費を公会計化するため、学校給食法の規定に基づき長野市の学校給食費徴収等に関し、必要な事項を定めるため、「学校給食費の徴収等に関する条例案」等が上程されました。 <令和6年度決算>  今定例会では、前年度の決算認定の審査が行われますが、決算の内容について、次のような説明がありました。 令和6年度一般会計決算について、歳入は、市税のうち、個人市民税は、国の総合経済対策「定額減税」等で、市税全体で12億円減となったが、定額減税の減収補填のための地方特例交付金及び地方交付税の増等により、前年度比で42億円増の1、709億円。  歳出では、物価高騰対策として実施した電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金が減となる一方で、定額減税を補足する調整給付金増、小中学校などの市有施設の長寿命化改修事業費や国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会施設整備費増等により、前年度比、61億円増の1、667億円となり、実質収支は26億円となった。  令和6年度決算に基づく財政健全化指標について、すべての指標で国の警戒ラインとなる早期健全化基準を大きく下回り、令和6年度決算時点での、長野市の財政は、健全性が保たれている。引き続き、健全財政を維持していくことが、大変重要である。 <市の動向>  不登校対応について、本年度開始したアウトリーチ支援事業「つながるサポート」は、コーディネーターやスクールソーシャルワーカーが一体となって取組を進めており、1学期末でおよそ70件の申込みがあった。子どもたちの中には、スタッフが自宅から校内教育支援センターまで一緒に登校し、興味のあることや学習を一緒に取り組み、登校や学習意欲の向上につながったケースがあった。また、自宅にて子どもや保護者と一緒に料理や工作を楽しみ、更に、直接会話が苦手な子どもには、オンラインでコミュニケーションを取るなど、一人一人に合わせた支援を実施している。今後も自宅に居る子どもたちや保護者が人とのつながりに安心感を抱き、心理的安定や学びへの接続など、必要な支援につながるよう、子どもや保護者の声を丁寧に聞きながら取り組んでいく。  公共交通確保について、廃止となる民間バス6路線のうち、3路線は10月から乗合タクシーでの運行が開始となり、残り3路線は、令和8年4月から市営バスでの運行に向け準備を進めている。また、AIデマンド運行システムを七二会、小田切、信更、信里地区への導入準備を進めている。  消防・救急体制では、猛暑日が観測史上最多となった記録的な猛暑の影響から、熱中症搬送者は8月末時点で、昨年同時期と比較して1.3倍に増加し、SNS等を通じ、注意喚起を呼び掛けている。  農業の担い手確保として、8月9日、10日の2日間、移住、就農を考えている方を対象に、桃の収穫体験と観光地を巡る「農×食体験ツアー」※1を実施した。また、11月には、りんごの収穫体験ツアーを予定しており、全国から多くの方に参加いただくことで、本市のファンを増やし、新たな担い手の確保につなげていきたい。  更に、本年度、企業等の参入を促進するため、「企業等農業参入支援事業」を創設したほか、実績豊富なコンサルタント事業者とアドバイザリー業務委託を締結し※2、戦略的事業構想の策定などを進めている。 ※1、東京から3名、更北地区の桃農家さんで収穫体験 ※2、6月、デロイトトーマツと締結  以上となります。  最後に、私の一般質問についてですが、今回は、温室効果ガスは逸出削減に向けた議論を予定しています。 今年7月の全国平均気温は、明治の統計開始以来、最も高温となり、環境省が公表している長野地域の7月の暑さ指数(WBGT)は、日常生活における厳重警戒を示す「暑さ指数28以上31未満」が24日におよび、うち、危険を示す「暑さ指数31以上」が4日発生、 また、北陸、九州、東北地方で線状降水帯による豪雨が頻発するなど、地球温暖化のリスクが、身近に迫っていると実感させられる夏でした。 既に発表されているIPCC第6次評価報告書は「現在の気候状態は人間の活動が大気、海、陸域を温暖化させたことに疑う余地はない」と結論付け、また、本年から活動を開始した、極端気象アトリビューションセンター(WAC)は「2025年7月下旬の記録的高温は地球温暖化の影響がなければ発生しなかった」との分析結果を発表しているように、長野市においても、第三次環境基本計画に基づき、温室効果ガス排出削減について、これまで以上に、危機感を持って取り組む必要があると思います。  後日、質問内容等についてご報告させていただきますが、しっかり準備して臨んでまいります。