長野市議会議員会派

改革ながの市民ネット

建設企業委員会行政視察(3)

 行政視察最終日は奈良県奈良市へ。奈良は中学3年生時に修学旅行で訪れて以来でしたが、当然、観光等は出来ませんでしたが、多くの外国人観光客、修学旅行に生徒さんで溢れるまちをみて、流石、奈良!と思わせるところでした。さて、奈良市での行政視察目的は「奈良市空き家対策計画及び空き家バンク・ならまち町家バンク」の取り組みについての調査でした。  まず、空き家対策の中で管理不全な空き家の解消に向けた取り組みでは、平成26年に「空家対策の推進に関する特別措置法」が成立され、奈良市においても人口減少、今後も更に空き家等が増加していくことを想定されていることから平成27年7月に空家等対策推進協議会を設置し、平成28年3月に奈良市空家等対策計画を策定、現在、様々な課題を抱えながら取り組みがなされているところです。そこで、水道閉栓データから抽出されたデータに基づき、現地調査対象を抽出、業者に委託し、敷地外からの外環目視等の実態調査を行ったとのことでした。  管理不全な空き家の解消に向け、住宅課が市民に対応する窓口となり、庁内各課との連携を図りながら適切な対応が出来るように取り組んでおられるようですが、この日も、この空き家を奈良市定住促進事業との連携を踏まえ、奈良ブランド推進課の方からの説明も受けました。 住宅課に寄せられる空き家等に関する相談・苦情では、庭木、雑草の繁茂、進入などの防犯面、スズメ蜂の営巣など平成27、28年度に270件ほどよせられたそうです。ちなみに平成26年度までは毎年平均すると、30件から50件ほどであったようで、担当課を設け、市民窓口を明確化したことで、まずは、解消に向けた取り組みの効果が表れたのではないかと思います。対応については、所有者にしっかりお知らせし、所有者の責任において手入れを行っていただいた、ということと併せて、国庫補助を活用した特定空家等除去費用補助金を設けるなど、補助件数は決して多くはないものの、奈良市としては、出来るだけ空き家を発生させない対策、管理不全にならないようにする対策、管理不全になってしまっ空き家等の管理者、所有者に対する方策など地域、事業者、産官学が相互に連携を図りながら取り組んでいく、というものでした。  平成27年に実施した調査で奈良市の空き家率は3.6%、中心市街地の一部であったり、東部地区といわれる中心市街地から離れた地域が5%以上と高くなっているということですが、平成27年度から奈良市の東部地区(中山間地)を対象とした空き家バンクを、平成23年から町家バンク(奈良市歴史的風致維持向上計画において設定された奈良町および奈良公園地区重点区域内)を策定し、2通りの制度の活用が行われております。町家バンクはいわゆる町場であり、民業圧迫とならないように、ということを踏まえての取り組みとのことでした。市が主体的に取り組んでいる空き家バンクでは2年間で10件の成立があったようですが、物件の登録が少ない、広報の不足、費用面、移住後のサポート体制、などなど今後の課題も山積のようであります。  長野市では、今年度、空家等対策計画作成協議会を発足させたところでありますが、昨年の秋から市内各地区で実態調査が行われ、市全体の空き家率はは4.8%、特に中山間地域では20%~40%強といった数字が出てきております。市の建築指導課、住宅課など11課が連携を取りながらプロジェクトチームを発足させ1年余り議論が交わされてきました。 倒壊などの保安上危険であったり、衛生上有害となるおそれがあったりといった特定空き家は困難かもしれませんが、空家を資源としてしっかり捉え、利活用がスムーズにできるような施策をしっかり構築していくことが大事ではないか、と思います。奈良市同様に長野市でも様々な課題を抱えながらの空き家対策ですが、知恵を絞り、粘り強く取り組んでいかなければなりません。

建設企業委員会行政視察(2)

 行政視察2日目、岡山県岡山市の取り組み「県庁通り・西川緑道公園筋回遊性向上社会実験」について調査してまいりました。まず、岡山市は平成21年4月に中核市から政令指定都市へと移行、人口72万弱のいわゆる大都市であります。自然増はないものの、社会増がわずかではありますが、広域から多くの人々が訪れるまちづくりを進めております。  そんな中、岡山市では平成26年に駅前エリアに大型商業施設が新規出店するなどし、江戸時代以降から岡山藩の城下町として古い歴史を持ち、長く商業の中心であった表町エリアの2極化が進み、駅前エリアの集客力を表町エリアなど中心市街地全体へ波及させるための方策に着手しているところです。  そこで、車中心から人優先のまちづくりに取り組むこととして、駅前エリアと表町エリアを結ぶ県庁通りにおいて、平成27年、28年の2年間にわたり、東進一方2車線の車道を1車線化し、歩いて楽しいまちづくりのための回遊性向上社会実験を行うに至ったわけです。さらに、県庁通りと接続する西川緑道公園筋でも歩行者天国化の社会実験にも取り組みました。 車道の1車線化は概ね1週間、歩行者天国は4回実施することで効果、影響、賑わい、などなど道路空間の再構築を検討するにあたって社会実験の検証を行ったとのことでした。  1車線化にともない心配された「交通渋滞」では、深刻な渋滞の発生はなかった、また、業者の荷捌きの需要が高かった、「歩行性・走行性」では、自転車走行レーンを設けるなど歩行者にはより安全で快適な歩行空間が保たれ、自転車利用者には特に快適に走行ができたとのことで、「回遊性・賑わい」に関しては、歩行者天国を行った西川緑道公園筋では通行料が10倍以上になるなど回遊性向上、賑わいの創出の効果があったと判断されているようです。そんな中ではありますが、警察関係とのさらなる協議であったり、地元等との協議、歩行者天国では市民主体の運営体制の構築といった課題を今後、どう解決し前に進めていくのかが更に知恵を絞っていかれるとのことでした。  長野市においても中心市街地の活性化、長野駅ー善光寺間の回遊性、また、郊外へのスプロール化など様々な課題が山積している中で、まずは岡山市のような積極的な社会実験などを通して市民全体でムーブメントを巻きおこせるよう知恵を絞り、かき集めながら取り組んでいかなければなりません。

建設企業委員会行政視察(1)

 5月22日~24日の3日間、長野市議会建設企業委員会で管外視察をしております。 初日の22日は、山口県宇部市を視察。長野市では、県信濃美術館改装にあわせ、城山公園一帯の整備を計画しており、これからの長野市における都市公園の在り方、整備等について参考yとするために、市民の憩いの場としてはもちろん、観光公園としてさ更なる進化を遂げている『ときわ公園』を視察しました。この公園も昭和30年代に開設し、昭和40年代には入場者数が70万人を超え、平成に入りピーク時から半減し、熱意のある取り組み等を経て現在ではピーク時の入場者数を超える目標を掲げながら取り組んでいるところです。  まず、宇部市は人口17万人弱で県内3番目の人口規模を誇り、明治期には石炭産業で栄え、以後、素材供給化学工業を中心とした臨海工業都市へと変貌した自治体です。ときわ公園は常盤湖を中心にスポーツ施設、ミュージアム、動物園、遊園地が集中しており、平成22年に『ときわ公園活性化基本計画』を策定、28年度に改定しながら今日まで熱意をもって取り組まれております。  直近の再整備ではときわ動物園のリニューアル整備を行い、平成28年3月にリニューアルオープンしたところです。それまでは入園料が無料でしたが、有料化に踏み切り、管理費以上に収入増となったとのことでした。園内は比較的コンパクトにまとめられている印象を持ちましたが、動物の生態を踏まえたゾーンで区分けするなど生息環境展示で特色を打ち出しておりました。ここで、今後の課題について大事な視点をお持ちであったのが印象的で、「公共工事で発注する場合、職員の思い入れがないと、マネになる(特色としている生息環境の再現が出来ない) 」ということです。施設の目的、コンセプトといったものが明確にあって、公共事業の一つという意識では決していいものは作れないだろうし、また、市民の憩いの場にもなり得ないだろうし、重要なことだと思います。  また、ときわ公園内には世界を旅し感動する植物園というテーマで「ときわミュージアム」が動物園同様に生息環境展示を行っており、各ゾーンにシンボルツリーを配置し、やはり特色を打ち出す努力をされております。そのシンボルツリーは輸入等を通し植栽しているものですが、その多くが寄贈といった形で市内企業、団体等から協力を得ているとのことでした。ときわ公園整備において平成12年に「緑の基本計画」、平成25年に「緑と花の計画」に沿って取り組んでこられました。今後の課題も多々あるようですが、この宇部市はかつては工業都市故に公害、環境問題に直面し、産官学民の四者一体となって環境共生都市へと高い意識をもってこられたのだと感じております。  市民全体で享受できる都市公園、まさに市民の憩いの場となりえる公園とするためには長野市としても上述の城山公園整備を行っていく上で、人口減少とともに財政規模も縮小する中で、様々な議論がされることになりますが、熱い思いと地域の特色、さらにワンランク上を目指していかなければならないと思います。