長野市議会議員会派

改革ながの市民ネット

令和2年7月の大雨

 この度の災害に際し、被害に遭われた皆様に対しまして、心よりご冥福とお見舞いを申し上げます。  九州地方での大雨に続き、去る、7月8日、長野県にも大雨特別警報が出された。犀川は長野市から上流の安曇野市明科の陸郷地点、長野市信州新町の弘崎地点、そして小市で水位が上昇、更に、千曲川では杭瀬下、立ヶ花それぞれの地点においても水位が上昇していった。私の地元中の地元は犀川を背にしており、早朝から地元消防団の方々が警戒の任に就かれていた。  この日、私は早朝6時から流域を巡回。川の流れの速さに絶句した。犀川の流速(陸郷と小市地点)について調べてみると、洪水時は平常時の4倍から8倍と非常に早くなる、と千曲川河川事務所発行の「千曲川・犀川の河道特性」に書かれている。  時間の経過とともに、水位の上昇の脅威に直面した。私の自宅近くにあり、私も定期的に利用している「犀川南マレットゴルフ場」の半分が川と化していたのだ。更に下流を巡視してみると、犀川と千曲川の合流地点である落合橋付近は高水敷まで水が上がっていた。  地球温暖化、気候変動を踏まえた抜本的な治水対策を早急に確立させ、必要な事業を進めていかなければならない、と改めて感じている。 その上で、ここ数日の新聞報道から気になった事項を取り上げる。 <ダム事前放流、木曽川水量減(7月9日、信濃毎日新聞より)>  梅雨前線の影響による今月上旬の大雨で、県や関西電力などが管理する県内13のダムは、降雨のピーク前に放流し、水位をあらかじめ下げる事前放流を行った。  5月29日、長野県、関係市町村、電力会社が大雨に備えた治水協定を結んだ。これにより、県内千曲川水系の26ダム、木曽川水系は9ダム、天竜川水系2ダムで事前放流などの洪水調節が可能となった。  協定締結後、初となった今回の事前放流は、木曽川水系の8カ所のダムで約4200万トンの容量を確保し、氾濫の危険があった木曽川の水量を2割ほど減らす効果があった、とされている。今回、木曽川水系の他に、千曲川水系4ダム、天竜川水系1ダムで実施された、とのこと。 ➡ダムの事前放流は、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに盛り込まれている「既存施設を活用した洪水被害軽減対策」の一つだ。今般の検証は、今後行われると思うが、結果を待ちたい。  国交省関東地方整備局は、昨年の台風第19号時、利根川上流の7つのダム群は1億4,500万トンを貯留し7ダムが無ければ利根川水位が約1m上昇した、とダムの効果を評価している。 この評価については、専門家の間で幾つかの見解があるようだが、長野県内にあるダムを治水対策として活用することは、事前放流による危険性を排除する方策をきめ細かく定めた上で治水効果を高めていくことが必要だ、と考える。 <堤防の被覆型工法は最も優れた工法(7月8日、信濃毎日新聞より>  国交省北陸地方整備局は7月7日、千曲川堤防調査委員会に台風19号災害による長沼穂保の千曲川堤防決壊について、復旧方法や決壊原因をまとめた報告書案を提示し、了承を得た。  決壊箇所を含む前後140m区間で住宅側と川側(表裏法面)をコンクリートブロックで覆う工法を明記した上で、越水などでブロックが壊れないよう法面の勾配を緩やかにすることなど、工事をする際に留意点が盛り込まれた。  同委員会の大塚悟委員長(長岡技術科学大学大学院教授)は「絶対に大丈夫とは言えないが、現在考えられるものでは最も優れた補強だ」とした。報告書案は7月末までに同整備局がホームページ上で公表する、としている。 ➡私も報告書が出来次第、確認したいが、今回損壊した堤防(破堤には至っていない)については、被覆型工法ではなく、危機管理型ハード対策(法面全体を覆う工法でない)が採用されている。大塚委員長が認めているように、現在考えられる最も優れた補強であるのならば、堤防復旧では原則、すべての箇所で被覆型を採用すべきだと、考える。更に、国が示している重要水防箇所で裏法面補強が必要とされている箇所への採用も検討すべきだ。 <長野市長、国に要望(7月8日、信濃毎日新聞より>  7月10日、長野市長は千曲川改修期成同盟会として、国土交通省北陸地方整備局に対し、災害防止のための遊水池などの洪水調節施設の整備、河道掘削による河川整備の進捗を強く要望する。 ➡市議会の3月及び6月定例会で取り上げた内容であることから、要望内容等について確認したいと考える。私は、特に遊水池に洪水調節機能としての大きな期待を寄せている一人である。ダムの事前放流と遊水池はセットで、総合治水対策を進める上で重要な事業である。しかし、利根川水系の3つの遊水池を調査してみると、遊水池設置は、その道のりは平たんでなく、予算や用地の確保等の難題が待ち受けている。いかに進めていくのか、議会で議論を深めていく。 <台風第19号対応、長野市が報告書公表(7月9日、信濃毎日新聞より>  長野市は、台風第19号災害をめぐる市の対応について課題や対応策をまとめた「検証報告書」を公表した。 その中で、災害廃棄物処理について、仮置き場の開設を想定し、普段から候補地を調整する、とまとめている。 ➡報告書公表に関し、7月7日に議会への報告があり、その後、危機管理防災課と議論。  仮置き場の調整は大事なことである。肝心なことは、発災直後の仮置き場、その周辺の交通渋滞等で復旧作業の第一段階である家財等の搬出で混乱を招かないことだ。私は昨年、発災直後から、連日、各被災現場で家財の搬出、運搬作業を行ったが、天候により仮置き場に車両が入れない、仮置き場まで距離があり時間がかかる、車の渋滞等の課題を感じた。そうしたことから各地で仮置き場が住民主体で設置され、復旧作業を前進させた、と受け止めている。いかにスムーズに荷物を運び出せるかが、その後の復旧作業を大きく左右させると思う。その上で、被災状況や被災地のインフラ含めた環境等を考えると、現場から上がってくるニーズを的確かつ迅速に捉え、柔軟に対応できる体制を整えることがより重要な視点ではないか、と主張させていただいた。  今回の大雨で被害を受けた熊本県の様子を見ると、仮置き場は大混雑、数時間待ちだけでなく、時間内に荷物を降ろすことができず、そのまま帰路に就く、といった報道もある。想定するのは大事であるが、こうした状況を作らないことを大きな課題として捉えることが大事なのではないか、と考える。

九州熊本、球磨川の氾濫

 九州屈指の1級河川である球磨川氾濫の報道が飛び込んできました。球磨川は、その源を熊本県球磨郡銚子笠に発し、人吉・球磨盆地を貫流し、山間の狭窄部を流下し、八代平野に出て八代海に注ぐ、流路延長115km、流域面積1,880km2の河川です。  速報(時事通信)によると、7人死亡、14人心肺停止、重体1人、行方不明者が4人との報道であり、心よりご冥福とお見舞いを申し上げます。  7月5日付け信濃毎日新聞は、球磨川は上流から下流にわたり氾濫し、広範囲で冠水。人吉市内では約20m区間で堤防が決壊した、また、狭い川幅と水があふれやすい地形であった、と報じています。  国土交通省河川局は、平成19年5月に「球磨川水系河川整備基本方針」を策定していますが、私がインターネットで河川整備を進めていく上で策定する「河川整備計画」を探したところ、見つけることができませんでした。(探し方が甘かった可能性もあり、策定され公表されているかもしれません。河川法第16条の2は、河川整備基本方針に沿って計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画を定めておかなければならない、としていることから策定されているはず、ただ、熊本県河川課HP上から策定された記録が示されていない)  取り急ぎ、球磨川水系河川整備基本方針(以下、基本方針)を確認してみました。 <河川の概要>  上流部は、人吉・球磨盆地の田園地帯を蛇行しながら流下し、人吉市街部を貫流する。  中流部は、山間狭窄部で急流となっており、川岸は巨岩や奇岩が連なり瀬と淵が連続して交互に出現している。  下流部は、八代市街部を貫流する。  以上を見ると、報道であるように、上流から中流部に所在する山間狭窄部が治水対策上の課題だった、と解します。 <これでの治水事業>  本格的な治水事業は、昭和12年に下流の八代地区(荻原地点)の計画高水流量を毎秒5,000tと定め、更に、昭和22年、上流の人吉地区(人吉地点)の計画高水流量、毎秒4,000tとし河道拡幅、築堤、掘削などの改修が行われたのが最初であった。  その後、昭和29年8月及び9月の出水を契機とし、昭和31年に計画を見直し、(今般、緊急放流について報道にあった)市房ダムで毎秒500tの調節を行うことで、基本高水流量を荻原地点、毎秒5,000tに人吉地点で毎秒4,000tとした。(市原ダムは昭和35年完成)  更に、昭和40年7月、当時の計画高水流量を上回る洪水に見舞われたことから、計画高水流量を荻原地点で毎秒7、000t、人吉地点では昭和22年と同じ毎秒4、000tとする工事実施基本計画を昭和41年4月に策定した。  この計画に基づき、上流の人吉では中心市街地の対岸において引堤※を実施。中流から一気に流下し、大きく湾曲した八代市街部で大規模な引堤、築堤、掘削、護岸整備等が実施された。(※川の流下能力を大きくするため、川の幅を拡大し既設の堤防を堤内地側に移動させること)  しかし、昭和57年7月、人吉地点で計画高水流量を大きく上回る洪水が発生、家屋損壊47戸、床上浸水1、133戸に及ぶ甚大な被害が生じ、更に、平成5年、7年、16年、17年の洪水時、人吉地点では計画高水流量と同程度の流量が発生し、中流部を中心に浸水被害が発生した。  ここまで、平成19年策定の基本方針から氾濫と治水工事についての概略です。その上で、私が確認したいことは、洪水調節機能を設けた上で計画高水流量が定められた、と受け止めますが、人吉地点での計画高水流量は、昭和22年は毎秒4、000t、昭和31年に毎秒4、000t、昭和40が年毎秒4、000tと、計画高水流量の改定がなされていないことです。  基本方針で定めた洪水調節機能の整備がどこまで行われていたのか、どこまで実効性が高まっていたのか、重要な確認事項だと思います。 <基本方針で定めた災害発生防止又は軽減について>  平成19年5月策定の基本方針は、河道や沿川の状況等を踏まえ、地域の特性にあった治水対策を講じ、具体的には堤防の新設、拡堤、河道掘削、護岸整備を実施する、としております。また、計画規模を上回る洪水及び整備途上段階での施設能力以上の洪水が発生し氾濫した場合においても、被害をできるだけ軽減させるために河道や沿川の状態、氾濫形態等を踏まえ必要な対策を実施する、とあります。  先にも記したように、球磨川の整備の基本となるべき事項において、洪水調節施設により流量を調節することで河道への配分流量を少なくする、とされていることから、過去の水害を考慮しながら計画高水流量の見直しや適宜対策工事を行ってきたとすれば、基本方針また整備計画に基づく基準そのものの妥当性(例えば、人吉地点の計画高水流量が据え置かれてきた点、計画高水流量の改定がなければ、計画高水位の見直しも無い可能性が高い)が疑われても仕方がない、と感じます。  そもそも、人吉地点では、何もしなければピーク時に毎秒7、000tの流量があり、基本方針で定めた毎秒4、000tを安全に流下させるために洪水調節施設で毎秒3、000tの調節が必要です。素人の机上の計算ですが、毎秒3,000tなので、仮に、1時間分を貯留させようとすれば180万トン規模の調節が必要となるのではないでしょうか。  今から10年以上前に策定された方針に基づき、どこまで実現されたのか、ここまでどんな進捗管理、検証、議論がなされてきたのか、その内容によっては行政や政治の責は大きいと感じます。 <各水害を教訓とし、流域市町村の役割が求められる時代>  私は、これまで市議会において1級河川である千曲川及び犀川に関する河川整備について、再三取り上げてきました。1級河川は国管理河川であることから、整備や管理の面で長野市は、直接的な事業展開は原則できません。(河川法第9条により都道府県知事、指定都市の長が行うことができる管理もある)  しかしながら、特に昨年に台風第19号により大きな被害を受けた長野市はもちろんのこと、1級河川を擁する地方自治体は、国だとか県だとか言っていられないはずです。流域住民である長野市民の生命と財産を守るために、積極的かつ主体的に関与し、市民の安全と安心につなげるための働きをしなければならないと考えます。  そうしたことから、私は引き続き、国管理河川でありますが、議会で取り上げ続けていくことが私の役割だと考えます。  球磨川の氾濫に関して、これから様々な専門家による検証がなされると思います。私もそれらの報告について自分なりに検証し、国の果たしてきた役割、県及び流域市町村におけるこれまでの取り組み、更に昨今の気候変動等を踏まえ、今、必要な河川整備とは何のか、捉えていけるように努力します。

新型コロナ対応、21億円強の補正予算専決処分

 長野市長は6月30日、新型コロナウイルス感染症対応のための令和2年度長野市一般会計補正予算21億3千92万6千円を専決処分しました。国の第二次補正予算を活用し各種事業に着手することとなります。  まず、市長専決処分とは、本来、議会の議決や決定を経なければならない予算等の事柄について、地方公共団体の長(市長)が地方自治法の規定に基づき議会の議決や決定を待たずに自ら処理(決定)することをいいます。  しかし、いつでも、何でもできる訳ではなく地方自治法179条1項は、 1、地方公共団体の議会が成立しないとき。 2、議長又は議員が親族の従事する業務に直接の利害関係があるため等(113条ただし書)の除斥事項に該当する場合においてなお会     議を開くことができないとき。 3、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らか   であると認めるとき。 4、議会において議決すべき事件を議決しないとき。  と定めており、179条3項は、「この処置については、地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない」としています。  そもそも、地方議会の役割とは何でしょうか。 知事や市長そして議員は、それぞれ住民からの直接選挙によって選出されます。市長は執行機関の長として行財政運営を進め、執行機関の監視機能の役割を担うである議員によって構成された議会とともに二元代表制のもとで運営にあたるとされています。  そして、市長が予算や決算、条例の制定、改定などの事柄について議会に上程した議案について、議会において審議し可否を決めていくのが本来の議会の姿であり、果たすべき役割であります。  地方自治法のもとで運営されている議会における審議や可否を問うことなく、市長専決で粛々と予算化、事業化が進められていくことは二元代表制の機能を果たしているとは言えないと考えます。  また、6月30日に専決処分された補正予算額は、21億3千万円余りと規模が大きく、更に、市内経済回復に向けた支援事業が主なものとされていることから、議会における議論が必要ではなかったのか、と思います。  しかし、今般の補正予算は、6月24日、国が第2次補正予算に盛り込んだ2兆円の地方創生臨時交付金を財源として新型コロナ対策を進めていくこととなり、国が示す受付から交付決定までのスケジュールは、7月末が先行受付、9月末が最終受付の期限とのことであることから、長野市としての早急な対応が求められるものであると考えます。  長野市はこれまで新型コロナウイルス感染症関連補正予算として、国の第一次補正予算での地方創生臨時交付金を財源の一部とした5月補正(臨時会で議決)で393億円余り、6月補正(定例会で議決)で3億9千万円余りを議会において可決され、現在、様々な事業が展開しております。  更に、6月専決補正21億3千万円余りにおいて、国の第二次補正予算の地方創生臨時交付金を活用しての事業化を図ることとなる等、これまで以上に、様々な対策を講じていくことになります。  長野市は、この難局を乗り越えるために、国の財政支援をいかに活用できるか、底力が問われます。 今後、●医療提供体制の整備 ●感染機会の削減と行動変容 ●地域経済の維持と発展 ●住民生活の維持と学習機会の確保等を早急に図る上で、上述の地方自治法第179条第1項の3のとおり、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がない場合としての対応だと、専決処分を受け止めております。  長野市議会は7月7日、専決補正予算の内容について説明を受ける予定です。行政サイドによる各種支援事業の内容や予算執行の妥当性等、調査そして論議してまいります。

新型コロナ対応、21億円強の補正予算専決処分

 長野市長は6月30日、新型コロナウイルス感染症対応のための令和2年度長野市一般会計補正予算21億3千92万6千円を専決処分しました。国の第二次補正予算を活用し各種事業に着手することとなります。  まず、市長専決処分とは、本来、議会の議決や決定を経なければならない予算等の事柄について、地方公共団体の長(市長)が地方自治法の規定に基づき議会の議決や決定を待たずに自ら処理(決定)することをいいます。  しかし、いつでも、何でもできる訳ではなく地方自治法179条1項は、 1、地方公共団体の議会が成立しないとき。 2、議長又は議員が親族の従事する業務に直接の利害関係があるため等(113条ただし書)の除斥事項に該当する場合においてなお会     議を開くことができないとき。 3、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らか   であると認めるとき。 4、議会において議決すべき事件を議決しないとき。  と定めており、179条3項は、「この処置については、地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない」としています。  そもそも、地方議会の役割とは何でしょうか。 知事や市長そして議員は、それぞれ住民からの直接選挙によって選出されます。市長は執行機関の長として行財政運営を進め、執行機関の監視機能の役割を担うである議員によって構成された議会とともに二元代表制のもとで運営にあたるとされています。  そして、市長が予算や決算、条例の制定、改定などの事柄について議会に上程した議案について、議会において審議し可否を決めていくのが本来の議会の姿であり、果たすべき役割であります。  地方自治法のもとで運営されている議会における審議や可否を問うことなく、市長専決で粛々と予算化、事業化が進められていくことは二元代表制の機能を果たしているとは言えないと考えます。  また、6月30日に専決処分された補正予算額は、21億3千万円余りと規模が大きく、更に、市内経済回復に向けた支援事業が主なものとされていることから、議会における議論が必要ではなかったのか、と思います。  しかし、今般の補正予算は、6月24日、国が第2次補正予算に盛り込んだ2兆円の地方創生臨時交付金を財源として新型コロナ対策を進めていくこととなり、国が示す受付から交付決定までのスケジュールは、7月末が先行受付、9月末が最終受付の期限とのことであることから、長野市としての早急な対応が求められるものであると考えます。  長野市はこれまで新型コロナウイルス感染症関連補正予算として、国の第一次補正予算での地方創生臨時交付金を財源の一部とした5月補正(臨時会で議決)で393億円余り、6月補正(定例会で議決)で3億9千万円余りを議会において可決され、現在、様々な事業が展開しております。  更に、6月専決補正21億3千万円余りにおいて、国の第二次補正予算の地方創生臨時交付金を活用しての事業化を図ることとなる等、これまで以上に、様々な対策を講じていくことになります。  長野市は、この難局を乗り越えるために、国の財政支援をいかに活用できるか、底力が問われます。 今後、●医療提供体制の整備 ●感染機会の削減と行動変容 ●地域経済の維持と発展 ●住民生活の維持と学習機会の確保等を早急に図る上で、上述の地方自治法第179条第1項の3のとおり、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がない場合としての対応だと、専決処分を受け止めております。  長野市議会は7月7日、専決補正予算の内容について説明を受ける予定です。行政サイドによる各種支援事業の内容や予算執行の妥当性等、調査そして論議してまいります。

長野市議会6月定例会閉会

 令和元年東日本台風災害からの復旧・復興途上における新型コロナウイルス感染防止対策に日夜を分かたぬ、私たちの生活を支えていただき、高まる感染リスクの下で、懸命に私たちの生活を支えていただきました医療従事者の皆様、保健所を始めとした関係者の皆様、経済の停滞に伴い日々ご苦労されている事業主の皆様、そこで働かれている従業員の皆様、緊急事態宣言下で自粛要請にご協力いただいたすべて市民の皆様に敬意と感謝を申し上げます  4月16日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が全国に拡大され、長野県においても法に基づく外出自粛や休業要請がなされ、先月の解除に至ってもなお、世界を見回してみると、終息の気配を感じるに至らない中、改めて、一日も早い感染症の終息を願うばかりであります。長野市を含む各行政機関、医療機関、関係者、そして市民の皆様のご協力のもと、感染防止、生活の維持確保が後手に回らないよう、特別な施策の展開が求められております。  新型コロナウイルス感染症に対し、現在、これから起こり得るだろう第2波、第3波への準備段階にあると思います。新型コロナという見えない脅威に対し、いかに課題を克服し、市民の不安を払拭していくのか、長野市のみならず県や国の底力が問われていると思います。  去る、6月19日、長野市議会6月定例会が閉会しました。6月定例会に上程された一般会計補正予算案をはじめ、条例の改正案などについて審議、採決が行われ、すべての議案に関して原案通り可決に至りました。今回、大きく分けて2つのこと、1つ目は議案について、そして、2つ目は、私の一般質問について、ご報告させていただきます。  まず、私は、補正予算案に賛成いたしました。その理由は、今回の補正予算額9億7千126万5千円の主な内訳は、新型コロナウイルス症関連で3億9千547千円と東日本台風災害復旧・復興関連5億7千134.2千円であり、いずれの事業においても可及的速やかな予算執行が求められると考えます。  長野市は昨年の台風第19号で甚大な被害を受け、更に、今般の新型コロナウイルスの影響下にあって、今日まで築き上げたインフラの整備、そして復旧・復興、経済社会活動の回復への歩みを進めていかなければなりません。一方で、私たちの暮らしの良き伝統を守りつつも新たな時代への変革が求められている、試練を与えられたのではないか、と受け止めております。  日本を含む世界の歴史を振り返ってみますと、ペスト、コレラ、スペイン風邪、昨今ではSARSやMARS、更に、狂牛病、鳥インフルエンザ、豚コレラ等、私たちの生活の傍らには常に感染症がつきまとい、感染症との闘いを繰り返し今日の発展に至っている、と言っても過言ではないと思います。  今月発売のある月刊誌で、昭和史研究家の保坂正康氏は、日本は開国時、海外から流れ込んだ疫病に苛まれた。1867年に誕生した明治新政府にとって最も厄介な伝染病はコレラだった。それまで鎖国政策を続けてきた日本では国民に不安が広がり、江戸の死者数は数十万人との記録があるほどだった、とのことです。更に、1877年、西南戦争の折には、海を隔てた清国でコレラの流行が始まり、大久保利通らが率いる新政府は内務省衛生局を使って、石炭酸による消毒やトイレ、下水溝の清掃などの予防対策、患者発生の届出、避病院の設置、清潔方法・消毒方法の施行などが記載されたコレラ病予防心得という通達を府県に発し、その第13条では、病者ある家族で看護に当たる者以外は、他家に避難させて、みだりに往来することを許さず、とあった、と記しております。  今、コロナ渦で日本のみならず世界各国で行っているコロナ対策とほぼ同様の対策を、江戸から明治へと改元となった明治維新後の時代に既に行われていた、ことになります。現代社会における感染症対策のはじまりともいえるのではないでしょうか。  御承知のとおり、明治時代は、地租改正による安定した財源の確保、管制や身分制度などの改革、殖産興業、円(えん)・銭(せん)・厘(りん)の三つの単位を採用した新貨幣制度の制定、国立銀行条例が発布され、第一国立銀行の建立、他にも通信・交通・文化の発達等、大きな変革が伴った時代であります。  その過程において、感染症をはじめとした大きな困難を克服し、社会に大きな変革をもたらし、発展し、今を生きる私たちの生活の礎を築き上げた時代であり、国民と政治の底力の賜物だったのでは、と思います。  今定例会で可決した補正予算、そして5月に開催された臨時会で可決された補正予算、そして、これからも適宜、補正予算等について熟議を重ねながら、長野市が目指す、幸せ実感都市ながの、の実現に向け、想いを共有しながら、速やかな予算執行により、新たな時代を作り上げていく上で必要な予算であるとの考えから、賛成いたしました。  次に、通算13回目の登壇となった一般質問についてご報告いたします。 令和元年東日本台風から7か月が経過し、甚大な被害を経験した長野市は、今の世代はもとより子や孫の世代に対し、水害から地域の生命と財産を守るため、堤防を初めとする河川の現状について正確に把握することで、今何をすべきかを明確にした上で、やれることを着実に進めてく責務があると思います。そのため、千曲川・犀川に囲まれている更北地区を含め、国が定める堤防の基準に対する現状と国が重要水防箇所として示している堤防高の不足、水衝部の洗堀等の課題に関し取り上げました。  詳細については、割愛させていただきますが、今回、議場での議論を通して確認できた点、その上で判明した課題についてご報告します。 1つ目は堤防高のあるべき姿(基準)と実態についてです。 犀川と千曲川合流地点から上流域の堤防の高さは、国が示している堤防高と乖離があるのか、です。河川法に基づく河川管理施設等構造令第20条で、国はあるべき堤防の高さ、いわゆる完成堤防の基準を定めていますが、質疑を通して、更北地区の千曲川堤防では、千曲川左岸、小島田町の70.6キロから71.3キロにおいて堤防拡幅、築堤区間として位置付けられており、暫定堤防とのことでありました。このほかの堤防は、堤防高、堤防幅ともに計画堤防断面が確保された完成堤防である、との明確な答弁をいただきました。  しかし、議論の中で、住民の不安を解消できる状態には至っていないこと、更なる課題が明確となりました。  そこで、重要な課題を二つ挙げさせていただきたいと思います。 一つ目は、台風第19号時における流量です。過日、信濃毎日新聞にて報道されていたとおり、千曲市杭瀬下での流量が、国が平成20年に策定した河川整備基本方針、平成26年に策定した河川整備計画で示していた流量を大きく上回った、ということです。その結果、篠ノ井、松代、若穂、長沼、豊野各所で大規模の洪水が発生に至ったと推察します。このことを市民一人ひとり我が事として受け止めなければならず、つまり、これまから河川整備を進めるうえで、国が定めていた基準が既に基準とはなりえていない、という現実を認識し、長野市は市民の生命と財産を守りぬく強い意識のもと、主体的に必要な整備に関わっていく必要があると考えます。  もう一つは、現在の堤防高が、完成堤防の基準を満たしているとはいいながらも、国の重要水防箇所一覧では、更北地区内千曲川及び犀川堤防において、堤防高不足と評価されている箇所が何か所も存在している、ということです。更に、重要水防箇所解消に向けた整備が遅々として進んでいないのではないか、という疑念であります。現在、国土交通省に対し、過去の河川整備状況に関する資料を請求中ですが、今日に至るまで、我がふるさとの堤防整備がいつ、どのような、どんな目的で行われてきたのか、検証していく必要があります。  今後の市議会定例会等の場で、長野市は当事者意識を更に高めながら、地域住民はもとより市民の安全な暮らしの形成に向けて歩みを加速させ、努力を重ねていかなければならない、ことを主張し議論を重ねていくことが私の責務であると、改めて、捉えることができた6月定例会となりました。  今年度、そしてこれからの長野市は、災害からの復旧・復興、そして、新型コロナウイルス対策、加えて、今、直面している諸課題の解決に向け、長野市の底力が問われていると考えます。  明治維新を経て、様々な課題を克服し、近代社会の形成を図った大変革期であった明治時代のように、現代を生きる私たちは、数十年、数百年後の長野市民が、心豊かに安全で安心した生活を営むことができる社会の礎を築きあげる更なる一歩となる大きな変革期であった、と後世に胸を張って繋げていくことが市議会議員としての重い責務であります。私自身、長野市が抱える課題や問題点の本質を見極め、解決に向けて更に邁進していきます。

長野市議会6月定例会開会

 長野市議会6月定例会が本日開会し、一般会計補正予算含む議案13件、承認5件、報告16件が上程されました。  今回の補正予算は、歳入歳出それぞれ9億7,126万5千円が追加され、その財源は国庫支出金1億7,474万9千円、県支出金4億2,3357万4千円、財政調整基金からの繰入金4億5,201万2千円、市債850万円が充当されます。  補正予算の他の主な議案では条例改正があります。その中の長野市市税条例については、新型コロナウイルス感染症等の影響から厳しい経営環境にある中小企業者の納税負担を軽減するため、資本金1億円以下の法人を対象に法人市民税均等割の税率を2年間に限り引下げる、内容のコロナ対策のための条例の一部改正があります。  これから各常任委員会での議論が行われますが、私が属する福祉環境委員会においても付託された議案がありますので、しっかり審議してまいります。  本日冒頭、市長、副市長から議案説明等がありましたの、一部ご紹介します。  長野市は県の要請と協調し、市民に対し外出自粛やイベント自粛等を呼び掛けた。 5月14日に長野県を含む39県について緊急事態宣言が解除され、長野市は感染症の第一の山は、大規模な感染拡大を招くことなく越えられた。  市民の外出自粛要請とそれに伴う経済活動の大幅な停滞により、広範囲にわたる計り知れない大きな影響を及ぼしている。6月定例会は、5月臨時会での補正予算に基づく事業を早急に進めるとともに、第2弾の補正予算を提出した。 <新型コロナ、長野市としての主な対策> ・PCR検査センター2か所の設置と保健所を通さず、かかりつけ医やクリニック等の医師が検査を必要と判断した方についてはすべて検査を実施している。 ・医療体制の整備は、県全体で重症患者用病床33、中等症・軽症患者用病床217、そのうち長野市を含む長野医療圏は39床が確保されている。(県全体で更に50床の受け入れを増やすことが可能としているが、長野医療圏の39床は少なすぎるのではと考える。) ・特別定額給付金は、申請書を5月末までにすべての世帯に発送した(我が家には6/3に到着)6月5日までの給付見込みは1万8,412世帯(4万1,918人)、全体の約11.3%となっている。 ・子育て世帯への臨時特別給付金について、令和2年3月分(今年3月に中学を卒業した生徒も当てはまる)、4月分の児童手当受給世帯に対し、6月中頃給付に向け準備中。 ・学校給食は、感染拡大防止の観点から個別に封装した簡易な給食を提供することから始め、徐々に品数を増やすなどし、工夫した給食を提供していく。 <令和元年度決算見込み> ・市税では、個人市民税は前年度を上回ったが、法人市民税は減収。固定資産税及び都市計画税は、台風19号災害等の影響があるものの、家屋の新増築の増加により概ね前年度並みとなり、市税全体では前年度を若干上回る586億円を見通している。 国・県支出金は災害復旧・復興事業に係るものや幼児教育・保育無償化などに伴い78億円の増加、地方交付税は28億円増加。 ・災害関連事業の財源の一部について、不足する一般財源を補うために財政調整基金29億円を切り崩し、市債175億円発行する。この結果、実質収支はこれまで20億円前後で推移してきたが、収支が拮抗し2億円程度まで縮小する。 <令和元年東日本台風災害からの復旧・復興> ・千曲川堤防決壊、越水が発生した箇所の復旧はすべて完了した。長沼及び篠ノ井地区の箇所は※(1)改良復旧工事により堤防強化が図られた。また、堤防のかさ上げにつながる堤防道路の※(2)県道化を進める等、国、県と連携し安全安心の向上に努めていく。(個人質問で若干、この部分について取り上げる予定です) ※夕方、担当課に確認したところ、※(1)長沼と篠ノ井の改良復旧の工法は異なっている。※(2)村山橋から下流の左岸、小布施橋付近までを検討している。 ・災害防止するための河道掘削、堤防強化整備、狭窄部の掘削、遊水池設置等は信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに基づき進めていく。(この部分も個人質問で取り上げたいと考えております) <善光寺御開帳延期> ・台風第19号災害、新型コロナウイルス感染症拡大による市内経済の本格的回復の機会と捉えていただけに延期は残念。今後、善光寺の決定を尊重し、来年の御開帳に向け計画していた事業の再構築を図り、賑わいを創出するためのイベント実施を検討するなど、再来年の御開帳に繋げたい。  以上、概略ですが、一部上述しましたが、今定例会において、昨年の台風被害を踏まえ、信濃川水系、特に今回は千曲川の堤防整備等を中心に質問する予定です。質問要旨について現在、最終段階でまとめておりますが、安全安心に繋げるべく、議論していきます。

新型コロナ、新しい生活様式と万全の準備

 5月25日、全国すべての都道府県において緊急事態宣言が解除され、経済活動の再生へと一歩踏み出しました。 長野市内の感染は18例で、当初心配された感染の拡大に繋がらず、長野市並びに関係者の方々のこれまでの取り組みに対し、敬意を表するとともに感謝申し上げます。 しかしながら、北九州市で発生した病院や学校内でのクラスター等を見ると、長野市は第2波、3波への備えを十分に進めなければならないと考えます。  令和2年5月14日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の『新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言』は、「新型コロナウイルス感染症は、残念ながら、再度の感染拡大が予想される。このため、今後の新規感染者数の増大に十分対応することができるよう、医療提供体制の維持に向けて万全の準備を進めておく必要がある」と提言し、また、5月15日、信濃毎日新聞で信州大学の金井信一郎感染制御室副室長は「長野県民のほとんどは新型コロナの免疫がないため、流行の第2波は来る」と断言しています。  全国で唯一、感染未確認状態である岩手県の達増知事は、「安全な医療体制の確保は喫緊の課題としており、第1波では全国的にみると、PCR検査を含めた医療提供体制と人員確保等が整わず、相談から医療開始までスムーズに結び付かない目詰まりが起こった」と指摘しておりました。  この数か月、様々なTV番組に専門家の先生方が出演し、新聞等でも大きく報道される中、百家争鳴ではありますが、私自身として長野市のこれまでの取り組みと今後確認すべき点を、次のようにまとめました。 1.PCR検査前後の安全対策に関して (1)長野市は現在、市環境衛生試験所で24件、北部検査センターで20件、南部検査センター20件、更に市内の検査数は一日最大90件を目指している。  ①市内で発生した16例目~18例目の3名を基に確認したい。3名の濃厚接触者が38名、そのうち、それぞれの同居者8名と無症状者19人の計27人はPCR検査していない。感染を拡大させないために濃厚接触者すべてにPCR検査を実施すべきではないか。  ②現在、PCR検査に加え、抗原検査や検体検査実施の議論がされている。検査の充実が感染拡大のみならず、経済社会活動を進める上で、安心につながるのではないか。長野市の今後の展開はどうか。 (2)5月11日に長野市が作成した「新型コロナウイルス感染症に関する相談・受診の流れ」をみると、症状がある場合、一般医療機関、又はかかりつけ医に電話で相談し、マスク着用の上で受診するとしている。これまで以上にコロナに罹患している可能性のある患者の受診機会が増えることとなる一般医療機関、かかりつけ医における診療室及び待合室の隔離や動線確保等の感染対策、医師や看護師、事務担当者など医療従事者の個人防護具等、感染症対策は万全なのかどうか。 石川県かほく市のクラスターが発生した病院ではゾーニング後も感染が拡大した可能性が否定できない、との報道がある。命を救う現場だ。 医療現場の状況について専門家等による巡視により、常に検証を行いながら、院内感染、クラスターを発生させない対策が必要だ。 (3)診察の結果、医師がPCR検査を必要と診断した場合、医師は市医師会に連絡、医師会が調整し、検査センターに繋ぐ、と理解するが、医療機関とセンターとの調整は医師会がコントロールするのか。また、この流れ、経過は保健所にタイムリーに報告されるのか。 (4)症状や年齢、妊産婦等の状態によって、自力で検査センターへの移動が困難な場合、医師の判断で救急車を手配するのか。また、検査終了後、自宅に戻る際の移動手段はどうなるのか。 (5)環境衛生試験所は検体採取と検査が可能で、検体採取から検査結果がでるまで3~6時間と言われているが現状はどうなのか。また、検査センターで採取した検体は民間の検査会社で検査だ。検査時間に加え、検体の持込みに時間がかかる。検体採取、検体搬送等を含んだ効率の良い検査システムが求められる。更に効率の良い検査システムを構築するために、民間検査機関の方に検査センターに常駐していただき、検査センターにおける検体採取のための人材と資機材の確保に結び付けられないか、また、センター内に「簡易ラボ」を設置する等、検討すべきではないか。    (6)PCR検査センターで検体採取後、数時間後の検査判明し、陽性だった場合の流れについて、  ①患者はセンターで検体採取後、いったん帰宅で良いのか。  ②検査結果は誰がどう患者に伝えるのか。  ③陽性が判明した場合、医療機関へいったん全員入院となっているが、入院先の決定は誰が(医師会、保健所)がするのか、自宅から入院先、若しくは、宿泊施設への移動(搬送)の手段は。鶴賀、篠ノ井消防署に置かれた専属隊が担うのか、その調整は誰がするのか。  ④①~③を踏まえ、検体採取から入院に至るまでの統括は誰が責任を持って行うのか。全国的には、保健所は、クラスターの追跡調査、PCR検査、医療体制への支援等が重なり、目詰まりが起こった、と言われている。例えば、検査センターを充実させ、入院までの統括を医師会(センター)が一貫して行う、といった役割を明確にし、医療にスムーズに結び付ける体制を構築すべきだ。 2.医療機関における資機材確保と医療提供体制について  4月21日付けNEWS WEEK日本版「日本で医療崩壊は起こるのか?欧米の事例とデータに基づき緊急提言」の中で、医療崩壊を「新型コロナ感染拡大により患者が急増し病院が機能不全を起こした状態」、更に、「保健医療サービスの需要が急増し、供給できる能力を超えたために、本来提供できるサービスや成果を生むことができなくなること」と定義し、保健医療サービスの供給能力を測る必要性を上げている。その重要な要素が、病院や病床、救急車、検査施設、宿泊施設等の「ハコ」、そして医療従事者や救急隊員、保健所職員等の「ヒト」、更に、防護具や人工呼吸器、ECMO、検査機器等の「モノ」としている。 (1)「ハコ」・・肝心なのは医療提供体制。県内医療機関51病院に計300床、宿泊施設約200人分確保に目途が付いた、とされている。5月15日以降は相談件数、PCR検査件数ともに減少傾向にあるが、検査体制はもとより、病床数、宿泊施設の確保と拡充は必要だ、今後の見通しは。緊急事態宣言解除に伴い、規模縮小とならないか、特に宿泊施設(ここまでで利用者ゼロ?)はどうなのか。 (2)「ヒト」・・医療従事者の確保は大きな課題だと認識しているが、新型コロナの集中治療、人工呼吸器やECMO等の操作ができる医療従事者は限られている、と言われている。更に、通常、重症患者2人を看護師1人で見るところ、新型コロナ重傷者の管理では個人防護具が必要で、様々な制約が伴うため、重傷者1人に看護師2人が必要とのこと。感染爆発、第2波を想定し、医療従事者の人材確保と適正配置が求められているが今後の見通しや、医療従事者用の宿泊施設の準備等は万全なのか。 (3)「モノ」・・世界全体では、約88万台の人工呼吸器が、また、医療用マスク、ゴーグル、フェイスシールドなどの個人防護具等の不足、更に、一部の治療薬、診断キット、検査機器などが途上国に届けられないほど逼迫している状況にあるという。 かかりつけ医を含めた全ての医療従事者の感染防止に必要なサージカルマスク、N95マスク、フェイスシールド、医療用手袋、防護服、防護服用足カバー等の個人防護具の確保、人口呼吸器、ECMOの保有と稼働状況、感染爆発への十分な備えが必要だが、今後の見通しはどうなのか。  長野市の今後における対策は、県や国の動向等に沿って進めていくと思います。長野県は、医療受入体制と資材・人材の確保等の医療・検査体制の整備など第2波への備えを進める、としています。 これ以上、市民の生活が脅かされることがない、心から安心して生活できるよう国、県、市、医療機関等が世界の例を含め検証し、これまで以上に協力体制を構築し、適切な対応が求められていることを改めて共有しなければなりません。

試練の中、歩みを進める

緊急事態宣言下でのGWが終わりました。 ここ数日、長野県を含む34県で緊急事態宣言解除に向け検討との報道もありますが、これまで同様、感染拡大防止への意識を持ちつつ、決して気を緩めることなく、活気みなぎるこれまでの生活へと進んでいくことを期待します。 さて、本日、長野市議会に対し、市当局よりこれからの政策についてありました。 冒頭、市長より次のような報告がありましたのでご紹介いたします。 去る5月1日開かれた長野市議会5月臨時会で可決された補正予算393億1890万円に係る事業の進捗について、 1、特別定額給付金(377億8457万円) 5月2日から6日までの連休中は合計で約120件、平日は毎日100件以上の問い合せがある。早期給付に向け人員体制の整備、システム開発を急ピッチで進めている。オンライン申請は5月1日から受付を開始し、11日朝の時点で2,345件の申請があった。 申請書の配布は5月18日から順次開始し、給付は5月26日から週2回のペースで振り込みを行う予定。 2.事業継続緊急支援金(新型コロナ感染拡大の影響で売上げが減少した飲食店、小売店等に対する家賃相当額の支援、6億6335万4千円)  5月10日までに117件の申請を受け付けた。順次、支払の手続きに入っている。 ※上限20万円で市内3300事業所を対象とした支援金です。過日、新聞折り込みチラシでも案内がありました。問い合せ先;長野市商工労働課026-224-7921 3.生活費や事業関連支援について(利子補給に4千4088千円、住宅確保給付金2百820千円、新型コロナ感染拡大防止協力金2億2千万円(県との連携事業))など 緊急小口資金や住宅確保給付金に関する事業中心に341件、また、中小、個人事業者支援に関するものについて550件の問い合わせがあった。 4.PCR検査体制(1億571万8千円) 5月11日、検査センター1箇所を開設した。更に検査体制を充実させ1日の検査可能数、最大90検体を目標にしている。 ※5月臨時会で長野市の検査可能数を1日65件とする体制の拡充としていましたが、更に25件増えることとなります。当初、1日最大24検体から考えると体制が強化されます。 また、長野市内の各医療機関の協力により全ての感染患者が入院可能なだけの医療提供体制が確保されている。 5.連休中(GW)の新型コロナウイルス状況について 4月25日に14例目の感染者が確認された後、5月9日までに新たに3件の感染事例が確認された。長野市保健所で調査等を行っている。 連休中は電話相談窓口で対応を行った。4月29日から5月10日までに900件の相談があったが、そのほとんどが風邪症状のものであった。相談件数は以前と比べ多少減少している状況。 2月14日以降、6,974件の相談があり、5月10日まで601件のPCR検査を実施。そのうち17件の感染者が確認された。陽性率は3%弱。 6.新型コロナウイルス感染症はまだまだ油断できない状況だが、災害からの復旧・復興の歩みを止めないよう取り組みを継続していく。 台風第19号により農地に堆積した土砂の撤去は、篠ノ井地区から豊野地区までの堤外地約343haについて概ね完了したところ。 長野市は台風災害に加え、新型コロナ感染拡大と大変な試練の時期だ、ワンナガノで災害からの復興、新型コロナ終息に向かって進んでいく。 以上が概略です。まず、給付金や支援金について決して十分とは言えない部分もありますが、今、長野市として出来ること、まずは必要としている市民に早急に届けることが重要であります。国において第2次補正予算等について議論が進められると思いますが、地域の活性化を蘇らせる手立ては待ったなしであります。 そして、PCR検査体制を含めた医療体制の充実、そして災害からの復旧復興について私自身と思いは共有出来ていると思います。ただ、スピード感と安心を繋いでいくという観点で様々な進捗状況の確認等、更に歩みを進めていかなければいけません。

コロナ禍と治水対策

新型コロナ感染拡大防止のための緊急事態宣言が今月末まで延長されることになりました。 長野県は、県内の感染状況が比較的落ち着いているとし、休業要請は一部の業種を除き緩和され、感染防止策の徹底の要請に切り替え、県立学校は16日から分散登校、23日から授業再開との方針を示しました。 宿泊業については、県外から人を呼び込まない運営を依頼する等、まだまだ厳しい状況の下、夏を迎えようとしています。コロナ対策と影響に対する支援への取り組みとともに、夏そして秋にかけては昨年の台風第19号、令和元年東日本台風と同規模の豪雨への対応を後回しには決してできません。 長野市は災害からの復旧と復興、そして千曲川緊急治水対策プロジェクトを最優先課題として進めていかなければならないのは言うまでもありません。 5月4日付の信濃毎日新聞は令和元年東日本台風で中心市街地を含め広範囲に冠水した千曲市の治水対策、「霞堤」について大きく報じていました。 【「霞堤」は、堤防のある区間に開口部を設け、上流側の堤防と下流側の堤防が、二重になるようにした不連続な堤防。洪水時には開口部から水が逆流して堤内地に湛水し、下流に流れる洪水の流量を減少させる。洪水が終わると、堤内地に湛水した水を排水し、急流河川の治水方策としては、非常に合理的な機能と言われている。 国土交通省国土技術政策総合研究所HPより引用】 国交省は霞堤について伝統的な治水工法と評価しており、また、台風19号災害後、全国では治水対策として採用する動き、とのことです。国と流域市町村でまとめた緊急治水対策プロジェクトでは、栃木県から茨城県を流れる那珂川、福島県から茨城県を流れる久慈川、それぞれ1カ所、3カ所を新たに整備するとしています。 長野県内の千曲川上流部には、佐久市で1カ所、上田市5カ所、坂城町に3カ所、千曲市で5カ所ある中で、昨年の台風第19号では千曲市以外は霞堤の開口部から水が流入することによる被害は出ていない、と報告されています。 千曲市長は千曲市中心部の冠水の要因として霞堤の開口部からの流入の可能性が高い、流域に市街地が発達した今、開口部閉鎖が一番現実的だ、との見解を示し、遊水地機能を持たせた上での閉鎖を求めている、と信濃毎日新聞は報じていました。 確かに、市街化が進み、流域に住宅地、事業所等が集中しインフラが整備されている状況であれば、そもそも霞堤が持っている役割を十分に発揮できなくなり、かえってリスクの高まりに繋がりかねません。しかし、少なくて戦後から昨年までの間、地域を水害から守ってきたともいえる霞堤の機能を活かしたまちづくりがされてきたのかの経緯や、戦後から今日に至る間、霞堤が整備されている周辺における本川堤防を含む河川整備がどのように行われてきたのか、気になるところです。 ちなみに、千曲市の霞堤は、国が1918年(大正7年)から1941年(昭和41年)の間に整備したもので、更に、昨年の台風第19号以前に霞堤から水が溢れ出た記録がない、とのことです。 これからの河川整備、治水対策を進めて行く上で、霞堤、遊水地の活用は必要であり、また、昨今の気候変動を考えれば、昨年以上の豪雨に見舞われることも想定していく必要があります。河川氾濫から我がまちを100%守る対策が求められ、堤防が決壊するという事態は二度と起こしてはなりません。霞堤そのものが地域の安全に繋がらないのであれば改良が必要であるし、霞堤に代わる治水対策を講じなければなりません。 千曲川緊急治水対策プロジェクトは、千曲市に2カ所の遊水地を計画しており、その場所は霞堤と重なっていると報じられています。北陸地方整備局は、これから具体的になった時点で地元へ丁寧に説明し、協力を得たい、としていますが、先ほども述べたように対応が急がれます。 国は、千曲川、犀川の2つの大河と共生するための治水対策を市街化が進んだ今、霞堤や遊水地の役割を正確にどのような効果があるのか、具体的な数値を示しながら早急に安全安心な河川整備を進めていただきたいと考えます。

コロナ禍と治水対策

新型コロナ感染拡大防止のための緊急事態宣言が今月末まで延長されることになりました。 長野県は、県内の感染状況が比較的落ち着いているとし、休業要請は一部の業種を除き緩和され、感染防止策の徹底の要請に切り替え、県立学校は16日から分散登校、23日から授業再開との方針を示しました。 宿泊業については、県外から人を呼び込まない運営を依頼する等、まだまだ厳しい状況の下、夏を迎えようとしています。コロナ対策と影響に対する支援への取り組みとともに、夏そして秋にかけては昨年の台風第19号、令和元年東日本台風と同規模の豪雨への対応を後回しには決してできません。 長野市は災害からの復旧と復興、そして千曲川緊急治水対策プロジェクトを最優先課題として進めていかなければならないのは言うまでもありません。 5月4日付の信濃毎日新聞は令和元年東日本台風で中心市街地を含め広範囲に冠水した千曲市の治水対策、「霞堤」について大きく報じていました。 【「霞堤」は、堤防のある区間に開口部を設け、上流側の堤防と下流側の堤防が、二重になるようにした不連続な堤防。洪水時には開口部から水が逆流して堤内地に湛水し、下流に流れる洪水の流量を減少させる。洪水が終わると、堤内地に湛水した水を排水し、急流河川の治水方策としては、非常に合理的な機能と言われている。 国土交通省国土技術政策総合研究所HPより引用】 国交省は霞堤について伝統的な治水工法と評価しており、また、台風19号災害後、全国では治水対策として採用する動き、とのことです。国と流域市町村でまとめた緊急治水対策プロジェクトでは、栃木県から茨城県を流れる那珂川、福島県から茨城県を流れる久慈川、それぞれ1カ所、3カ所を新たに整備するとしています。 長野県内の千曲川上流部には、佐久市で1カ所、上田市5カ所、坂城町に3カ所、千曲市で5カ所ある中で、昨年の台風第19号では千曲市以外は霞堤の開口部から水が流入することによる被害は出ていない、と報告されています。 千曲市長は千曲市中心部の冠水の要因として霞堤の開口部からの流入の可能性が高い、流域に市街地が発達した今、開口部閉鎖が一番現実的だ、との見解を示し、遊水地機能を持たせた上での閉鎖を求めている、と信濃毎日新聞は報じていました。 確かに、市街化が進み、流域に住宅地、事業所等が集中しインフラが整備されている状況であれば、そもそも霞堤が持っている役割を十分に発揮できなくなり、かえってリスクの高まりに繋がりかねません。しかし、少なくて戦後から昨年までの間、地域を水害から守ってきたともいえる霞堤の機能を活かしたまちづくりがされてきたのかの経緯や、戦後から今日に至る間、霞堤が整備されている周辺における本川堤防を含む河川整備がどのように行われてきたのか、気になるところです。 ちなみに、千曲市の霞堤は、国が1918年(大正7年)から1941年(昭和41年)の間に整備したもので、更に、昨年の台風第19号以前に霞堤から水が溢れ出た記録がない、とのことです。 これからの河川整備、治水対策を進めて行く上で、霞堤、遊水地の活用は必要であり、また、昨今の気候変動を考えれば、昨年以上の豪雨に見舞われることも想定していく必要があります。河川氾濫から我がまちを100%守る対策が求められ、堤防が決壊するという事態は二度と起こしてはなりません。霞堤そのものが地域の安全に繋がらないのであれば改良が必要であるし、霞堤に代わる治水対策を講じなければなりません。 千曲川緊急治水対策プロジェクトは、千曲市に2カ所の遊水地を計画しており、その場所は霞堤と重なっていると報じられています。北陸地方整備局は、これから具体的になった時点で地元へ丁寧に説明し、協力を得たい、としていますが、先ほども述べたように対応が急がれます。 国は、千曲川、犀川の2つの大河と共生するための治水対策を市街化が進んだ今、霞堤や遊水地の役割を正確にどのような効果があるのか、具体的な数値を示しながら早急に安全安心な河川整備を進めていただきたいと考えます。