長野市議会議員会派

改革ながの市民ネット

地域づくりの新たな視点 ~地域としてこれだけはまもりたいものは何か~

 11月16日、長野県農業委員会大会が開催され、出席してまいりました。 大会で、金沢大学准教授の林直樹先生による「地域としてこれだけは守りたいという戦略」と題した講演をお聴きし、これからの地域づくりに大変参考となる内容でしたので、私なりに整理してみました。 <中山間地域の現実とこれから>  一般論として、高齢者に限定した場合、住民の当面の悩みは、買い物、通院・介護、除雪、草刈り、獣害、空き家、耕作放棄地等であるが、それなりに健康で自家用車利用も可能であることから、特段不便ではなく、農水省の平成30年経営形態別統計地域別の総所得では中山間農業地域が4,632千円、山間地農業地域は4、608千円となっており、極端な貧しさはないのではないか。  しかし、数十年の長期スケールで考えてみると、集落の生き残りの形や時代の変化への備えの議論が必要となってきている。 これまでは人口減少等の状況下でも「恵まれた過疎」であったといえるが、更に、人口減少が進むと経済全体が縮小し、お金が回ってこなかったり、「厳しい過疎」へと変貌していく。これからは、縮小を受け入れながら、「よい縮小と悪い縮小」(※)という新たな視点と複線的な地域づくり、複数の状況(最適化)を想定することが肝要である。  (※)「よい縮小」=容認できる縮小、「悪い縮小」=容認できない縮小 <よい縮小>  これまでは「縮小は論外」である、という戦後から続く人口増加時代の基本的な発想が根本にあったが、これからは縮小を基本とし拡大が例外的である、という国レベルでの人口減少時代、との基本的認識が必要。その上で、諦めるものを間違わなければ、地域は生き残ることができる。これからは、個々人や集落がもつ「時代への適応力」の限界が見えてきているが、適応力に収まっているものは「よい縮小」といえる。  適応力に収まっているとは、複数の状況(最適化)を想定することが可能かどうかであり、、つまり、複数の目標(集落の形に関する目標)を設定した集落づくりのパッケージが必要となってくる。 国交省・総務省の平成28年度過疎地域等条件不利地域における集落の現状把握調査報告書によると、平成22年以降、山間地で無居住化した集落数は79で、そのうち61が自然消滅であったが、廃墟だらけの絵に描いたような廃村はむしろ珍しく、深いやぶが生い茂り森林化したところもあるが、旧住民がまめに通いながら丁寧に管理を続けられ、ふつうの集落と見分けがつかないところもある。また、パン屋が経営されていたり、キャンプ場となった無住集落もある。  「よい無住集落を目指すべき」ということではないが、特に、世代交代困難集落では、最悪の場合でも「よい無住集落」で踏む留まるための仕組みが必要。 <石川県小松市西俣町のケース>  石川県小松市西俣町は、通年居住が8戸、13人、うち65歳以上11人(2020年1月時点)で、町内には、耕作放棄地も目立つが、西俣キャンプ場、宿泊可能な西俣自然教室などがあり、通年居住の人口と釣り合わない「不思議な活気」にあふれ、むらおこしの一環として、ドジョウの養殖、ドジョウ料理のレシピ開発も行われている。  西俣町の大きな活力の源は何か。通年居住の住民の不断の努力が大きいことはいうまでもないが、町外在住の西俣町出身者とその縁者が住民共同活動(草刈り・水路掃除・お祭り)の貴重な戦力、主力級の戦力になっており、町外からの参加については、「自分たちの集落や財産を守る」といった責任感のようなものがあるという。数十年先の西俣町については全くの未知数である。通年居住の世代交代が進み、町全体が若返る可能性もあれば、そのまま無住化する可能性もある。しかし、無住化したとしても、西俣町は、町外在住の西俣町出身者やその縁者によってある程度形が維持される、と考えている。決して容易なことではないが、その状態であれば再興も可能である。現在の西俣町の活動は、万が一、無住になっても再興の可能性は残る「無住化保険付き」の集落づくり、ということになる。 (講演に加え、WEB OPINIONS「時間を味方につけた戦略的な集落づくり」林直樹より一部引用) (※)無住化保険=外部旧住民が近くに(概ね30分以内)居住し、集落の活動に参加すること。 <数十年スケールで考える>  私の周囲にも、市内中山間地域ご出身の方が多く居らっしゃいますが、定期的に旧住民として集落に通い、責任ある地域住民として様々な活動に取り組んでおられます。そうした外部旧住民と定住住民(新・旧)が、常に一歩二歩先をよみ、生き残りの形をイメージし、そもそも集落が生き残る、とはどういうことか、地域としてこれだけは守りたいものは何か等を、人口減少、少子超高齢社会が進展している今、複数の目標(集落の形に関する目標)を設定し、縮小、とりわけ「よい縮小」を受け入れ、数十年スケールで、これからの地域づくりを考えていかなければならない時代ではないか、と感じております。

地球温暖化対策、市長のリーダーシップと国の本気度が問われている

 長野市では、いよいよ荻原市長のもと、新たな市政運営が始まりました。2期8年の加藤前市長には心から敬意と感謝を、新市長には大きな期待をしております。  私自身に公務に加え、衆院選、市長選の対応等、まったく余裕がない状況であったため、事務作業がたまりにたまっている状況ですが、この間に書き留めていた原稿を見直し、本ブログに掲載させていただきます。  10月31~11月12日、英国・グラスゴーで国連気候変動枠組条約第26 回締約国会議(COP26)が開催されました。 COP26では、議長国の英国が「脱石炭」を最重要課題と位置づけ、温室効果ガス排出対策が取られていない石炭火力の段階的廃止を盛り込んだ声明に、46カ国・地域に加え企業組織が署名した、と報じられています。 しかし、米国、中国に加え、日本は署名を見送っており、環境NGOは、地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本が選ばれる、という残念な結果が付されてしまいました。  環境活動家のグレタ・トゥンベリさんはグラスコーでの演説で、世界の気温上昇を1.5度に抑える国際枠組みである「パリ協定」の努力目標達成について、「今すぐに思い切った排出削減が必要、政界やビジネス界は後ろ向きで、歴史が彼らを裁くだろう」と述べた、といいます。  日本政府は、地球温暖化対策について、2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、カーボンニュートラル達成のため、温室効果ガスの排出量の削減並びに吸収作用の保全及び強化をする必要がある、としています。  長野県では、本年6月、「長野県ゼロカーボン戦略」(2021年度から30年度までの10年間)を策定し、2030年度における温室効果ガス総排出量を基準年度(2010年度、H22)の16、980千t-CO2から7、987千t-CO2、55%削減する目標値を定めました。日本国内において、これから!という時に、化石賞を贈られる、というのは大変残念なことではないでしょうか。  そんな中、現在、長野市は来年度からの第3次環境基本計画が策定途中にあります。来年度から環境基本計画に統合される予定の本市地球温暖化対策地域推進計画の方針3「歩きやすい、暮らしやすい環境の整備」で、公共交通機関の利用促進、自動車利用の見直し、を掲げていますが、温室効果ガス排出量削減に向け、マイカー規制等、取組はまだまだ不十分です。  また、県のゼロカーボン戦略にある「吸収・適応分野」は、長野県の恵まれた自然環境「山・里・まち」を最大限活かすとし、CO2吸収量増加に向け、森林整備や県産材の需要拡大の推進など、グリーンインフラの推進を掲げられていますが、現在の第2次環境基本計画後期計画では目標未達成の分野となっています。長野市が持つ森林や農地等を最大限活かしたCO2吸収に繋がる具体的な取り組みが必要なのは言うまでもありません。  更に、長野市環境審議会地球温暖化専門部会は、審議会に対し環境基本計画策定における温室効果ガス排出量削減について、①国・県の動向を踏まえ、二酸化炭素排出量を2050年までに実質ゼロとすること ②2030年の中間目標においても、高い削減目標を設定すること ③長野市の特長を活かした戦略的な計画とすること等を提言しています。  部会の中で委員の発言で、「相当な覚悟と施策を掲げなければ不整合となるおそれがあると考える。また、市の取り組みによる実現可能性は未知数」とあったようですが、長野市として、第3次環境基本計画で定める目標達成のため、着実かつ責任を持って取り組んでいかなければなりません。  そのためには、市長のリーダーシップとともに国の本気度が問われます。国内はもとより、世界からも地球温暖化に向けて積極的な国であると位置づけられるような具体的な取り組みと発信が求められ、それが国内の地方都市に波及する効果を生み出さなければなりません。グレタさんが言うように、「今すぐに思い切った排出削減が必要」なのではないか、と考えます。  安全で安心な長野市を私たちの子や孫、その先の世代に引き継いでいくために、新市長と議会での議論を続けてまいります。

更北有線放送で議会報告録音

 更北有線放送では、定期的に、地元議員による議会報告が放送されます。 今回は、私の担当ということで、昨日、録音してきました。 これまで本ブログでも触れてきたことを織り交ぜながら、作成した原稿を掲載します。  いつも大変お世話になっております。市議会議員の鈴木洋一です。  長野市議会9月定例会ですが、先月の9/2に開会し、9月29日まで、28日間の会期をもって行われました。令和3年度一般会計補正予算や条例の改正案などについて審議され、すべての議案に関し、原案どおりの可決となりました。  また、最終日の9月29日に、議会人事が行われ、新たな正副議長、そして新たな各委員会構成が決まり、今般、私は、長野市議会建設企業委員会委員長を拝命した次第です。これまで以上に精進を重ね、取り組んでまいります。  すっかり秋めいてまいりました。本来であれば、食欲の秋、スポーツの秋等、多くの人がこの季節特有の空気、味覚、心地よさ、体感などを思う存分、満喫するシーズンでありますが、未だ、コロナ禍の渦中であることから、我慢を強いられている方も多いのではないでしょうか。 今日まで、日々御尽力いただいております医療従事者の皆様、市民生活を支え御貢献いただいている皆様、加えて、かつない厳しい経営状況に直撃されている事業主、そこで働く皆様、今日まで懸命な努力をされてきた全ての市民の皆様に心より敬意を表し、感謝申し上げます。  令和の時代に入り、私たちは、まざまざと、自然災害、新たな感染症の脅威など、これまで予期していなかったような事態に直面しています。その根本的な要因ともいえるのが、気候変動、言い換えれば、気候危機ではないでしょうか。  京都大学名誉教授の松下和夫先生はご著書の中で、「新型コロナウイルス感染症と気候危機は人類の生存に関わる問題であり、コロナ禍から脱炭素で持続可能な社会への速やかな移行を進めることが日本と世界が目指すべき方向だ」と述べております。  また、松下先生によりますと、「新型コロナウイルス対策により起こった経済活動の縮小、変化が、短期的には大気汚染物質や温室効果ガス排出量の減少をもたらしているが、パンデミック収束後に、経済活動が元の姿に戻ると、汚染物質や温室効果ガスの排出もリバウンドし、むしろ、新型コロナウイルス対策により起こった経済の停滞・縮小が短期的には気候変動対策の実施を停滞させる可能性がある」と指摘しています。    加えて、8月に公表されたIPCCの第6次評価報告書は、「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」、つまり、「人間活動が気候システムの温暖化をもたらした」と結論付け、また、環境省による、「世界の平均気温が産業革命前より2度上昇したと仮定した場合、2019年の台風第19号と同規模の台風が上陸すれば、千曲川・信濃川など8水系の流域で、最大流量は平均15%増え、氾濫の危険性のある支流の中小河川の箇所数は1.44倍となる」といった試算や、2018年グローバル気候リスク指標の「台風や熱波などの災害から最も影響を受けた国は日本である」との指摘等を考えますと、2つの大河と多くの土砂災害警戒区域を擁する長野市こそが、気候危機の渦中にあるとの認識に立って、ハード対策としての治山治水と、その根本的原因としての温室効果ガス大幅削減に、全力で取り組む必要があるのではないか、と、9月定例会の一般質問でとりあげさせていただきました。  気候危機の時代に直面するのは、私たちの世代はもちろん、紛れもなく私たちの将来世代であり、私たちも含め、将来世代が生き続けられる世界をつくり出さなければなりませんが、この問題が有する長い時間軸とCO2費用の外部化といった特徴から、日常生活の中で、市民1人1人が当事者として、意識するのは難しい側面をもっています。  そのため、長野市自ら、「気候非常事態宣言」という強いメッセージを発信することにより、市民の皆様、事業所の皆様から、ご理解とご協力をいただき、早急に、脱炭素社会の実現に向け、積極的に乗り出していくべきではないか、と具申いたしました。市当局からは「実施について検討したい」との答弁を引き出すに至りましたが、IPCCの報告書にある「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」ことを重く受け止め、私も責任を持って取り組んでいきたいと考えます。  私は、この1年半に及ぶコロナ禍は、私たちの経済活動・日常生活に確実な変化をもたらし、在宅勤務、時差出勤、リモート会議など環境負荷の少ないワークスタイル、ライフスタイルを普及させ、更なる制度化や高度化が期待できるのではないか、更に、社会全体で共有していた価値観の変化、視座が変わってくるのではないか、と考えます。  大変、僭越ではありますが、この放送をお聞きの皆様にも共有していただければ幸いです。  最後になりますが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が、先月末で全面解除となりました。長野市及び長野県内の新規感染者数も減少傾向にあります。  しかし、東京新聞は「急速に減る原因はよく分かっていない。全国各地では少人数でも新規感染者の報告が続いている。ウイルス性感染症が流行しやすい冬に再拡大が起こりうると考えておく必要がある」と指摘し、また、岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「解除は妥当」としつつも「一気に解除すると、また一気に感染が増える」と警戒感を示しています。更に、新型コロナアドバイザリーボードの脇田座長は「解除のニュースで逆に安心感が出て、我慢から解放され行動が活発化すると感染拡大につながる。マスク、手洗い、換気に加え、密集、密接、密閉を1つでも避ける「ゼロ密」など基本的な感染対策の重要性を強調」と報じているように、まだまだ、油断は禁物です。  第5波では、軽症者が自宅療養中に症状が急変し死亡する例が報告されるなど、国や自治体による第6波を想定した医療体制の強化は必須事項であり、今は、十分過ぎるほどの体制を整える期間と位置付けることが必要ではないか、長野市としても、まだまだ徹底した感染予防の必要性を、強く訴えていかなければならない、と考えます。  これから寒さ厳しい季節が到来します。どうか、健康管理には一層、注意をはらっていただき、ご自愛くださることをお願いし、鈴木洋一からのご報告とさせていただきます。お聞きくださいまして、ありがとうございました。 最後までお読みいただまして、ありがとうございました。

更北有線放送で議会報告録音

 更北有線放送では、定期的に、地元議員による議会報告が放送されます。 今回は、私の担当ということで、昨日、録音してきました。 これまで本ブログでも触れてきたことを織り交ぜながら、作成した原稿を掲載します。  いつも大変お世話になっております。市議会議員の鈴木洋一です。  長野市議会9月定例会ですが、先月の9/2に開会し、9月29日まで、28日間の会期をもって行われました。令和3年度一般会計補正予算や条例の改正案などについて審議され、すべての議案に関し、原案どおりの可決となりました。  また、最終日の9月29日に、議会人事が行われ、新たな正副議長、そして新たな各委員会構成が決まり、今般、私は、長野市議会建設企業委員会委員長を拝命した次第です。これまで以上に精進を重ね、取り組んでまいります。  すっかり秋めいてまいりました。本来であれば、食欲の秋、スポーツの秋等、多くの人がこの季節特有の空気、味覚、心地よさ、体感などを思う存分、満喫するシーズンでありますが、未だ、コロナ禍の渦中であることから、我慢を強いられている方も多いのではないでしょうか。 今日まで、日々御尽力いただいております医療従事者の皆様、市民生活を支え御貢献いただいている皆様、加えて、かつない厳しい経営状況に直撃されている事業主、そこで働く皆様、今日まで懸命な努力をされてきた全ての市民の皆様に心より敬意を表し、感謝申し上げます。  令和の時代に入り、私たちは、まざまざと、自然災害、新たな感染症の脅威など、これまで予期していなかったような事態に直面しています。その根本的な要因ともいえるのが、気候変動、言い換えれば、気候危機ではないでしょうか。  京都大学名誉教授の松下和夫先生はご著書の中で、「新型コロナウイルス感染症と気候危機は人類の生存に関わる問題であり、コロナ禍から脱炭素で持続可能な社会への速やかな移行を進めることが日本と世界が目指すべき方向だ」と述べております。  また、松下先生によりますと、「新型コロナウイルス対策により起こった経済活動の縮小、変化が、短期的には大気汚染物質や温室効果ガス排出量の減少をもたらしているが、パンデミック収束後に、経済活動が元の姿に戻ると、汚染物質や温室効果ガスの排出もリバウンドし、むしろ、新型コロナウイルス対策により起こった経済の停滞・縮小が短期的には気候変動対策の実施を停滞させる可能性がある」と指摘しています。    加えて、8月に公表されたIPCCの第6次評価報告書は、「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」、つまり、「人間活動が気候システムの温暖化をもたらした」と結論付け、また、環境省による、「世界の平均気温が産業革命前より2度上昇したと仮定した場合、2019年の台風第19号と同規模の台風が上陸すれば、千曲川・信濃川など8水系の流域で、最大流量は平均15%増え、氾濫の危険性のある支流の中小河川の箇所数は1.44倍となる」といった試算や、2018年グローバル気候リスク指標の「台風や熱波などの災害から最も影響を受けた国は日本である」との指摘等を考えますと、2つの大河と多くの土砂災害警戒区域を擁する長野市こそが、気候危機の渦中にあるとの認識に立って、ハード対策としての治山治水と、その根本的原因としての温室効果ガス大幅削減に、全力で取り組む必要があるのではないか、と、9月定例会の一般質問でとりあげさせていただきました。  気候危機の時代に直面するのは、私たちの世代はもちろん、紛れもなく私たちの将来世代であり、私たちも含め、将来世代が生き続けられる世界をつくり出さなければなりませんが、この問題が有する長い時間軸とCO2費用の外部化といった特徴から、日常生活の中で、市民1人1人が当事者として、意識するのは難しい側面をもっています。  そのため、長野市自ら、「気候非常事態宣言」という強いメッセージを発信することにより、市民の皆様、事業所の皆様から、ご理解とご協力をいただき、早急に、脱炭素社会の実現に向け、積極的に乗り出していくべきではないか、と具申いたしました。市当局からは「実施について検討したい」との答弁を引き出すに至りましたが、IPCCの報告書にある「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」ことを重く受け止め、私も責任を持って取り組んでいきたいと考えます。  私は、この1年半に及ぶコロナ禍は、私たちの経済活動・日常生活に確実な変化をもたらし、在宅勤務、時差出勤、リモート会議など環境負荷の少ないワークスタイル、ライフスタイルを普及させ、更なる制度化や高度化が期待できるのではないか、更に、社会全体で共有していた価値観の変化、視座が変わってくるのではないか、と考えます。  大変、僭越ではありますが、この放送をお聞きの皆様にも共有していただければ幸いです。  最後になりますが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が、先月末で全面解除となりました。長野市及び長野県内の新規感染者数も減少傾向にあります。  しかし、東京新聞は「急速に減る原因はよく分かっていない。全国各地では少人数でも新規感染者の報告が続いている。ウイルス性感染症が流行しやすい冬に再拡大が起こりうると考えておく必要がある」と指摘し、また、岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「解除は妥当」としつつも「一気に解除すると、また一気に感染が増える」と警戒感を示しています。更に、新型コロナアドバイザリーボードの脇田座長は「解除のニュースで逆に安心感が出て、我慢から解放され行動が活発化すると感染拡大につながる。マスク、手洗い、換気に加え、密集、密接、密閉を1つでも避ける「ゼロ密」など基本的な感染対策の重要性を強調」と報じているように、まだまだ、油断は禁物です。  第5波では、軽症者が自宅療養中に症状が急変し死亡する例が報告されるなど、国や自治体による第6波を想定した医療体制の強化は必須事項であり、今は、十分過ぎるほどの体制を整える期間と位置付けることが必要ではないか、長野市としても、まだまだ徹底した感染予防の必要性を、強く訴えていかなければならない、と考えます。  これから寒さ厳しい季節が到来します。どうか、健康管理には一層、注意をはらっていただき、ご自愛くださることをお願いし、鈴木洋一からのご報告とさせていただきます。お聞きくださいまして、ありがとうございました。 最後までお読みいただまして、ありがとうございました。

今月末の長野市長選、それぞれの政策について

 今月末の長野市長選挙に向け、立候補を表明されている方々から、それぞれ政策が発表されましたので、私が、オッ、と感じた施策についてまとめてみたいと思います。 (順序は立候補を表明された順となります) 土屋龍一郎氏:長野市を変える3ビジョン+ゼロ 子育て・経済活気・コロナ対策 39の基本政策 (1)コロナ対策  ・飲食店の経営支援のために、レベル5になったら2か月分の上下水道料を徴収しない。コロナ離職者を支援。 (2)子育て  ・給食費の段階的0円  ・18歳までの医療費0円  ・待機児童0.兄弟姉妹が同じ園に入れるよう、また、保護者の仕事場に近い保育園へ預けられるなど、保護者の環境に配慮した入園の仕組みを整備。  ・生活困窮者にかかる実態調査をすぐに施策に反映。 (3)経済  ・地元業者への積極的な優先発注。  ・地域の仕事は地域で担う、小規模JV制度の導入。  ・学校給食への地元農産物の供給を増やす。  ・長野市の豊富な自然を活用した再生可能エネルギーの利活用を図る。  ・犀川南北の交通渋滞解消のため、新橋の検討を含めた交通政策を策定。 (4)危機管理  ・ガブテック(政府や行政におけるIT化、テクノロジー化の取り組み)を活用した情報の統一、分かりやすい避難場所の設定など、誰もが迷わず避難できるシステムを整備。  ・交通弱者の目線に立った使いやすい交通網の構築。 荻原健司氏:このまちに、新しい息吹を、さわやかな風を (1)防災・復興  ・東日本台風災害被災者支援の更なる強化、復興計画の前倒しを国や県に働きかけを強め、強力に要望していく。  ・国や県による所管事業のあるなしに関わらず、早期に防災事業が進むよう強く要望するとともに、市の防災事業を徹底していく。 (2)教育・福祉・子育て  ・子どもに関する相談が必要な家族のために「子育て総合支援センター」を開設。  ・未満児を預けるニーズが高くなってきていることに関する施策に注力。  ・コロナ対策の一環として、児童手当受給者を対象とした「新型コロナウイルス感染症対策特別支援金」を給付。  ・貧困世帯における子どもの学習支援を更に充実させる。  ・公民館などの公共施設でタブレットを使用した学習が放課後や休日などに可能となるような市内各公共施設へのWIFI環境を整備。 (3)経済振興  ・スマートシティ推進事業・スタートアップ推進事業、企業誘致など、産業振興事業を一元管理・推進し、魅力ある雇用の場を創出するための組織として「新産業振興局(仮)」を立ち上げる。  ・儲かる農業を全面的に支援。スマート農業推進による新規就農者の獲得と所得のアップ支援、農産物のブランド化、高付加価値化により、産業としての安定・充実を図る。  ・新規就農をさらに促進するため、農地手配、住宅、農業技術・経営指導などを支援するための「新規就農支援システム」を構築。 (4)SDGs・環境  ・徒歩や自転車、公共交通機関の利用を促進し、環境に負荷をかけず通勤や外出できる環境づくりに取り組む。  ・再生可能エネルギーの活用を進め、温暖化ガスの排出削減を図るとともに、エネルギーの地産地消に取り組む。  主に以上ですが、私がこれまで取り上げてきた項目も幾つかありますので、新市長誕生後に議会において、それぞれの具体的な手法等について議論したいと考えます。公約として掲げられていることですので、それぞれ、積極的な取り組みとなることを期待したいと思います。

今月末の長野市長選、それぞれの政策について

 今月末の長野市長選挙に向け、立候補を表明されている方々から、それぞれ政策が発表されましたので、私が、オッ、と感じた施策についてまとめてみたいと思います。 (順序は立候補を表明された順となります) 土屋龍一郎氏:長野市を変える3ビジョン+ゼロ 子育て・経済活気・コロナ対策 39の基本政策 (1)コロナ対策  ・飲食店の経営支援のために、レベル5になったら2か月分の上下水道料を徴収しない。コロナ離職者を支援。 (2)子育て  ・給食費の段階的0円  ・18歳までの医療費0円  ・待機児童0.兄弟姉妹が同じ園に入れるよう、また、保護者の仕事場に近い保育園へ預けられるなど、保護者の環境に配慮した入園の仕組みを整備。  ・生活困窮者にかかる実態調査をすぐに施策に反映。 (3)経済  ・地元業者への積極的な優先発注。  ・地域の仕事は地域で担う、小規模JV制度の導入。  ・学校給食への地元農産物の供給を増やす。  ・長野市の豊富な自然を活用した再生可能エネルギーの利活用を図る。  ・犀川南北の交通渋滞解消のため、新橋の検討を含めた交通政策を策定。 (4)危機管理  ・ガブテック(政府や行政におけるIT化、テクノロジー化の取り組み)を活用した情報の統一、分かりやすい避難場所の設定など、誰もが迷わず避難できるシステムを整備。  ・交通弱者の目線に立った使いやすい交通網の構築。 荻原健司氏:このまちに、新しい息吹を、さわやかな風を (1)防災・復興  ・東日本台風災害被災者支援の更なる強化、復興計画の前倒しを国や県に働きかけを強め、強力に要望していく。  ・国や県による所管事業のあるなしに関わらず、早期に防災事業が進むよう強く要望するとともに、市の防災事業を徹底していく。 (2)教育・福祉・子育て  ・子どもに関する相談が必要な家族のために「子育て総合支援センター」を開設。  ・未満児を預けるニーズが高くなってきていることに関する施策に注力。  ・コロナ対策の一環として、児童手当受給者を対象とした「新型コロナウイルス感染症対策特別支援金」を給付。  ・貧困世帯における子どもの学習支援を更に充実させる。  ・公民館などの公共施設でタブレットを使用した学習が放課後や休日などに可能となるような市内各公共施設へのWIFI環境を整備。 (3)経済振興  ・スマートシティ推進事業・スタートアップ推進事業、企業誘致など、産業振興事業を一元管理・推進し、魅力ある雇用の場を創出するための組織として「新産業振興局(仮)」を立ち上げる。  ・儲かる農業を全面的に支援。スマート農業推進による新規就農者の獲得と所得のアップ支援、農産物のブランド化、高付加価値化により、産業としての安定・充実を図る。  ・新規就農をさらに促進するため、農地手配、住宅、農業技術・経営指導などを支援するための「新規就農支援システム」を構築。 (4)SDGs・環境  ・徒歩や自転車、公共交通機関の利用を促進し、環境に負荷をかけず通勤や外出できる環境づくりに取り組む。  ・再生可能エネルギーの活用を進め、温暖化ガスの排出削減を図るとともに、エネルギーの地産地消に取り組む。  主に以上ですが、私がこれまで取り上げてきた項目も幾つかありますので、新市長誕生後に議会において、それぞれの具体的な手法等について議論したいと考えます。公約として掲げられていることですので、それぞれ、積極的な取り組みとなることを期待したいと思います。

9月定例会が終わりました

 9月2日から始まった長野市議会9月定例会が本日議了となりました。昨日(9/28)、議案の採決が行われ、全て原案通り可決となり、本日は正副議長選挙、各常任委員会、特別委員会等の議会人事が行われました。  9月定例会を振り返ってみますと、9月9日の一般質問、翌週の経済文教委員会での審議、更に、その翌週以降、令和2年度の決算認定を行うための決算特別委員会経済文教分科会、議会運営委員会等、議会にかかりきりとなった1か月となりました。  今月は、議会関連で多忙を極めましたが、10月は議会以外の場面でも慌ただしい1か月となりそうです。10月31日投開票予定の長野市長選挙、そして、衆院議員選挙が11月初旬に行われるのでは、との報道があり、なんとなく腰の落ち着かいない日々が続きそうです。  そんな中、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が、今月末で全面解除となります。長野市及び長野県内の新規感染者数も減少傾向で、県の感染警戒レベルが3に引き下げられました。  しかし、東京新聞は「急速に減る原因はよく分かっていない。全国各地では少人数でも新規感染者の報告が続いている。ウイルス性感染症が流行しやすい冬に再拡大が起こりうると考えておく必要がある」と指摘し、更に岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「解除は妥当」としつつも「一気に解除すると、また一気に感染が増える」と警戒する。新型コロナアドバイザリーボード座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は「解除のニュースで逆に安心感が出て、我慢から解放され行動が活発化すると感染拡大につながる」、マスク、手洗い、換気に加え、密集、密接、密閉を1つでも避ける「ゼロ密」など基本的な感染対策の重要性を強調」と報じているように、まだまだ、油断は禁物です。  第5波では、軽症者が自宅療養中に症状が急変し死亡する例が報告されるなど、国や自治体による第6波を想定した医療体制の強化は必要であり、十分過ぎるほどの体制を整える期間と位置付けることが必要ではないか、と考えます。  今後、国は段階的に、飲食店の営業時間短縮やイベントの人数制限を緩和する方針のようですが、まだまだ徹底した感染予防の必要性を強く訴え続けなければなりません。

9月定例会が終わりました

 9月2日から始まった長野市議会9月定例会が本日議了となりました。昨日(9/28)、議案の採決が行われ、全て原案通り可決となり、本日は正副議長選挙、各常任委員会、特別委員会等の議会人事が行われました。  9月定例会を振り返ってみますと、9月9日の一般質問、翌週の経済文教委員会での審議、更に、その翌週以降、令和2年度の決算認定を行うための決算特別委員会経済文教分科会、議会運営委員会等、議会にかかりきりとなった1か月となりました。  今月は、議会関連で多忙を極めましたが、10月は議会以外の場面でも慌ただしい1か月となりそうです。10月31日投開票予定の長野市長選挙、そして、衆院議員選挙が11月初旬に行われるのでは、との報道があり、なんとなく腰の落ち着かいない日々が続きそうです。  そんな中、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が、今月末で全面解除となります。長野市及び長野県内の新規感染者数も減少傾向で、県の感染警戒レベルが3に引き下げられました。  しかし、東京新聞は「急速に減る原因はよく分かっていない。全国各地では少人数でも新規感染者の報告が続いている。ウイルス性感染症が流行しやすい冬に再拡大が起こりうると考えておく必要がある」と指摘し、更に岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「解除は妥当」としつつも「一気に解除すると、また一気に感染が増える」と警戒する。新型コロナアドバイザリーボード座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は「解除のニュースで逆に安心感が出て、我慢から解放され行動が活発化すると感染拡大につながる」、マスク、手洗い、換気に加え、密集、密接、密閉を1つでも避ける「ゼロ密」など基本的な感染対策の重要性を強調」と報じているように、まだまだ、油断は禁物です。  第5波では、軽症者が自宅療養中に症状が急変し死亡する例が報告されるなど、国や自治体による第6波を想定した医療体制の強化は必要であり、十分過ぎるほどの体制を整える期間と位置付けることが必要ではないか、と考えます。  今後、国は段階的に、飲食店の営業時間短縮やイベントの人数制限を緩和する方針のようですが、まだまだ徹底した感染予防の必要性を強く訴え続けなければなりません。

農林業が持つ公益的機能の共有化と活用

 昨日、私の個人質問について、本ブログで、その内容についてご報告させていただきました。その中で、長野市が誇る多くの農地をCO2吸収源となる公益的な資源と位置付けられないか、と、市の見解を伺ったところですが、9月10日付けの全国農業新聞に掲載された元農水省農村振興局長、現在、全国山村振興連盟事務局長の実重重美氏による掲載記事に感銘を受けましたので、概略を私なりに要約し、3つに分けて紹介します。 1.公益的機能を維持している農林業者  湿潤多雨の我が国において、農地は個々の独立した断片ではなく、一つのつながりの自然として土地も水も国土空間に広がっている。その広大な空間を管理しているのが、農林業者だ。農地は生産手段としての私的生活と同時に、国土・環境を保全し、災害を防止するなどの公益的な性格を持っている。 2.淵源と時代による変化  平安時代から継続されてきた荘園制度は、戦国時代に解体され、惣(村)ができ、地域農民が団結し生活する村落共同体が形成され、明治以降、耕地整理法・水利組合法ができ、戦後、土地改良法として統合されてきた。  ここまでの長い間においても、共同で利用する水路や道路は日常的な管理を自前で行い、災害等の比較的大きな改修などは領主に助成の申請し、甲斐武田の信玄堤、徳川幕府による利根川東遷事業にみられるように、非常に大規模なものは領主や幕府が直轄で行ってきた。今日の大規模な事業は国営で、次に大きな事業は都道府県、比較的小規模な事業は地方自治体を含めた団体で行う、という秩序が踏襲されてきた。更に、近年では、多面的機能支払い等の制度が導入され、公益的性格への助成が拡充されてきた。 3.公益的な位置づけの強化  EUでは、農業者を「環境の管理者」としての位置づけを強めており、管理活動に対し直接支払いが行われている。世界的に脱炭素が喫緊の課題である今、日本でも農業者を「公益員」と位置づけ、直接支払いを強化しても良い時期にきているのではないか。  以上です。農林業の多面的効果は、昨日も紹介した気候変動対策のみならず、治山治水対策として、農地が果たす公益性と社会的意義を再認識する必要がある、と考えます。日本学術会議の2005年の計算によると、水田を中心とする農業の多面的機能に関わる経済評価は、洪水防止(3兆4,988億円)、河川流況安定(1兆4,633億円)、土砂崩壊防止(4,782億円)、土壌侵食防止(3,318億円)等、全体で8兆2,226億円としています。  水田が大雨の時、遊水池やダムのような役割を果たす洪水防止機能、水を地中に浸透させる地下水涵養機能等、長野市農業においても、全市民に提供している多様で有益な機能ではないでしょうか。農業が持つ多面的機能をカーボンニュートラルと治山治水対策として明確に位置付け、市民全体で理解を深め、共有し、最大限活用し、具体的な対策を加速させ、市民の安全安心につなげていくことを期待したいと思います。

農林業が持つ公益的機能の共有化と活用

 昨日、私の個人質問について、本ブログで、その内容についてご報告させていただきました。その中で、長野市が誇る多くの農地をCO2吸収源となる公益的な資源と位置付けられないか、と、市の見解を伺ったところですが、9月10日付けの全国農業新聞に掲載された元農水省農村振興局長、現在、全国山村振興連盟事務局長の実重重美氏による掲載記事に感銘を受けましたので、概略を私なりに要約し、3つに分けて紹介します。 1.公益的機能を維持している農林業者  湿潤多雨の我が国において、農地は個々の独立した断片ではなく、一つのつながりの自然として土地も水も国土空間に広がっている。その広大な空間を管理しているのが、農林業者だ。農地は生産手段としての私的生活と同時に、国土・環境を保全し、災害を防止するなどの公益的な性格を持っている。 2.淵源と時代による変化  平安時代から継続されてきた荘園制度は、戦国時代に解体され、惣(村)ができ、地域農民が団結し生活する村落共同体が形成され、明治以降、耕地整理法・水利組合法ができ、戦後、土地改良法として統合されてきた。  ここまでの長い間においても、共同で利用する水路や道路は日常的な管理を自前で行い、災害等の比較的大きな改修などは領主に助成の申請し、甲斐武田の信玄堤、徳川幕府による利根川東遷事業にみられるように、非常に大規模なものは領主や幕府が直轄で行ってきた。今日の大規模な事業は国営で、次に大きな事業は都道府県、比較的小規模な事業は地方自治体を含めた団体で行う、という秩序が踏襲されてきた。更に、近年では、多面的機能支払い等の制度が導入され、公益的性格への助成が拡充されてきた。 3.公益的な位置づけの強化  EUでは、農業者を「環境の管理者」としての位置づけを強めており、管理活動に対し直接支払いが行われている。世界的に脱炭素が喫緊の課題である今、日本でも農業者を「公益員」と位置づけ、直接支払いを強化しても良い時期にきているのではないか。  以上です。農林業の多面的効果は、昨日も紹介した気候変動対策のみならず、治山治水対策として、農地が果たす公益性と社会的意義を再認識する必要がある、と考えます。日本学術会議の2005年の計算によると、水田を中心とする農業の多面的機能に関わる経済評価は、洪水防止(3兆4,988億円)、河川流況安定(1兆4,633億円)、土砂崩壊防止(4,782億円)、土壌侵食防止(3,318億円)等、全体で8兆2,226億円としています。  水田が大雨の時、遊水池やダムのような役割を果たす洪水防止機能、水を地中に浸透させる地下水涵養機能等、長野市農業においても、全市民に提供している多様で有益な機能ではないでしょうか。農業が持つ多面的機能をカーボンニュートラルと治山治水対策として明確に位置付け、市民全体で理解を深め、共有し、最大限活用し、具体的な対策への取り組みを進めていく長野市の取り組みに期待したいと思います。