長野市議会議員会派

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長野市議会3月定例会 代表質問その2

 前回に引き続き、代表質問の議事録を紹介しますが、新型コロナ感染症対策のPCR検査についてです。 2月1日から3月3日(私の代表質問は3月3日)の概ね1か月間、長野市保健所並び2か所のPCR検査センターでの検査数は273、感染者数が4でしたが、3月4日から3月13日の検査数をみると156、感染者が32となっております。県の感染警戒レベルが2に引き上げられ、少し心配な状況です。感染拡大防止を進める上で重要なのは検査体制を含むPCR検査だと思います。市長、保健所長からの答弁です。文字数が多くなりますが、ご容赦ください。 2.PCR検査の現状について。  昨年、年の瀬が迫る中、耳を疑う一報が飛び込んできました。羽田雄一郎参院議員の突然の逝去です。異変が起きたのは12月24日のことで、羽田氏は知人が新型コロナウイルスに感染したことを受け、かかりつけ医にPCR検査を受けたいと申出たものの、当該病院ではPCR検査をしておらず断られ、翌日PCR検査のできる病院を予約し、27日に検査を受けることとなりましたが、その前に容体が急変されました。 東京都を中心に、首都圏では昨年11月以降感染者が増え、医療現場の逼迫等、大変な混乱であったと思いますが、残念でなりません。  私自身、羽田議員の異変が起きた前日、23日に会議で御一緒しました。管轄の保健所からは、濃厚接触者に該当しないとの連絡でしたが、念のため12月29日の朝、民間病院に相談し、同日の昼頃抗原検査を受けることができました。  また、そのおおむね1か月前の11月中旬、私が濃厚接触者となり、その連絡を受けたのが月曜日、その4日後の金曜日に保健所でPCR検査を受けることができました。  一方、もう一つ、私の友人からの苦言を紹介します。 その方が12月9日の夜から熱があると、12月10日の朝、長野市の案内どおり、かかりつけ医に電話相談したが、来院を拒否された。その後、相談センターに電話し、別のクリニックを紹介してもらい電話したところ、11時に来院するようにと指示を受け、自らの運転で11時に到着したものの1時間待たされた。診察では喉から来る熱だろうとの診断で、PCR検査をするなら、もう一度明日11日10時までに来てもらえれば紹介状を書くので、午後にはPCR検査ができるとのことでしたが、体調が優れない中、何度も医院に通わなければPCR検査を受けられないのかと嘆いておりました。  後日、顛末を確認すると、熱が下がったことと、面倒くさくなったことから、診察もPCR検査も受けなかったとのことでした。これが検査の現実だと思います。  羽田議員や私の友人の例から考えると、PCR検査までの流れに構造的な問題があると考えざるを得ません。発熱や倦怠感のある人に対する医療行為としてのPCR検査をどこの医療機関でもスムーズに診察、検査が受けられるようにするべきであります。 コロナ禍で市民が最も不安に感じているのは、感染リスクに加え、感染を疑う場合に、すぐにPCR検査にたどり着けない現実だと思います。  長野市におけるこれまでのピークは、検査数1,586件で、陽性者数206人だった昨年の11月と、1,715件の検査に対し112件の陽性者数となった12月です。  現在、国内で既存の変異型ウイルス以外の起源や不明なウイルスが見つかっていることを考えると、第4波が来ることを想定し、いかなる状況に直面しても、市民の命と健康を守り、市民が不安を覚えることなくスムーズにPCR検査を受け、診療に結び付く体制を整えなければならないと考えます。 そこで、4点伺います。 (1)まず、基本的な確認ですが、現在、保健所では発熱や倦怠感等がある人へのPCR検査をやっていないという認識でよろしいでしょうか。また、かかりつけ医やクリニックでPCR検査を受け、陽性だった場合、それ以降は保健所の管理下で治療や療養が開始されるという理解でよろしいでしょうか。ちなみに、クリニックでの最初のPCR検査費用は自己負担なのでしょうか。 (2)あらかじめコロナ対応が可能な病院、クリニックを市民に公表し、季節性インフルエンザのような医療行為としてのPCR検査の実施、治療に至る体制を構築すべきではないでしょうか。また、現在市内でコロナ対応が可能な医療機関は何院あるのか。また、医療機関の検査能力はどの程度なのでしょうか。 (3)現在のPCR検査体制は、医療機関と市保健所及び2か所のセンターの二通りありますが、保健所及びセンターは、主に積極的疫学調査を担当するなど、民間医療機関との機能分担ができているのでしょうか。 (4)危機的状況であった昨年の11月、12月に、スムーズにPCR検査が受けられないといった事例や問い合わせはあったのでしょうか、答弁を求めます。 <保健所長>  新型コロナウイルス感染症対策のうち、保健所が担当いたします項目について順次お答えを申し上げます。 最初にPCR検査についてですが、保健所では濃厚接触者等の症状の無い方に対するPCR検査を実施しておりまして、発熱などの症状のある方につきましては、診療ができる医療機関を御紹介してございます。 診療を行う医療機関の検査につきましては、医師が必要と認めた場合には、行政検査の取扱いになりまして、無料となってございます。 検査の結果、陽性となり、医師からの発生届が保健所に提出をされますと、保健所が医療機関の入院や宿泊療養施設への入所を決定いたしますが、治療そのものにつきましては、当該医療機関の医師の裁量で行われておりますので、保健所といたしましては、医療機関や療養施設に対して、感染者の方の状況等を確認するということで対応してございます。  次に、医療体制についてですが、インフルエンザ等の同時流行を見据えまして、昨年の11月から医師会や医療機関の御協力を頂きまして、診療検査体制を構築しておりまして、本年2月末現在で90か所の医療機関がこの体制に参加をしていただいております。 この体制におきましては、市民の方から直接医療機関に相談をしていただいて、受診をしていただくという流れになっておりまして、検査の能力といたしましては、これまでの実績を見ますと、1日300件程度の検査を行っております。  これらの医療機関の公表についてですが、一部の医療機関への受診の偏り、また、医療機関と、その職員に対する誹謗中傷などの懸念がありまして、これにつきましては、医師会さんや医療機関と御相談をした結果、公表しないという扱いを取ることといたしました。  しかしながら、保健所を含む医療関係者の間では、この情報を共有し、どこに受診をしたらいいか分からない方につきましては、近くの対応可能な医療機関さんを保健所や医療機関から御紹介するということで、市民の皆さんの受診先の確保をはかっているところであります。  次に、保健所と医療機関の役割分担についてですが、保健所は積極的疫学調査により確認されました濃厚接触者など、無症状の方の検査を実施しております。  一方、PCR検査センターを含む医療機関、こちらの医療機関は民間、公的、公立を問わず全ての医療機関になりますけれども、症状があって受診した患者さんの診療をしていただいておりまして、検査が必要な方につきまして検査を行っておりますので、保健所と医療機関の間につきましては、これまでもそれぞれの機能分担ができているものと考えております。  次に、昨年の11月、12月に検査が受けられない事例があったかの御質問につきましては、その時期には検査を実施できる医療機関が増えておりましたので、本市におきましては、御指摘のような事例や問い合わせはございませんでした。 3.感染拡大防止のためのPCR検査について  ウイルス学者である東大名誉教授の山内一也先生は、2002年に出現したSARSが残した最大の教訓は、集団防衛によるウイルスの封じ込めの重要性だ、発病した患者を迅速に見いだし、隔離し、接触して感染したおそれのある人については、健康監視や隔離を行う対策だったと著書で論じ、さらに、先生は、新型コロナ感染症は、軽症者や無症状者により伝播され、短期間で感染が広がったとしております。  現時点におけるPCR検査センターを含む保健所の検査は、積極的疫学調査実施要領に基づいて検査を行っていると思いますが、それでは軽症者、無症状者を迅速に見出すことは難しく、感染拡大防止には限界があるのではないでしょうか。  世田谷区では、感染拡大防止のために定期検査、随時検査、プール方式採用の社会的検査に取り組んでおり、広島県は広島市内の感染状況が急速に改善しましたが、今後に備え、中区の一部地域でおよそ8,000人を対象とした試験的な検査を行ったとのことであります。  長野市も医療機関や福祉施設で懸命に働く医療従事者、福祉施設職員などのエッセンシャルワーカーや、常時不特定多数の人との接触が避けられない職種の方々への定期的な検査を検討すべきだと考えます。 そこで、4点伺います。 (1)県が示す警戒レベルに応じた社会的検査の方針を定めておくべきではないでしょうか。こうした取組が、市長がおっしゃる感染防止と経済との両立につながるのではないか。また、やむを得ない事情で警戒レベルの高い地域へ往来した市民に対し、希望があればPCR検査を実施すべきではないでしょうか。 (2)三密回避、マスク着用、換気など、これまで行ってきた基本的対策に加え、飲食店などに対し、感染防止対策の具体的な相談に乗ると共に、必要な場合は、坑ウイルス性素材などの設置を促進するなど検討してもいいのではないでしょうか。 (3)1月8日、厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部からの通達、新型コロナウイルス感染症患者に関する保健所体制の整備と感染拡大期における優先度を踏まえた保健所業務の実施についてに基づき、東京都や神奈川県では保健所での積極的疫学調査の対象を絞り、重点化することとしました。この通達を受け、長野市保健所の積極的疫学調査における変更点はあるのか、あるのであれば、何がどう変わるのか。 (4)政府のコロナ対策分科会の尾身会長は、緊急事態宣言解除後の大事な取組は、リバウンドを防ぐことだとし、そのためには無症状者に視点を合わせ、無症状の感染者を探り出すことだと述べたことを踏まえて、長野市においても、無症状者の感染者を発生させないための方策が必要ではないでしょうか、答弁を求めます。 <市長>  新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためのPCR検査についてお答えいたします。 最初に、社会的検査の方針についてですが、今回の全国的な感染拡大を受けて、国から緊急事態宣言の対象となっている都道府県に対して、高齢者施設の従事者等に対する集中的な検査の実施が要請されていることから、本市におきましても、国の緊急事態宣言の対象となる程度の感染拡大レベルに達した場合におきましては、同様の検査を実施することと考えております。  なお、緊急事態宣言の対象となっていない地域におきましては、高齢者等において症状を有している従事者、入所者に対して、早期に検査を実施し、陽性が判明した場合には、当該施設全員を検査するよう国から示されておりました。本市におきましても、同様な対応を取っております。  次に、やむを得ない事情で警戒レベルの高い地域に往来した市民に対する検査ですが、症状が無く、医師が必要と認めないケースにつきましては、陽性検査ならず実施となるわけであります。幾つかの医療機関で検査が実施されております。  なお、実施検査にあっても、65歳以上及び基礎疾患を有する方については、重症の防止の観点から、長野市民病院及び長野松代総合病院における検査の費用を一部補助しております。 <保健所長>  飲食店等の事業者に対する支援につきましては、県の地域振興局から業種別の感染拡大防止ガイドラインが周知をされておりまして、長野市保健所といたしましては、県と連携いたしまして、感染拡大防止の取組をまとめたチェックシート、こちらを配布し、こういった資料を活用して事業者さんからの御相談に応じていると共に、保健所では衛生監視として監視を行っておりますので、その際に感染拡大防止策を個々に確認をして指導する他、業界団体さんとの会議等を行っておりますので、そういった機会を活用させていただいて周知をはかっているところであります。  坑ウイルス性素材も含めまして、事業者さんが店舗等において講じる感染防止対策につきましては、商工労働部におきまして昨年7月から新型コロナウイルス対策事業者等支援事業を実施いたしまして、このうち店舗や事業所の関係につきましては、692件の補助金申請がありました。今後も飲食店等の事業者に対しまして、きめ細かく御相談に応じるなどして、感染拡大防止対策の徹底を支援してまいります。  次に、積極的疫学調査の対象者についてですが、本市では昨年感染者が急増した折にも職員を総動員いたしまして、該当者全員に対して聞き取り調査や必要な検査を実施しておりましたので、議員御指摘のような、首都圏等で行われました対象者の重点化や限定化といった取扱いはございませんでした。今後とも同様の対応を取ることによりまして、感染拡大を最大限食い止めてまいりたいと考えております。  次に、無症状の感染者を発生させない方策についてでありますが、まず、濃厚接触者につきましては、症状が無くても全員の方に検査を実施してございます。  また、高齢者施設や、いわゆる三密状態の場所など、感染リスクが高いと考えられる場合には、濃厚接触者に加えまして、接触者まで幅広く検査の対象として対応してきているところであります。  また、検査の結果に関わらず、全ての人が、自分は感染しているかもしれないという認識の下で、マスクの着用、手洗い、手指消毒の徹底、三密状態の回避などの基本的な感染防止対策を着実に実行していただく必要がありまして、そのための普及啓発にも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 <鈴木の所感>  昔から、パンデミックは繰り返す、と言われています。東大名誉教授の黒木登志夫先生は著書の中で、コロナ医療と一般医療が両立できる医療体制と病院や介護施設の患者と職員を守るための定期的なPCR検査が重要である、と述べています。この1週間弱の市内の感染者の推移から、無症状者を探り出し、感染を拡大させないための検査の強化が改めて必要だと思います。  併せて大事なことは、新型コロナ以外の病気の人が安心して医療を受けられる当たり前の状態にしなければならないことです。  3月1日、WHOテドロス事務総長は、世界の新型コロナ新規感染者数が、先週、7週間ぶりに増加に転じたことを明らかにし、「落胆させられるが、驚きではない、ワクチンのみに頼る対応は間違いだ、基本的な公衆衛生措置が、引き続き、新型コロナ対応の基盤」と強調し、感染拡大抑制に向け、一連の措置を緩和しないよう、各国に訴え、また、マイケル・ライアン緊急対応チーム長は、「ウイルスは制御されているが、年内の収束を考えるのは、非現実的な期待」との報道がありました。  市民へのワクチン供給時期が、不透明であることから、仮に、感染が再拡大した場合でも、市民が安心できる対応がとれるような措置が求められていると考えます。

長野市議会3月定例会 代表質問その1

 会期中の長野市議会3月定例会について報告します。 まず、近況ですが、3月3日に会派を代表し、初となる代表質問をしました。 質問内容は以下の通りです。 1.新年度予算編成方針について 2.PCR検査の現状について 3.感染拡大防止のためのPCR検査について 4.命と地域医療を守る医療提供体制について 5.ワクチン接種について 6.コロナ禍と今後の保健所機能について 7.コロナ禍での事業所等支援について 8.コロナ禍の雇用支援について 9.災害に強いまちづくりについて 議事録が出来ましたので、ご紹介します。文字数が多いので項目ごと、数日に分けて掲載します。 ちなみに、代表質問は、一括質問・一括答弁方式となりますが、項目ごとに答弁を掲載します。 1.新年度予算編成方針について  世界のGDPは、2020年3月の1.97パーセントから、4月にはマイナス2.68パーセント、5月にマイナス4.36パーセントと、2008年の世界金融危機を上回る落ち込みとなり、7-9月に入り持ち直しの動きを見せているものの、感染拡大が続く欧米のGDPは、依然としてコロナ前の水準を下回っております。IMFが6月に発表した世界経済見通しは、現在の状況を第二次世界大戦以降で最も深刻な景気後退へ向かっていると表現しております。  日本経済について2月2日に公表された大和総研のレポートは、2021年1-3月期の実質GDP成長率を戦後最悪となった2020年4-6月期のマイナス7.9パーセントに次ぐマイナス7パーセントと予測していますが、新型コロナウイルス感染拡大が収まらず、2020年4-5月期と同程度の規制となるが、2桁のマイナス成長に陥る可能性があるとし、感染拡大防止を最優先すべきとまとめております。  また、長野経済研究所が行った新型コロナウイルス感染症の県内企業への影響に関するアンケートの結果によれば、コロナ前の売上水準に回復する時期が2022年度以降になると回答した割合は、サービス業の49.3パーセント、建設業55.3パーセント、卸小売業32.1パーセントとなり、コロナ禍における県下の厳しい経済状況を表しております。  私たちは平成以降、数々の危機に直面してまいりました。 幾つか挙げますと、 1995年1月の阪神淡路大震災、 2001年の9.11同時多発テロ、 2008年9月のリーマンショック、 2011年3月11日の東日本大震災、 長野市では4,000棟を超える家屋が被害を受け、災害関連死を含め15名の尊い命が失われた令和元年東日本台風災害等ですが、  しかし、今回直面している新型コロナウイルス感染症は、これまでの危機と違い、人と人との接触、人の移動により国民全てが当事者となり得る、正に非常時と捉えるべきであり、私が考える非常時に求められる行財政運営の在り方について、4点挙げさせていただきます。 一つ、市民の命と健康、生活と地域経済を守り抜く市長のリーダーシップ。 二つ、政策プライオリティの明確化。 三つ、柔軟な発想による柔軟な財政運営。 四つ、先送り可能な事業は先送りする決断力であります。 そのような視点から幾つかの自治体が新年度予算編成について、コロナシフトへ転換をはかっております。 2020年10月1日に、市制施行以来初めて、財政非常事態宣言を発令した埼玉県新座市は、新型コロナウイルスの影響により、令和2年度事業の一部執行停止を行い、さらに、新年度予算編成では思い切った事業の見直しを進めています。 大阪府堺市では、新年度予算編成に当たり、新型コロナウイルスの影響により市税収入が過去2番目の落ち込みとなることから、市長は、今は平時ではなく有事であるとし、財政危機を宣言しました。 静岡県裾野市は、2月に財政非常事態宣言を発出し、総人件費の抑制、6次事業全般の見直し、大型公共事業の一時停止や先送りなどを示しました。 大分市は、コロナ終息を想定した予算と、コロナが継続した場合の事業先送りを想定した予算の二通りを作成。 相模原市は、各事業を見直し、コロナ対策緊急シフトを策定し、コロナ関連以外の新規拡充事業は原則として一時凍結、毎年実施している事業も一時凍結や見直し、廃止を検討し、 静岡市は、市長の肝入り事業である清水庁舎の移転と海洋文化施設整備の凍結などであります。 以上を踏まえ、4点伺います。 (1)新年度予算は、コロナ対策を優先した予算となっているのでしょうか。 (2)コロナ終息を想定した予算と、コロナが継続した場合の予算の二通りの検討があったのか。また、非常時においては、本予算の他にプランBのようなものを用意しておく必要があるのではないか。 (3)年度途中において、コロナの状況に応じた予算の組み替えなど、柔軟な対応が取れるのか。 (4)2021年度予算編成方針において、コロナ対策の財源捻出のために、先送り可能な事業はどれだけあったのでしょうか、答弁を求めます。 <市長の答弁>  初めに、新年度予算編成方針についてお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症対策といたしましては、その関連予算に70億4,000万円を重点配備し、ワクチン接種をはじめとした感染症対策の強化の他、推し店プラチナチケット第2段では、発行総額を前回の1.5倍の15億円に拡大をいたしました。地域経済の活性化をはかるなど、感染防止と経済対策を両立させた予算編成を行ったところでございます。  次に、新型コロナの状況を踏まえて、二通りの予算の検討や組み替えなど柔軟な対応策につきましてお答えします。新型コロナの状況は、これまでも常に見通しが不透明であったことから、本年度は8度にわたる補正予算を編成し、迅速に対応してまいりました。令和3年度におきましても、感染症の状況や国の動向に常に注視しながら、補正予算の編成や予備費の活用など、適時適切に対処し、柔軟な財政運営を行うことで市民の安全・安心を確保してまいります。  次に、新型コロナ対策の事業の先送りにつきましては、昨年10月に示した予算編成方針におきまして、大幅な税収の減少を踏まえまして、例年以上に厳しいシーリングを設定いたしました。要求段階において、先送り可能な事業については見送ったところでございます。  併せて、政策プライオリティを明確化するため、特に重点的に取り組む事業は、早い時期から総合計画推進本部会議において議論を重ね、優先的に予算配分を行うことといたしました。  なお、新型コロナ対策につきましては、国の財政支援を最大限に活用し、市財政への影響を最小限に抑えたところでございます。 このような非常時においては、市行政のトップとしてリーダーシップを発揮し、新型コロナ対策と台風災害からの復興を主軸に置きつつ、選択と集中により、ポストコロナ社会を見据えた新たな取組にまちのにぎわいを創出するなど、希望ある未来につなげる安全・安心予算としたのでございます。 <鈴木の所感>  令和3年度予算は、「令和元年東日本台風災害からの復旧・復興」と「新型コロナウイルス感染症」により影響を被った市民生活と社会経済活動を取り戻すための力強い予算編成とすることが必要不可欠だと考えます。  現下の新型コロナウイルス感染症対策については予測が困難であり、長野市単体での対応では限界があります。 令和3年度一般会計当初予算は、1,552億8千万円の歳入歳出ですが、目的別に歳出をみると、前年度比で軒並みマイナス予算となっている中で、人口減少少子高齢化による民生費や公債費に加え、商工観光費が前年度比でプラスとなっています。  地域経済の活性化とまちの賑わいの創出や、長期戦略2040の実現を目指す上で、新規事業である「飯綱高原南グランド整備事業(1億820万円)」、「外部人材活用促進事業(486万円)」、「鏡池トイレ改修事業」や拡大事業の「スタートアップ企業成長支援事業(3,970万円)」などは、長野市として重要な取り組みであると考えます。  しかし、今、コロナ禍の渦中であることを踏まえると、新型コロナウイルス感染症対策70.4億円のうち、「感染症関連資金融資(35億円)」、「感染症対策資金利子補給金(1億523万6千円)」、「推し店プラチナチケット(6.8億円)」等の7事業が主なものとなりますが、新型コロナウイルスの影響により苦しんでいらっしゃる方々に十分届くのかどうか、物足りなさを感じます。  ポストコロナを見据えることは必要ですが、今、市民が必要とする補償や支援について、正確に、適切に捉え、迅速に対応していくことが求められていると思います。  また、台風災害からの復旧・復興については、安心して日常生活を営むことができる住まいの再建が、待った無しの状況にあることから、令和3年度予算案では、災害公営住宅整備(17.5億円)、借り上げ型応急仮設住宅の提供、建設型応急仮設住宅の管理運営(2.4億円)など、51.6億円が措置されておりますが、長沼地区での災害公営住宅建設の議論の途上にあることから、真摯に受け止める必要があります。  加えて、令和元年東日本台風から今日にいたる間も、千曲川、犀川流域にお住まいの市民は、毎年、出水期を前に、恐怖と不安をおぼえ、災害が起きないよう、祈っております。なぜなら、今の治水能力では、幸運を祈るしかないからです。  長野市が、新年度予算のテーマとして掲げる「希望ある未来につなげる安全・安心」は、被災住民のみならず、すべての市民の願いであり、単なるスローガンではなく、必ず、実現する覚悟を持って取り組まなければならないと考えます。

長野市議会3月定例会 代表質問その1

 会期中の長野市議会3月定例会について報告します。 まず、近況ですが、3月3日に会派を代表し、初となる代表質問をしました。 質問内容は以下の通りです。 1.新年度予算編成方針について 2.PCR検査の現状について 3.感染拡大防止のためのPCR検査について 4.命と地域医療を守る医療提供体制について 5.ワクチン接種について 6.コロナ禍と今後の保健所機能について 7.コロナ禍での事業所等支援について 8.コロナ禍の雇用支援について 9.災害に強いまちづくりについて 議事録が出来ましたので、ご紹介します。文字数が多いので項目ごと、数日に分けて掲載します。 ちなみに、代表質問は、一括質問・一括答弁方式となりますが、項目ごとに答弁を掲載します。 1.新年度予算編成方針について  世界のGDPは、2020年3月の1.97パーセントから、4月にはマイナス2.68パーセント、5月にマイナス4.36パーセントと、2008年の世界金融危機を上回る落ち込みとなり、7-9月に入り持ち直しの動きを見せているものの、感染拡大が続く欧米のGDPは、依然としてコロナ前の水準を下回っております。IMFが6月に発表した世界経済見通しは、現在の状況を第二次世界大戦以降で最も深刻な景気後退へ向かっていると表現しております。  日本経済について2月2日に公表された大和総研のレポートは、2021年1-3月期の実質GDP成長率を戦後最悪となった2020年4-6月期のマイナス7.9パーセントに次ぐマイナス7パーセントと予測していますが、新型コロナウイルス感染拡大が収まらず、2020年4-5月期と同程度の規制となるが、2桁のマイナス成長に陥る可能性があるとし、感染拡大防止を最優先すべきとまとめております。  また、長野経済研究所が行った新型コロナウイルス感染症の県内企業への影響に関するアンケートの結果によれば、コロナ前の売上水準に回復する時期が2022年度以降になると回答した割合は、サービス業の49.3パーセント、建設業55.3パーセント、卸小売業32.1パーセントとなり、コロナ禍における県下の厳しい経済状況を表しております。  私たちは平成以降、数々の危機に直面してまいりました。 幾つか挙げますと、 1995年1月の阪神淡路大震災、 2001年の9.11同時多発テロ、 2008年9月のリーマンショック、 2011年3月11日の東日本大震災、 長野市では4,000棟を超える家屋が被害を受け、災害関連死を含め15名の尊い命が失われた令和元年東日本台風災害等ですが、  しかし、今回直面している新型コロナウイルス感染症は、これまでの危機と違い、人と人との接触、人の移動により国民全てが当事者となり得る、正に非常時と捉えるべきであり、私が考える非常時に求められる行財政運営の在り方について、4点挙げさせていただきます。 一つ、市民の命と健康、生活と地域経済を守り抜く市長のリーダーシップ。 二つ、政策プライオリティの明確化。 三つ、柔軟な発想による柔軟な財政運営。 四つ、先送り可能な事業は先送りする決断力であります。 そのような視点から幾つかの自治体が新年度予算編成について、コロナシフトへ転換をはかっております。 2020年10月1日に、市制施行以来初めて、財政非常事態宣言を発令した埼玉県新座市は、新型コロナウイルスの影響により、令和2年度事業の一部執行停止を行い、さらに、新年度予算編成では思い切った事業の見直しを進めています。 大阪府堺市では、新年度予算編成に当たり、新型コロナウイルスの影響により市税収入が過去2番目の落ち込みとなることから、市長は、今は平時ではなく有事であるとし、財政危機を宣言しました。 静岡県裾野市は、2月に財政非常事態宣言を発出し、総人件費の抑制、6次事業全般の見直し、大型公共事業の一時停止や先送りなどを示しました。 大分市は、コロナ終息を想定した予算と、コロナが継続した場合の事業先送りを想定した予算の二通りを作成。 相模原市は、各事業を見直し、コロナ対策緊急シフトを策定し、コロナ関連以外の新規拡充事業は原則として一時凍結、毎年実施している事業も一時凍結や見直し、廃止を検討し、 静岡市は、市長の肝入り事業である清水庁舎の移転と海洋文化施設整備の凍結などであります。 以上を踏まえ、4点伺います。 (1)新年度予算は、コロナ対策を優先した予算となっているのでしょうか。 (2)コロナ終息を想定した予算と、コロナが継続した場合の予算の二通りの検討があったのか。また、非常時においては、本予算の他にプランBのようなものを用意しておく必要があるのではないか。 (3)年度途中において、コロナの状況に応じた予算の組み替えなど、柔軟な対応が取れるのか。 (4)2021年度予算編成方針において、コロナ対策の財源捻出のために、先送り可能な事業はどれだけあったのでしょうか、答弁を求めます。 <市長の答弁>  初めに、新年度予算編成方針についてお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症対策といたしましては、その関連予算に70億4,000万円を重点配備し、ワクチン接種をはじめとした感染症対策の強化の他、推し店プラチナチケット第2段では、発行総額を前回の1.5倍の15億円に拡大をいたしました。地域経済の活性化をはかるなど、感染防止と経済対策を両立させた予算編成を行ったところでございます。  次に、新型コロナの状況を踏まえて、二通りの予算の検討や組み替えなど柔軟な対応策につきましてお答えします。新型コロナの状況は、これまでも常に見通しが不透明であったことから、本年度は8度にわたる補正予算を編成し、迅速に対応してまいりました。令和3年度におきましても、感染症の状況や国の動向に常に注視しながら、補正予算の編成や予備費の活用など、適時適切に対処し、柔軟な財政運営を行うことで市民の安全・安心を確保してまいります。  次に、新型コロナ対策の事業の先送りにつきましては、昨年10月に示した予算編成方針におきまして、大幅な税収の減少を踏まえまして、例年以上に厳しいシーリングを設定いたしました。要求段階において、先送り可能な事業については見送ったところでございます。  併せて、政策プライオリティを明確化するため、特に重点的に取り組む事業は、早い時期から総合計画推進本部会議において議論を重ね、優先的に予算配分を行うことといたしました。  なお、新型コロナ対策につきましては、国の財政支援を最大限に活用し、市財政への影響を最小限に抑えたところでございます。 このような非常時においては、市行政のトップとしてリーダーシップを発揮し、新型コロナ対策と台風災害からの復興を主軸に置きつつ、選択と集中により、ポストコロナ社会を見据えた新たな取組にまちのにぎわいを創出するなど、希望ある未来につなげる安全・安心予算としたのでございます。 <鈴木の所感>  令和3年度予算は、「令和元年東日本台風災害からの復旧・復興」と「新型コロナウイルス感染症」により影響を被った市民生活と社会経済活動を取り戻すための力強い予算編成とすることが必要不可欠だと考えます。  現下の新型コロナウイルス感染症対策については予測が困難であり、長野市単体での対応では限界があります。 令和3年度一般会計当初予算は、1,552億8千万円の歳入歳出ですが、目的別に歳出をみると、前年度比で軒並みマイナス予算となっている中で、人口減少少子高齢化による民生費や公債費に加え、商工観光費が前年度比でプラスとなっています。  地域経済の活性化とまちの賑わいの創出や、長期戦略2040の実現を目指す上で、新規事業である「飯綱高原南グランド整備事業(1億820万円)」、「外部人材活用促進事業(486万円)」、「鏡池トイレ改修事業」や拡大事業の「スタートアップ企業成長支援事業(3,970万円)」などは、長野市として重要な取り組みであると考えます。  しかし、今、コロナ禍の渦中であることを踏まえると、新型コロナウイルス感染症対策70.4億円のうち、「感染症関連資金融資(35億円)」、「感染症対策資金利子補給金(1億523万6千円)」、「推し店プラチナチケット(6.8億円)」等の7事業が主なものとなりますが、新型コロナウイルスの影響により苦しんでいらっしゃる方々に十分届くのかどうか、物足りなさを感じます。  ポストコロナを見据えることは必要ですが、今、市民が必要とする補償や支援について、正確に、適切に捉え、迅速に対応していくことが求められていると思います。  また、台風災害からの復旧・復興については、安心して日常生活を営むことができる住まいの再建が、待った無しの状況にあることから、令和3年度予算案では、災害公営住宅整備(17.5億円)、借り上げ型応急仮設住宅の提供、建設型応急仮設住宅の管理運営(2.4億円)など、51.6億円が措置されておりますが、長沼地区での災害公営住宅建設の議論の途上にあることから、真摯に受け止める必要があります。  加えて、令和元年東日本台風から今日にいたる間も、千曲川、犀川流域にお住まいの市民は、毎年、出水期を前に、恐怖と不安をおぼえ、災害が起きないよう、祈っております。なぜなら、今の治水能力では、幸運を祈るしかないからです。  長野市が、新年度予算のテーマとして掲げる「希望ある未来につなげる安全・安心」は、被災住民のみならず、すべての市民の願いであり、単なるスローガンではなく、必ず、実現する覚悟を持って取り組まなければならないと考えます。