善光寺御開帳・日本一の大縁日⇔コロナ感染リスクと向き合いながら
今年は、コロナ禍で開催延期を余儀なくされた『善光寺御開帳』の開催年です。
長野市は、この一大行事に併せ 市の活性化を果たすべく、いわゆる協賛イベントとして 4月2日から6月26日まで『日本一の門前町大縁日』なる行事を開催します。
この大縁日は 2015年の前回御開帳に続き2回目の開催で、善光寺表参道に当たる中央通りや 通り沿いの広場「セントラルスクゥエア」などを会場に企画、御開帳期間中に 約40の「にぎわいイベント」を用意しています。
特に今回は、県内各地の道の駅が地元の特産品や伝統食をPRする「道の駅サミット」や 各地域の食を楽しむ「信州郷土食フェア」を企画し、コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」の人気を受け オンラインによる「eスポーツの祭典」のスクリーン中継も行なわれるとのことです。
イベント紹介サイト(長野市HP)
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~善光寺御開帳2022 日本一の門前町大縁日~第8回表参道芸術音楽祭・街角アート&ミュージックを開催します - 長野市ホームページ
4月に入って最初の週末となったこの日(2日)、オープニングイベントが開催されました。
JR長野駅前広場に関係者が集まり 中央通りを経て「セントラルスクエア」までパレード、そこ(セントラルスクエア)でステージイベントを行なうものです。
この日は 寒の戻りで寒い朝となりましたが、幸い好天に恵まれました。広場には関係者や市民の方々が集まり、真田勝鬨太鼓(さなだかちどきだいこ)に景気づけをいただいて 行事の開幕を祝いました。
この日から始まる行事・なかんずく 今回の善光寺御開帳は〝コロナ禍〟という非常に難しい状況下で開催されるのは ご案内のとおりです。
年明けに感染急拡大した「オミクロン変異株」に伴う〝第6波〟は、これまでにない勢いで感染を拡大させ現在に至っています。
ここへきて やや減少傾向になったというものの、3月後半には再び拡大傾向となり、もとより長野市においては 日々の感染者数が100名前後で推移するなど高止まり傾向が続いており、看過できない状況になっています。
そんな中、御開帳の主催者である善光寺や このイベントを主催する長野市は「コロナ感染対策に万全を期する」ことを大前提に 行事を行なうこととしております。
コロナ感染予防の大前提である 手指の消毒・マスク着用・3密回避などを呼びかけながら、御開帳の最中(さなか)に感染者を出さないよう最大限の注意を払うこととしています。
この日のオープニングイベントでも、受付で消毒が励行されると同時に 聴衆の中に啓発のプラカードや立て看板が掲示されていました。
しかし 実際にイベントが行なわれれば、自ずと人垣はできるものです。
大イベントを仕掛けておきながら「離れて!離れて!」と叫ぶのは いささか無理があるというものでしょう。
また、さらにご案内のとおり とりわけ善光寺御開帳においては、参拝客が御利益を求めて「回向柱(えこうばしら)」に手を触れることが欠かせない習(なら)わしとなっているのですが、現下のコロナ禍においては それ(柱に触れる行為)は即ち〝接触感染〟につながる要因となるということが大きな課題となっています。
(過去の御開帳の模様)
「回向柱」は、御開帳期間中に本堂前に立てられる高さ約10mの柱で、御開帳期間中は 普段は開示されることの無い「前立本尊」の御手(おんて)と「善の綱」によって結ばれるため「回向柱に触れることは 前立本尊に触れるのと同じ御利益がある」といわれています。
そのため、7年に一度の御開帳に足を運んだ善男善女は「回向柱に触れて御利益を」を期しておられることから、どのようにして接触感染を防ぐかが課題となっていました。
このこと(コロナ接触感染対策)について 善光寺(事務局)は「光触媒剤」を柱に塗布することで コロナウィルスを柱に残さない加工を施したことが報じられています。
「光触媒」とは、そこにウィルスの付いた手指を触れた際に ウィルスの皮膜(ひまく)を分解する好作用があり、接触面にウィルスを残留させない(不活性化)効果があることから 不特定多数の人が接触する部分に塗布することで〝接触感染〟を防いでくれるとのことです。
この〝新兵器〟は、地元の信州大工学部の錦織広昌教授の研究を基に 松本市のビルメンテナンス会社が製品化したとのこと。
大勧進の栢木寛照(かやきかんしょう)副住職さまが 45センチ角・長さ10メートルに及ぶ回向柱に、本尊の善光寺如来を表す梵字(ぼんじ)や 阿弥陀如来が念仏を唱える人を全て救ってくれる―といった意味などの漢字(梵字)などを書き入れた後に、慎重な手さばきで塗布作業が行なわれたとのことです。
(但し、光触媒によって 直ぐにウィルスが不活性化するわけではないため、参拝者には 触る前後に手指消毒もしてもらうとのこと)
これらの作業などを通じ、回向柱へ触れることによる接触感染の対策は履行されることとなりますが、感染源は〝柱だけ〟ではありません。多くの人が集まることによる 飛沫感染などのリスクは避けて通れないところでありましょう。
現に先日、さきに行なわれている「飯田お練りまつり」で 14人もの集団的感染が発生したことが報告されており、イベント期間中に感染者をゼロに抑え込むことの難しさが再認識されています。
これは やはり、会議などと異なり イベントにおいては、会話もするし 飲食もするでしょうから、自ずと感染リスクは発生するもの…一方で コロナ禍で疲弊した社会の立て直しには 何らかの起爆剤の必要であろことから、まさに〝両刃の剣〟を駆使することを求められているのが 今の社会情勢と申せます。
いよいよ始まる、延期を踏まえた善光寺御開帳。
回向柱に揮毫(きごう)された栢木副住職さまは「新型コロナ流行やロシアのウクライナ侵攻といった世界的な不安が続く中、一人でも多くの人が 回向柱を通じて仏様との縁(えん)を結んで御利益を得て欲しい。」と述べられたとのこと。
それぞれの立場において それぞれの思慮をもって行事に臨むところでありますが、兎(と)にも角(かく)にも(御開帳)期間内に感染拡大などに至らぬよう、とにかく皆様が無事に参拝を終えられ そのうえで市内観光を満喫され、ひいては長野市再興の大きなキッカケとなってくれることを願うばかりであります。
◆ 長野市コロナ報告
4月1日(金)・2日(土)、長野市内で新たなコロナ陽性感染者の発生が報告されています。
4/1(金) 長野市におけるコロナ感染症の発生について(147例) [PDFファイル]
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https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/744862.pdf
4/2(土) 長野市におけるコロナ感染症の発生について(120例) [PDFファイル]
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https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/745215.pdf
イベント無しでも、長野市内では 連日100名を超える感染者発生が報告されています。
そのうえで「大縁日」スタート後には どのように(感染が)推移するかが注視されます。
いずれにしても、先ずは重症化回避・また 軽症者においては、昨今密かな問題となっている〝後遺症回避〟を期してゆきたいところであります。