請願第15号「戦争法=安保法制の廃止を求める意見書の請願」を不採択すべきものとした総務委員会委員長報告に対し、鈴木洋一議員が平和を守る立場から反対討論を行いました。以下、全文を掲載します。

18番、改革ながの市民ネット、鈴木洋一でございます。

請願第15号の「戦争法=安保法制の廃止を求める意見書の請願」を、不採択とすべきものとした総務委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。

安全保障関連法案に関して、長野県世論調査協会が3月に行った意識調査では、「憲法に違反していると思う」と答えた人は45.7%で、 「憲法に違反しているとは思わない」と答えた人の23.1%を大きく上回っております。

また、法律の今後の取り扱いについて聞いたところ 「国会で修正する」が30.8%、「国会で廃止する」が21.5%だったのに対し、「このまま施行する」は11.5%にとどまっております。

更に、戦争の放棄を定めた9条については、「改正する必要がある」と答えた人の19.4%に対し、「改正する必要がない」が60.2%となっており、安全保障関連法案に対して、多くの市民県民が不安と疑念を抱いているのではないでしょうか。

歴史を振り返ってみますと、1945年の終戦以前の70年間は、台湾出兵(1874)、日清戦争(1894)、日露戦争(1904)、満州事変(1931)、支那事変(1937)、太平洋戦争(1941)と日本は多くの戦争を経験してきました。そして、多くの尊い命が失われました。

しかし、終戦から71年、平和憲法の下、日本は戦禍にみまわれることがなく、1人の戦死者も出すことなく今日に至っております。憲法9条のおかげで、戦後日本というレジームは、日本の歴史上、最大の成果をおさめ、平和のうちに繁栄を続けてきたのではないでしょうか。

さらに、戦後71年間戦争をしなかったのは国連加盟193カ国のうちアイスランド、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、スイス、そして、アジアでは日本とブータンだけであります。

また、英BBCによる世界世論調査「世界に良い影響を与えている国」では、2014年までの過去9年間、日本は常に上位5カ国に入っており、更に、オーストラリアに本部を置く「経済・平和研究会」が発表する平和な国ランキングでも、日本は世界164か国中、9番目に位置づけられております。

ところが、政府は、11月に南スーダンに派遣する国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊の交代部隊に、安全保障関連法で実施が可能になった新任務の「駆け付け警護」と、他国軍と共同で拠点を守る「宿営地の共同防護」を付与する方針を固め、部隊に近く派遣準備命令を出し、訓練を開始する。と報道されており、3月に施行された安保関連法を自衛隊の活動に、いよいよ反映させることとなり、極めて危ない入口に立とうとしております。

2012年1月より続けられてきた南スーダンへのPKOには、延べ1700人余が派遣されてきましたが、幸いにも、現地で死亡した自衛隊員は0人でした。武器の使用を自己防衛と逃避活動時に限定した前安全保障下では、業務は後方支援に限定されており、危険を回避することができたからこその結果ではないかと思います。

しかし、集団的自衛権が認められ、武力の行使が可能となり、より前面に立つことになった今、引き続き一人の死者も出さずにいられるのでしょうか。

改憲派の重鎮である小林節氏、また、護憲派の泰斗にして憲法学会の最高権威、樋口陽一氏も対談の中で、昨年9月19日未明をもって、日本社会は異常な状態に突入した、安保関連法案は明らかに憲法に違反している、更に、最高法規である憲法が否定された、と指摘しております。

先の大戦で、310万人の尊い命と引き換えに、私たちが学んだことは、2度と戦争は御免だ、戦争や争いごとには国として近づかない、つまり、我が国は、平和と友好を希求する、であったはずではないでしょうか。

長野市の平和都市宣言では、冒頭、「平和は我が国憲法の基本原理で、全市民共通の念願である」と宣言しております。改めて、この平和都市宣言を深く受け止め、全ての議員諸氏の御賛同を心からお願い申し上げ、私の反対討論といたします。