令和6年3月長野市議会定例会
3月4日、原ようこ議員が個人質問に立ちました。
質問内容は下記のとおりです。
(1)地震災害対策について
ア 長野市耐震改修促進計画について
イ 補助金制度について
(2)小・中学校における熱中症対策について
(3)地域公共交通の課題について
ア 運転手不足について
イ ライドシェアについて
(4)その他
令和6年3月定例会 原ようこ議員 個人質問
なお、録画中継に関しましては下記リンクよりご覧になれます。
長野市議会インターネット議会中継ー録画中継
令和6年3月長野市議会定例会
3月1日、鈴木洋一議員が個人質問に立ちました。
質問内容は下記のとおりです。
(1)農業振興について
ア 直売所の充実による販売力強化について
イ 地域資源を活用した戦略的な投資について
(2)中小企業振興資金融資について
(3)その他
令和6年3月定例会 鈴木洋一議員 個人質問
なお、録画中継に関しましては下記リンクよりご覧になれます。
長野市議会インターネット議会中継ー録画中継
昨日(2月21日)、長野市議会3月定例会が開会し、3月19日までの28日間にわたり、本会議場や委員会室での論戦が交わされます。
私は、3月1日(金)10:00から、一般質問に立つ予定となっており、現在、質問原稿の作成に取り掛かっているところです。
本定例会に上程されたのは、令和6年度長野市一般会計予算」など予算関係が22件、条例関係20件等、52件で、新年度予算案は、歳入・歳出総額は、1、650億3、000万円となり、前年度当初予算額に対し、39億3、000万円、2.4%で、令和2年度、平成26年度に次ぐ、過去3番目の規模となります。
昨日、市長より今定例会における施政方針が述べられましたので、概略をご報告します。
『市長就任から3年目を迎え、昨年11月、今後の任期後半の取組方針を「長野市の強みを活かした未来への投資」として、「定着・変革・挑戦」の3つを柱とし、全力で取り組んでいくと申し上げた。
将来の長野市を見据え、前例にとらわれず、行政がリーダーシップをとりながら、地域、市民の皆様との対話を通して新たなアプローチから課題解決を図り、また、長野市が持つ価値を未来に残していく。新年度に向けて、「定着」「変革」「挑戦」の取組をしっかりと当初予算案に反映し、確実に実行することで、更なる、まちの魅力向上を図り、人が集い、希望あふれる長野市を目指したい。
令和6年度予算編成に当たり、「長野市の強みを活かした未来への戦略的な投資」を基本方針に掲げ、新たな取組に積極果敢にチャレンジし、また、人口減少社会を迎える中、まちの活力を維持・向上させていくために、未来に向けた投資が必要だ。
新年度予算は、「将来を担う子どもたちの成長に向けた取組み」、「地域経済・農業振興」、「スポーツによるまちづくり」、「移住・定住の促進」などに予算を重点配分した。
新年度から、「放課後子ども総合プラン」を「ながのこども財団」に移行し、更なる事業の充実を図る。また、保育所等に通っていない子育て家庭への支援を強化する「こども誰でも通園制度の試行」、本年4月オープン予定の「教育支援センターSaSaLAND」の運営、「ながのこども館「ながノビ!」整備など、子どもの居場所づくりを進めていく。
地域経済の成長や未来につなげる「新たな産業の創出」として、デジタル化やDX推進にチャレンジする中小企業の支援、人材の育成・確保を推進し、産業の基盤強化に向けた企業立地の促進、地域資源を活用した観光誘客を図っていく。
農業振興について、「100 年後を見据えた農業への挑戦」として、「売れる農業、スマート農業の推進」により、販売力の強化と生産性・収益性の向上を目指す。
農産物をはじめ本市特産品等について、新たな販路の開拓や消費拡大につながる物販イベントを通し、生産者が「売れる農業」を実感できるよう支援していく。
「プロスポーツチームを活用した地域活性化」について、本市が保有する「大規模スポーツ施設等の利活用促進」、「スポーツツーリズム・合宿誘致への取組」について、調査・研究し、具体的な施策を打ち出し、スポーツの成長産業化を推進する。
「災害に強いまちづくり」に関し、新年度予算案では、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに関連する雨水貯留、流出抑制の取組を含め、市内の浸水被害軽減対策のための予算を倍増させ、国、県と連携し、治水対策の更なる進捗を強力に進めていく。また、防災・減災対策の推進について、昨年6月、東和田の運動公園内に開設した災害支援ターミナルに続き、更北地区稲里町中氷鉋に第2災害支援ターミナルを整備する。この施設は、防災備蓄倉庫としての機能だけではなく、太陽光発電と蓄電池システムを備え、大規模な地震災害などにより停電が発生した場合でも電力供給できる施設となり、災害時に大きな役割を果たすことが期待できる。
更に、住宅・建築物の耐震対策として、長野市耐震改修促進計画に基づき、旧耐震基準で建てられた木造住宅の無料耐震診断の実施や耐震改修補助などの取り組みについて、住宅耐震改修の補助上限額を拡大し、建物所有者への積極的な働きかけ、費用負担の軽減策を集中的に行い、耐震化を促進していく。
「子どもの福祉医療制度」について、本年1月診療分から、対象範囲を「中学校卒業まで」から「18 歳年度末まで」に拡大し、子育て家庭の負担軽減等の推進を図っているが、乳幼児期以降の子どもの健康を保持するための医療費は、子育て中の保護者の経済的な負担は非常に大きく、更なる軽減が必要だと考える。
長野県は新年度予算案で、子どもの医療費の市町村への助成の拡充や、市町村が独自に取り組む未就学児を育てている家庭への施策に対する支援など、子どもや子育て家庭の支援に積極的に取り組んでいく姿勢を示している。
国のこども大綱の趣旨や昨年の長野市社会福祉審議会の答申を踏まえ、「子どもの福祉医療制度の窓口無料化」に向けた検討を開始する。
水道事業広域化について、上田長野地域水道事業広域化研究会において検討・研究を重ねている。昨年度開催した市民説明会での御意見や、昨年10月実施の市民アンケート調査結果から、広域化について、一定の理解が得られたと考えている。水道企業団設立に向けた協議、検討を目的とする任意協議会を県企業局、関係市町と本年4月以降に設立し、広域化の検討を更に深めていく』
以上ですが、本格的な議論はこれからとなりますが、市長が述べられているように、積極果敢な予算であり、私がこれまで本会議等で主張していたこと等が反映された内容であることから、期待を寄せたい内容と受け止めています。
まずは、3月1日の本会議一般質問において、「長野市の強みを活かした未来への戦略的な投資」を踏まえた議論を行いたいと思います。
昨日(2月21日)、長野市議会3月定例会が開会し、3月19日までの28日間にわたり、本会議場や委員会室での論戦が交わされます。
私は、3月1日(金)10:00から、一般質問に立つ予定となっており、現在、質問原稿の作成に取り掛かっているところです。
本定例会に上程されたのは、令和6年度長野市一般会計予算」など予算関係が22件、条例関係20件等、52件で、新年度予算案は、歳入・歳出総額は、1、650億3、000万円となり、前年度当初予算額に対し、39億3、000万円、2.4%で、令和2年度、平成26年度に次ぐ、過去3番目の規模となります。
昨日、市長より今定例会における施政方針が述べられましたので、概略をご報告します。
『市長就任から3年目を迎え、昨年11月、今後の任期後半の取組方針を「長野市の強みを活かした未来への投資」として、「定着・変革・挑戦」の3つを柱とし、全力で取り組んでいくと申し上げた。
将来の長野市を見据え、前例にとらわれず、行政がリーダーシップをとりながら、地域、市民の皆様との対話を通して新たなアプローチから課題解決を図り、また、長野市が持つ価値を未来に残していく。新年度に向けて、「定着」「変革」「挑戦」の取組をしっかりと当初予算案に反映し、確実に実行することで、更なる、まちの魅力向上を図り、人が集い、希望あふれる長野市を目指したい。
令和6年度予算編成に当たり、「長野市の強みを活かした未来への戦略的な投資」を基本方針に掲げ、新たな取組に積極果敢にチャレンジし、また、人口減少社会を迎える中、まちの活力を維持・向上させていくために、未来に向けた投資が必要だ。
新年度予算は、「将来を担う子どもたちの成長に向けた取組み」、「地域経済・農業振興」、「スポーツによるまちづくり」、「移住・定住の促進」などに予算を重点配分した。
新年度から、「放課後子ども総合プラン」を「ながのこども財団」に移行し、更なる事業の充実を図る。また、保育所等に通っていない子育て家庭への支援を強化する「こども誰でも通園制度の試行」、本年4月オープン予定の「教育支援センターSaSaLAND」の運営、「ながのこども館「ながノビ!」整備など、子どもの居場所づくりを進めていく。
地域経済の成長や未来につなげる「新たな産業の創出」として、デジタル化やDX推進にチャレンジする中小企業の支援、人材の育成・確保を推進し、産業の基盤強化に向けた企業立地の促進、地域資源を活用した観光誘客を図っていく。
農業振興について、「100 年後を見据えた農業への挑戦」として、「売れる農業、スマート農業の推進」により、販売力の強化と生産性・収益性の向上を目指す。
農産物をはじめ本市特産品等について、新たな販路の開拓や消費拡大につながる物販イベントを通し、生産者が「売れる農業」を実感できるよう支援していく。
「プロスポーツチームを活用した地域活性化」について、本市が保有する「大規模スポーツ施設等の利活用促進」、「スポーツツーリズム・合宿誘致への取組」について、調査・研究し、具体的な施策を打ち出し、スポーツの成長産業化を推進する。
「災害に強いまちづくり」に関し、新年度予算案では、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに関連する雨水貯留、流出抑制の取組を含め、市内の浸水被害軽減対策のための予算を倍増させ、国、県と連携し、治水対策の更なる進捗を強力に進めていく。また、防災・減災対策の推進について、昨年6月、東和田の運動公園内に開設した災害支援ターミナルに続き、更北地区稲里町中氷鉋に第2災害支援ターミナルを整備する。この施設は、防災備蓄倉庫としての機能だけではなく、太陽光発電と蓄電池システムを備え、大規模な地震災害などにより停電が発生した場合でも電力供給できる施設となり、災害時に大きな役割を果たすことが期待できる。
更に、住宅・建築物の耐震対策として、長野市耐震改修促進計画に基づき、旧耐震基準で建てられた木造住宅の無料耐震診断の実施や耐震改修補助などの取り組みについて、住宅耐震改修の補助上限額を拡大し、建物所有者への積極的な働きかけ、費用負担の軽減策を集中的に行い、耐震化を促進していく。
「子どもの福祉医療制度」について、本年1月診療分から、対象範囲を「中学校卒業まで」から「18 歳年度末まで」に拡大し、子育て家庭の負担軽減等の推進を図っているが、乳幼児期以降の子どもの健康を保持するための医療費は、子育て中の保護者の経済的な負担は非常に大きく、更なる軽減が必要だと考える。
長野県は新年度予算案で、子どもの医療費の市町村への助成の拡充や、市町村が独自に取り組む未就学児を育てている家庭への施策に対する支援など、子どもや子育て家庭の支援に積極的に取り組んでいく姿勢を示している。
国のこども大綱の趣旨や昨年の長野市社会福祉審議会の答申を踏まえ、「子どもの福祉医療制度の窓口無料化」に向けた検討を開始する。
水道事業広域化について、上田長野地域水道事業広域化研究会において検討・研究を重ねている。昨年度開催した市民説明会での御意見や、昨年10月実施の市民アンケート調査結果から、広域化について、一定の理解が得られたと考えている。水道企業団設立に向けた協議、検討を目的とする任意協議会を県企業局、関係市町と本年4月以降に設立し、広域化の検討を更に深めていく』
以上ですが、本格的な議論はこれからとなりますが、市長が述べられているように、積極果敢な予算であり、私がこれまで本会議等で主張していたこと等が反映された内容であることから、期待を寄せたい内容と受け止めています。
まずは、3月1日の本会議一般質問において、「長野市の強みを活かした未来への戦略的な投資」を踏まえた議論を行いたいと思います。
昨年の10月(改選後)より、私は長野市議会議会運営委員会に所属をしております。議会運営委員会への所属は2度目となりますが、今回は会派の代表という役割を担っての所属となっており、緊張感をもって臨んでおります。
この議会運営委員会による管外への行政視察が今月(2月)の5日~7日まで3日間行われました。昨今の低投票率、市民と議会のかかわり方等、今、課題に直面している状態です。他市の取り組みを参考としながら、活かしていかなければなりません。
視察した神奈川県藤沢市、京都府福知山市、そして、滋賀県長浜市、それぞれの議会での取り組み等、視察報告をさせていただきます。
<令和6年2月5日(月) 藤沢市議会>
1.広報広聴委員会
(1)平成25年1月施行の議会基本条例に基づき、広報広聴委員会が設置された。同委員会は議会だよりの発行に加え、議会報告会の開催、模擬議会開催等を所掌している。
(2)カフェトークふじさわ
それまでの議会報告会における課題(ex、年齢層の偏り、特定の参加者に発言が集中、市政に対する苦情が多く、建設的な議論になりにくい等)の解消に向け、ワールドカフェ方式(カフェトークふじさわ)を採用。
他者の意見への批判は厳禁とするなど、ルールを設け、和やかな雰囲気での意見交換とすべく工夫がなされている。地域と団体に分け、それぞれ開催し、地域については、市内をまんべんなく巡回。
(3)ワールドカフェ実施後の取り組み
当日のアンケート集計、分析、出された意見等を報告書にまとめ、広報広聴委員会にて市長への提言等を協議している。
(4)関東学院大学成瀬ゼミ
大学ゼミとの連携が大きな転換点となったと思われる。ゼミ生がファシリテーターとなり、意見交換を進行し、課題であった年齢層の偏りの改善につながり、更に、参加者の満足度が従来方式28%から88%に大幅に上昇するなど、踏襲ではなく、新たな発想と大学との連携による開催が市民への関心度を高めた、と推察する。
2.議員提案による条例
(1)議員の政策立案機能強化と条例の提案により積極的な政策提言を行うために、政策検討会議を設置。これにより、3人以上の議員での政策提案ができる。議会運営委員会での承認が得られれば、検討会議で条例の原案作成等が行われる。
(2)こうした取り組みは、議員の資質向上、政策提案能力の向上につながり、市民生活の向上に議会が果たす役割が更に増すこととなる。
<令和6年2月6日(火) 福知山市議会>
1.議会基本条例
(1)条例の柱
平成25年4月、①情報公開の推進、②市民参加の推進、③議会の機能強化を柱とした議会基本条例が制定された。
(2)情報公開の推進
①役職選出の所信表明
正副議長のみならず、常任委員会委員長選出において所信表明を行い、更に、委員会における副委員長の所信表明を行う点について、正副委員長の役割や自覚と責任を背負う意味では、画期的であり、役職の権威を高める取り組みである。
2.市民参加の推進
(1)議会報告会
平成23年より、地域及び団体を対象として開催してきた。平成27年度から対話形式で自由な意見交換を行っている(わいわいミーティング)
藤沢市同様、幅広い世代が、いろいろな意見を述べられ、偏った参加者とならないような工夫を凝らし、誰でも気軽に参加できるよう、広報広聴委員会が主体となり運営されている。約2か月の準備期間を設け、春と秋の年2回開催している。
(2)出張委員会
議会基本条例において、市民の積極的な傍聴を募るため、本庁舎以外で常任委員会が開催できるように定められている。
(3)行政視察研修報告会
視察して終わりではなく、市民への報告を通じ、視察から得た事項を明らかにするとともに、自らの取り組みへ如何に活かしていくのかについて、議会内での発展的な議論につながるのではないか。
他に、高校生フレッシュ議会の開催等の取り組みから、同市議会への市民と関心を高める姿勢を強く感じるところである。
3.議会基本条例の検証評価
(1)平成24年12月に制定された同条例について、活動の実績、実現できているか、今後のあるべき姿について、現在、3回目の検証が行われている。長野市議会における条例の検証等について検討していくできではないか。
<令和6年2月7日(水) 長浜市議会>
1.議会活性化の主な取り組み
(1)平成27年9月、広報広聴委員会設置、平成28年1月、市議会だより音訳版発行、平成29年1月から10月、議会基本条例の検証、結果を踏まえた議論、令和4年8月に通年議会への移行等の取り組みを行ってきた。
(2)議会基本条例の検証
滋賀県市議会議長会がパートナーシップ協定を締結している龍谷大学の教授との意見交換や、検証作業に取り組む研修会の開催、検証結果への助言等、外部有識者との連携が図られている。
検証の結果、3項目について、改善や拡充は必要とまとめられ、対応原案の作成、全員協議会での周知により、議会全体として議会基本条例が重んじられていると受け止めた。
検証の過程において、個々の議員の考え方の差、認識度合、自己研鑽の必要性等といった課題が明確になるなど、議会全体の資質能力向上につながるものだと考える。
(3)広報広聴委員会と市民との意見交換会
平成26年11月、議会活性化検討委員会からの答申により、議会広報紙、ホームページ、意見交換会等を充実させる目的で広報広聴委員会が設置された。
市民との意見交換会は、平成26年1月から開催されており、第11回目となった平成30年11月からワールドカフェ方式を採用し、市交流センター、支所において2回開催された。今日まで、第1部として予算や決算の審査内容の報告、第2部でテーマを設けワールドカフェでの意見交換としている。更に、高校生を対象としたオンラインでの意見交換、子育て関係団体を対象としたワールドカフェでの意見交換を実施してきた。
以上は、広報広聴委員会が主体となり運営し、委員がファシリテーターを務めており、委員以外の議員は傍聴という形での参加となっている。
以上です。3市議会での視察から、①議会基本条例の検証、②広報広聴委員会の設置(役割を明確にした上で)、③誰もが参加しやすく、意見が言いやすい、各地域へ出向いた地位での開催、団体等からの意見交換する機会を設けた開催に向けた検討の必要性を強く感じました。
これから、長野市議会議会運営委員会、そして、議会活性化検討委員会等で長野市議会のこれからの取り組みについて、議論を進めてまいります。
2月も半ばを迎えております。長野市議会では、毎年1月~2月にかけて4つある特別委員会による管外への行政視察を行っております。
先月(1月)、22日~24日の3日間、私が所属している長野市議会水道事業広域化調査研究特別委員会で、広島県水道事業広域連合企業団、千葉県のの取り組み、千葉県のかずさ水道広域連合企業団、群馬県にある群馬東部水道企業団の視察を行いましたので、視察の報告をいたします。
1.視察先:広島県水道事業広域連合企業団
<概要>
同企業団は、広島県と県内14市町により、令和4年11月に設立され、令和5年4月、県から水道用水事業と工業用水道事業を、14市町から水道事業を承継し、水道サービスの提供を開始した。同企業団は、事業ごとに会計、料金を区分し経営している(経営の一体化)
<経緯と過程>
人口減少に伴う料金収入の減、施設の老朽化に伴う更新費用の増、技術力の継承等の課題に対処し、経営基盤の強化を図り、持続可能な水道事業とするために、平成28年10月より、県が主導しながら、広域連携を有効な方策とする視座で検討を進めてきた。
検討開始から1年半経過後、県と県内すべての水道局で広域連携協議会が設置され、その1年半後に統合に参画しない市町を除く市町と県による統合推進方針が示され、検討開始から概ね5年後の令和3年4月、基本協定が締結された。
<取り組み状況>
地方自治法に基づき、令和5年度から14年度までの広域計画を策定し、施設の再編整備、危機管理対策、業務運営に取り組んでいる。
施設の再編整備は10年間で1908億円の投資を計画し、更新需要を平準化しながら計画的に更新を進めている。
危機管理対策として、施設の強靭化、バックアップ機能強化を、基幹管路の耐震化では年1.9%の更新率を目標に進めている。
業務運営に関しては、サービス、業務及び制度の統一、コスト縮減に取り組むとともに、DXの推進により業務の効率化を図っている。
<効果>
令和8年度以降は単独経営を上回る利益を見通し、また、今後、料金改定は避けられないものの、単独経営による料金上昇を抑制できるとの見通しを立てている。
施設整備では、再編整備や維持管理によるコスト縮減、また、統合による国交付金活用により、水道事業、水道用水供給偉業、すべての事業での効果が得られると見込んでいる。
<所感>
同事業団が「経営の一体化」の形態としたのは、料金統合のシミュレーションができなかったから、との事である等、各市町における実情等がある中での広域化への調整の困難さを窺い知った。そうした状況において、広域化が実現に至ったのは、県の主導があったからだ、と受け止めた。
広域化計画に基づき、各事業が進められ、また、基幹管路更新率の目標値が示されているが、現実は厳しい、とのこと。精緻なシミュレーションや収支計画が必要であるとともに、計画策定段階の料金等を含めた数値は絶対ではないことに留意する必要がある。
2.視察先:かずさ水道広域連合企業団
<概要>
かずさ水道広域連合企業団は、木更津、君津、富津、袖ケ浦の4市のおける水道事業と、千葉市及び市原市を加えた6市への水道用水供給事業を、平成31年4月より行っており、5年目を迎えている。
現在、セグメント会計を導入しているが、水道料金の統一を目標としている。
<経緯と過程>
平成19年度、県内水道経営検討委員会より、20年以内に事業一元化への提言を受け検討が開始された。平成25年、国からの補助金、交付金の活用が可能となるとのことから、県含め4市において統合広域化の方向性について合意が図られ、翌年、統合協議会を発足させた。しかし、その後、交付金や水道料金に関して纏まらない期間があった。平成29年に県が協議会に参画し、平成31年4月の事業開始に至った。
4市における老朽管の割合、石綿セメント管、排水池の耐震化率等、施設の状況は大きく異なっているなど安定給水の継続や、収益的収支の悪化等の経営面における危機感等の課題に直面していた。
<取り組み状況>
基本計画に基づき、統合広域化に伴い活用できる交付金や各市からの出資金等を財源としながら、老朽管については、統合前の平成27年の42.0%から令和4年度35.0%といった改良事業を進めている。また、施設の統廃合事業では、29箇所の水源と9箇所の施設を廃止し、更に、君津市域に現在100ある施設の統廃合に向けた検討をしている。
管理体制について、市域毎に異なっていた業務フローの統一と効率化を図り、工事の効率化と品質の確保に向けた取り組みを行っている。
<効果>
老朽管更新について、計画(年1.2%)を下回っているものの、統合前の平均0.7%を上回る年1.0%以上の更新を維持できている。課題としていた技術承継に関し、40歳以下の各市からの派遣職員を対象とした身分以降の実施や、積極的な職員採用等により平均年齢が5歳ほど若返る等、独自職員確保は図られている。
更新事業費では、施設の統廃合により27.7億円の削減となり、今後、更に削減を見込んでいる。また、交付金の活用等により、自己財源支出の抑制につながっている。
<所感>
同企業団設立には、広島県同様、県による関与が大きいと感じる。事務局長は、広域化を進める上で必要なこととして、モノ、ヒト、カネを強調され、印象的であった。効率性等が求められる中であっても、人員削減では効果を生むことができなかった、また、財政シミュレーションが進まず、2年の時間を要した等、当時のご苦労が伝わってきた。令和11年に料金統一の予定とのことだ。
上田・長野間における水道事業広域化の検討では、精緻な財政シミュレーションを考慮した上で、令和19年度に料金統一との案が示されているものと受け止めたい。また、専門人材の確保と育成における効果が示されているが、コスト削減や業務の効率化を図りつつも、安易な人員削減を行うことなく、ヒトによって事業の成果が変わる、ことを認識する必要がある。
3.視察先:群馬東部水道企業団
<概要>同企業団は、利根川及び渡良瀬川に面する水資源に恵まれた地域に所在し、太田市、館林市、みどり市、板倉町、明和町、千代田町、大泉町、邑楽町の3市5町により構成されている。
各市町で人口減少に伴う収入減、施設の老朽化への対応に要する財源確保等の課題に直面する中、それまで水道事業について協議を行っていた「両毛地域水道事業管理者協議会」において、平成21年度、広域化に向けた議論が始まり、平成28年4月、企業団の事業が開始された。
<経緯と過程>
各構成団体の課題であった給水量減少、水道施設の老朽化、給水収益の減少、更新費用増加等の課題の解決に向け、事業統合(広域化)の検討が始まった。概要の通り、「両毛地域水道事業管理者協議会」での検討から始まり、当初は、桐生市、栃木県足利市、佐野市も協議に加わっていた。その後、地域の実情等により、現在の構成団体3市5町の枠組みが完成し、平成24年5月、8構成団体首長会議、7月に「群馬県東部水道広域研究会」が設立され、翌年以降、基本構想、基本計画が策定され、平成26年4月、水道統合準備室の設置、平成28年4月、同企業団による事業が始まった。
基本構想・計画を策定する過程で、広域化による改善可能な事項を分析した結果、過度な投資の抑制や災害に対するリスクマネジメント、コスト削減等の改善が図られる、との整理がなされた。
<取り組み状況>
平成28年度、3市5町の浄水場の廃止、配水場化を行い、業務の効率化と施設の有効活用を進めた。更に、現在、6つの施設を廃止し、4施設を排水浄化による事業統合に取り組んでいる。また、令和2年度、県企業局の2浄水場が譲渡され、垂直統合による施設の更なる有効活用が図られている。
同企業団は官民連携の推進を掲げ、平成28年、明電舎グループとの出資により官民出資会社「(株)群馬東部水道サービス」を設立した。同社の第三者委託、包括業務委託、DB方式、CM方式による官民連携による取り組みは、水道事業の継続性や安定性の確保、民間の活力を活かした事業展開、技術の継承、公益性の確保に大きく貢献していると推察する。
<効果>
事業計画において、施設再構築による統廃合、国庫補助活用による投資額、包括業務委託拡充による人件費等により、平成27年度から令和6年度までの10年間で総額139億円の削減効果を見込む。
収益的収支において、単独の場合、既にすべての団体が赤字に転落している、との推計であったが、広域化により、令和10年度までの黒字確保を見込んでいる。また、官民連携の推進で、マンパワーの充実が図られている。
<所感>
現在の同企業団の職員数が50人とのことだが、(株) 群馬東部水道サービスとの官民連携による業務スキームが構築されており、財政状況、施設能力の向上、技術の承継、品質及びサービスの向上に繋がっているのではないか。
また、官民連携は、雇用を含め、地域経済への貢献が大きいと推察する。官民連携により、先の視察箇所と異なり、群馬県が関与せずとも事業開始に至ったこと、また、今日まで事業計画に沿った健全な事業の展開に繋がっているのではないか、と受け止めた。
以上となりますが、現在、長野県、上田市、千曲市、坂城町、そして長野市において、水道事業の広域化に関する研究会が設けられ、研究が進められています。新年度、いよいよ、より具体的な検討に入るために、協議会の設立を目指し、取り組まれています。
私たちの生活に欠くことができない大事なライフラインである水道事業は、安全で安心、そして、安定的な供給が求められています。様々な課題はありますが、特別委員会での更なる調査研究を通し、市民への説明、そして、水道事業のあり方等、取り組んでまいります。