長野市議会議員会派

改革ながの市民ネット

一つ一つを教訓とする

 梅雨前線の影響で、中国地方では、広い範囲で土砂災害、河川の氾濫の危険性が高まっており、厳重な警戒が呼び掛けられています。 長野市でも、6日朝、篠ノ井小松原で地滑りが発生しました。発生場所は、県が指定する土砂災害警戒区域ではないものの、開発に制限がかかる国の砂防指定地、地滑り防止区域に指定されています。長野市担当課から、土砂崩落により工場一部が損壊、人的被害無し、国道19号線の通行止め、県土尻川砂防事務所において、検討会議を開催し、当面の対応について協議していく、と報告ですが、警戒が必要です。 ここ数年、この時期の集中豪雨、長雨による災害はほぼ常態化していると捉え、我が事として我が地域の防災・減災への取り組みを強化していかなければなりません。  7月3日に発生した静岡県熱海市の土石流災害現場は、土砂災害警戒区域に指定され、市もハザードマップに反映していたとのことですが、多くの家屋等が失われ、多数の負傷者、更に、7名の尊い命が奪われ、未だ、安否不明者が25名(7月7日時点)との報道です。心から哀悼の意を、心からお見舞いを申し上げます。 報道によると、市は2日午前10時に高齢者避難を発令するも、土石流発生までの間、避難指示の発令しなかった、とのことです。  5月、政府は避難情報に関するガイドラインを改定しました。改定の目的として、従来の「警戒レベル」をよりわかりやすくし、災害発生の危険度と、取るべき避難行動を、住民が直感的に理解するため、としています。 重要なのは、住民が速やかに状況を理解し、避難行動への判断へと繋げるための行政による正確な情報提供と適切な避難指示であるはずです。  私は、平成28年9月定例会個人質問で避難指示について、「水害に際して、住民の命を守る決め手となるのは、住民一人一人に正しい情報が確実に伝わる情報発信と、近隣住民が助け合って迅速に避難する住民避難の2点ではないか」と取り上げましたが、自治体には、空振りを恐れず、常に最悪の事態を想定し、確実に命を守る行動を促すための適切な判断がより求められている、と考えます。  長野市にも急傾斜地が多く、そこに暮らす市民も少なくありません。更に、避難場所が少ない、とも言われています。改めて、早急に解消すべき課題を洗い出さなければなりません。  加えて、7月7日付け信濃毎日新聞は重要な記事を掲載しています。熱海市は、安否不明者の氏名を公表したことで、一気に情報が集まり、一気に不明者が減少した、ということです。東大名誉教授の片田敏孝氏は、「対応が早く適切だった」と評価し、「公表が早いほど、救助できる可能性が高まる。不明者の情報がある程度絞り込まれたら、できるだけ速やかに公表する流れを災害対応のモデルケースにしなければならない」と述べています。  長野県は、安否不明者の氏名公表について、原則公表とし、熱海市の対応を「効果がある」とし、他方、長野市は、「方針が決まっていない。本人の意志が確認できていない中で情報提供できるのか判断が難しい」との見解を示しています。  熱海市は、西日本豪雨(2018年7月)時の岡山県による対応で、70人以上の安否不明者氏名の公表により、急速な被災状況把握に繋がった好例を参考にした、とのことです。 更に、全国知事会は6月、氏名公表について、「対象を明確にした効果的な活動が期待できる」とした意義を指針で記している、との報道があります。  正確な情報入手と伝達、避難指示等の適切な発令、避難場所の確保、安否不明者の氏名公表等、毎年のように起こる自然災害、一つ一つを教訓とし、私たちの生命と財産を守り抜く災害に強い地域づくりに、活かしていかなければなりません。

6月定例会、議了

 6月25日(金)、今定例会に上程された令和3年度一般会計補正予算他16議案、承認6件、報告19件、請願8件等に関し、審議及び採決され、16日間の長野市議会6月定例会が終わりました。  既にご報告の通り、私は一般質問で登壇し、新型コロナワクチン接種、河川整備等について取り上げたところです。  6月定例会では、加藤長野市長の次期市長選への不出馬について大きく報道され、関心が集まりました。これから10月の市長選に向け、具体的な動きが出てくると思いますが、様々な課題に直面している長野市の行財政運営を進めていくに相応しい候補者が名乗りを上げ、候補者間の政策論争を通して、多くの市民の関心を呼び込んで欲しいと願います。  過日、長野市の人口動態最新版(令和3年5月31日作成)を目にしました。令和2年と平成27年との比較で、市の総人口は4、347人減(1.6%減)、総世帯数では6、440増(4.3%増)です。  また、私の地元である更北地区を見てみると、人口は526人増の34,012人、世帯数では947増の13、627世帯となり、人口減少と言われる中、人が集まる魅力のある地区であることを伺わせます。実際、地元地区全体を見まわしてみても、都市化の進展を感じます。  現在、長野市のみならず国全体で人口減少と少子化は、共通の課題となっており、長野市においても、今後の都市政策、農業政策、まちづくり等と密接に関わってきます。  少々、悲観的な表現をしますが、人口減少・超高齢社会への構造変化は現在進行形であり、動かしがたい事実であることを受け止めなければなりません。少子化と高齢化が同時に進んでいくことによる自治体における財政の硬直化に拍車がかかることが予想され、市民生活に及ぼす影響を直視していくことが必要です。  その上で、自治体議員もそうですが、特に首長には、政策のプライオリティーを明確に示すこと、柔軟な発想を持つこと、そして決断力が求められ、今、必要なのは、不安を少しでも確実に解消させる政策の実行により、すべての市民の安全と安心が担保された暮らしの実現を追い求めていくことではないか、と考えます。  現下のCOVID19や気候変動による影響等により、私たちの生活スタイルが見直され、地方回帰やワーケーション等に目が向けられ、国全体で行動変容がもたらされる時代に突入している、と思います。  そうした時代だからこそ、現在直面している人口減少等のマイナス要因ばかりを憂慮するのではなく、改めて、地域の資源、財産、長野市の強みについて見つめ直し、長野市が持つ強みを起点とした政策立案と実行、行財政運営を進め、安全で安心した持続可能な暮らしを将来へと繋いでいくプラス思考の視座に立った取り組みが必要ではないでしょうか。